青春・恋愛
マナシロカナタ/著
- 作品番号
- 1740057
- 最終更新
- 2025/01/07
- 総文字数
- 61,525
- ページ数
- 37ページ
- ステータス
- 未完結
- いいね数
- 0
「えへへー♪ アキトくん、どうどう? 新しい制服似合ってる?」
届いたばかりのまっさらな高校の制服を着たひまりちゃんが、ファッションショーでもしているみたいに、僕――神崎暁斗(かんざき・あきと)の目の前でくるりと回った。
短いスカートがひらりと舞い、僕は慌てて視線を上げる。
「すごく似合ってるよ。まるでひまりちゃんのために作られた制服みたいだ」
「やった♪」
そんな僕とひまりちゃんは、実は血のつながっていない義理の兄妹だ。
今から数年前。
僕が小学校のころ。
クラスに母子家庭の女の子がいた。
それがひまりちゃんで、ガリガリに痩せていて、何度も繕ったであろうボロボロの古着を着ていたこともあって、
「貧乏神が来たぞ~!」
「貧乏が移っちまう! 逃げろ~!」
心ない男子たちからは名前をもじって貧乏神なんて呼ばれていた。
「うっ、ぐすっ……」
ひまりちゃんは言い返すでもなく、いつも鼻をすすりながら俯いてしまう。
そして当時の僕はというと、自分こそが神に選ばれし特別な人間だと思い込んでいたのもあって、ひまりちゃんがバカにされているのを見かけるたびに、助けに入っていた。
そして父さんが食堂を経営していたこともあり、僕はひまりちゃんを家に連れ帰っては一緒にご飯を食べた。
それはいつしか、ひまりちゃんのお母さんも含めた家族ぐるみの付き合いになっていき。
ある時、僕の父さんとひまりちゃんのお母さんが再婚して、ひまりちゃんは僕の義妹になったのだ。
「これからは毎日一緒にいられるね!」
そんなひまりちゃんは年々綺麗になっていき、いつしか「女神」と呼ばれるようになっていた。
対してその頃には、ただの冴えない凡人であることを理解してしまった僕。
だけどひまりちゃんは昔助けられた恩義で、平凡な僕を今でも好きだ好きだと言ってくる。
そんなひまりちゃんに少しでも相応しい男になるために。
女神のようなひまりちゃんの想いに応えるために。
もしくはいつか、ひまりちゃんが本当にいい人を見つけた時に、胸を張って兄だと言えるように。
高校進学を機に僕はもう一度、僕をがんばってみようと思う――。
届いたばかりのまっさらな高校の制服を着たひまりちゃんが、ファッションショーでもしているみたいに、僕――神崎暁斗(かんざき・あきと)の目の前でくるりと回った。
短いスカートがひらりと舞い、僕は慌てて視線を上げる。
「すごく似合ってるよ。まるでひまりちゃんのために作られた制服みたいだ」
「やった♪」
そんな僕とひまりちゃんは、実は血のつながっていない義理の兄妹だ。
今から数年前。
僕が小学校のころ。
クラスに母子家庭の女の子がいた。
それがひまりちゃんで、ガリガリに痩せていて、何度も繕ったであろうボロボロの古着を着ていたこともあって、
「貧乏神が来たぞ~!」
「貧乏が移っちまう! 逃げろ~!」
心ない男子たちからは名前をもじって貧乏神なんて呼ばれていた。
「うっ、ぐすっ……」
ひまりちゃんは言い返すでもなく、いつも鼻をすすりながら俯いてしまう。
そして当時の僕はというと、自分こそが神に選ばれし特別な人間だと思い込んでいたのもあって、ひまりちゃんがバカにされているのを見かけるたびに、助けに入っていた。
そして父さんが食堂を経営していたこともあり、僕はひまりちゃんを家に連れ帰っては一緒にご飯を食べた。
それはいつしか、ひまりちゃんのお母さんも含めた家族ぐるみの付き合いになっていき。
ある時、僕の父さんとひまりちゃんのお母さんが再婚して、ひまりちゃんは僕の義妹になったのだ。
「これからは毎日一緒にいられるね!」
そんなひまりちゃんは年々綺麗になっていき、いつしか「女神」と呼ばれるようになっていた。
対してその頃には、ただの冴えない凡人であることを理解してしまった僕。
だけどひまりちゃんは昔助けられた恩義で、平凡な僕を今でも好きだ好きだと言ってくる。
そんなひまりちゃんに少しでも相応しい男になるために。
女神のようなひまりちゃんの想いに応えるために。
もしくはいつか、ひまりちゃんが本当にいい人を見つけた時に、胸を張って兄だと言えるように。
高校進学を機に僕はもう一度、僕をがんばってみようと思う――。
- あらすじ
- 可愛すぎる義妹のために、僕はもう一度、僕をがんばってみようと思う――。
目次
-
- 第1話 貧乏神・神谷ひまり
- 第2話 ひまりちゃんと特製エビチャーハン
- 第3話 男と男と、天国にいる母さんとの約束
- 第4話 貧乏神から女神へ
- 第5話 僕の大切な義妹(ひまり)ちゃん
- 第6話 そして僕らは高校生になった
- 第7話 静かなる決意
- 第8話「はい、クラス委員に立候補します!」
- 第9話 フルーツ牛乳
- 第10話 上白石雪希
- 第11話 アキト、チャラ男を華麗に撃退する
- 第12話「ならばよし!」 「ひまりちゃんは本当にポジティブだなぁ」
- 第13話 論破合戦するほど仲のいい兄妹?
- 第14話 ひまりタイム
- 第15話 パジャマのひまりちゃんと一緒に――
- 第16話 アキトの話題でキャイキャイ盛り上がるひまりちゃん&雪希
- 第17話 プリンセス雪希&エビチャーハンの伝道師ひまり
- 第18話「やっぱり本気モードのアキトくんはカッコいいなぁ。むふふ……」
- 第19話「ひまりさんじゃなくて、暁斗くんと同じものが飲みたかったんです」
- 第20話 女神&プリンセスとカラオケ
- 第21話 第2回ひまりタイム
- 第22話 クラス会議
- 第23話 躍動するひまりちゃんと、激動するひまりちゃんの胸。イラっとする僕。
- 第24話 弱い心は蹴り飛ばせ!
- 第25話 ひまりちゃんにスポブラを付けさせたいアキトくん
- 第26話 兄と妹はスポブラを買いに。
- 第27話 「わっ、これ新作だって。やだ、可愛い~! ねぇねぇ、アキトくんはどう思う?」
- 第28話「ねぇ、アキトくん。なんでそんなにスポブラに詳しいの?」
- 第29話 フェア・トレード?
- 第30話「胸が揺れてるかどうかをガン見してチェックするとか、もぅ、アキトくんのえっち!」
- 第31話「あ、暁斗くん? え? いったい何をして……」
- 第32話「妹なら覗いていいと仰るのですか!? へ、変態シスコンお兄ちゃんなんですか!? やっぱり!」
- 第33話「さ、最近Fになりました」
- 第34話 2人だけの秘密特訓
- 第35話 少しでもいいから前へ、前へ──
- 第36話 球技大会、開幕!
- 第37話 噛みしめるのは厳しい現実
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