「観光名所の詳細な説明はスマホで検索でもすればすぐなので、それは個々人に任せて。1つでも多く見ることができるように、アクセス情報に特化することをテーマにしました」
僕は製作意図を説明した。
「なるほどね。校外学習はどうしても時間との勝負になるから、ポイントを移動に絞ったのは大正解だわ。余計な説明もないから、見やすくて分かりやすいし。うん、実に素晴らしいわね」
「ありがとうございます」
「あなたたち3人で作ったのかしら?」
その問いには「はい、3人で作りました」と自信を持って答えた。
「じゃあ後は任せて。すぐにクラスの人数分を印刷して、午後のロングホームルームで配布できるように準備しておくから」
「よろしくお願いします」
「後は、お昼休みに製本――コピーした紙をページ順に並べてホッチキスで止める作業をしないといけないんだけど――そのお手伝いだけ頼めるかしら?」
「もちろんです」
「お昼ご飯を食べたら、すぐ行きますね」
「早く食べるのは苦手ですが、今日だけは頑張ります」
なんて会話を鈴木先生として、まずは一段落と思っていたら――。
他のクラスの担任の先生方や、学年主任の体育の先生が、なんだなんだと集まってきた。
鈴木先生が概要を説明しながら遠足のしおりの原本を見せると、
「この前、学年会議で鈴木先生が説明していたものですな。どれどれ……、ほぉ! いい出来じゃないですか!」
「移動の効率というワンイシューにテーマを絞っているのも、着眼点がいいですなぁ」
「生徒からは毎年、行きたいところを回りきれなかったという感想が多数上がりますからねぇ」
先生方はこぞって、鈴木先生と同じく感心した様子を見せた。
さらには、
「これを1組だけにとどめておくのは、少々もったいなくありませんか? いっそのこと、学年全体に配布するというのはどうでしょう?」
「おっ、いいですねぇ。私もうちのクラスにもぜひ欲しいと思っていたんですよ」
「なんなら来年以降も、これを参考に『校外学習のしおり』を作るのもいいかもしれませんね。学年主任の方から校長先生に提案してもらえませんか?」
「そう言うことでしたら、お任せ下さい」
と、話がどんどんと大きくなってしまった。
「ってことみたいなんだけど、みんなはどうかしら?」
僕らそっちのけで、やいのやいのと盛り上がる先生方の会話を、横で静かに聞いていた僕らに、鈴木先生が話を振ってくる。
「僕としては、より多くの生徒に見て貰えるのなら、嬉しい限りです」
「だよねー。せっかく作ったんだもん。みんなに見て欲しいよねー」
「私も同じ意見です」
「じゃあ決まりね。午後のロングホームルームで学年全体に『校外学習のしおり』を配布する方向で準備するわ。でもその分だけ製本する量も多くなるから、お昼休みはかなり忙しくなりそうね」
というわけで、「そういうこと」になってしまい。
僕たち3人プラス声をかけたら「そういうことなら任せとけ!」と快く手伝いを引き受けてくれた高瀬の4人組は、お昼休みに製本作業で大忙し。
その甲斐もあって5時間目のロングホームルームにはギリギリ間にあって、僕たちが作った「遠足のしおり」は1年生全体に配布されることになった。
クラスのみんなの反応は好評で、話によると他のクラスでも結構評判が良かったそうな。
学校からの帰り道で、
「作った甲斐があったね、アキトくん」
「始まりは自己満足でも、できたものが評価してもらえるなら、それに越したことはないよなぁ」
「だねっ」
ひまりちゃんとそんな会話をしながら、僕は家への帰路についたのだった。
僕は製作意図を説明した。
「なるほどね。校外学習はどうしても時間との勝負になるから、ポイントを移動に絞ったのは大正解だわ。余計な説明もないから、見やすくて分かりやすいし。うん、実に素晴らしいわね」
「ありがとうございます」
「あなたたち3人で作ったのかしら?」
その問いには「はい、3人で作りました」と自信を持って答えた。
「じゃあ後は任せて。すぐにクラスの人数分を印刷して、午後のロングホームルームで配布できるように準備しておくから」
「よろしくお願いします」
「後は、お昼休みに製本――コピーした紙をページ順に並べてホッチキスで止める作業をしないといけないんだけど――そのお手伝いだけ頼めるかしら?」
「もちろんです」
「お昼ご飯を食べたら、すぐ行きますね」
「早く食べるのは苦手ですが、今日だけは頑張ります」
なんて会話を鈴木先生として、まずは一段落と思っていたら――。
他のクラスの担任の先生方や、学年主任の体育の先生が、なんだなんだと集まってきた。
鈴木先生が概要を説明しながら遠足のしおりの原本を見せると、
「この前、学年会議で鈴木先生が説明していたものですな。どれどれ……、ほぉ! いい出来じゃないですか!」
「移動の効率というワンイシューにテーマを絞っているのも、着眼点がいいですなぁ」
「生徒からは毎年、行きたいところを回りきれなかったという感想が多数上がりますからねぇ」
先生方はこぞって、鈴木先生と同じく感心した様子を見せた。
さらには、
「これを1組だけにとどめておくのは、少々もったいなくありませんか? いっそのこと、学年全体に配布するというのはどうでしょう?」
「おっ、いいですねぇ。私もうちのクラスにもぜひ欲しいと思っていたんですよ」
「なんなら来年以降も、これを参考に『校外学習のしおり』を作るのもいいかもしれませんね。学年主任の方から校長先生に提案してもらえませんか?」
「そう言うことでしたら、お任せ下さい」
と、話がどんどんと大きくなってしまった。
「ってことみたいなんだけど、みんなはどうかしら?」
僕らそっちのけで、やいのやいのと盛り上がる先生方の会話を、横で静かに聞いていた僕らに、鈴木先生が話を振ってくる。
「僕としては、より多くの生徒に見て貰えるのなら、嬉しい限りです」
「だよねー。せっかく作ったんだもん。みんなに見て欲しいよねー」
「私も同じ意見です」
「じゃあ決まりね。午後のロングホームルームで学年全体に『校外学習のしおり』を配布する方向で準備するわ。でもその分だけ製本する量も多くなるから、お昼休みはかなり忙しくなりそうね」
というわけで、「そういうこと」になってしまい。
僕たち3人プラス声をかけたら「そういうことなら任せとけ!」と快く手伝いを引き受けてくれた高瀬の4人組は、お昼休みに製本作業で大忙し。
その甲斐もあって5時間目のロングホームルームにはギリギリ間にあって、僕たちが作った「遠足のしおり」は1年生全体に配布されることになった。
クラスのみんなの反応は好評で、話によると他のクラスでも結構評判が良かったそうな。
学校からの帰り道で、
「作った甲斐があったね、アキトくん」
「始まりは自己満足でも、できたものが評価してもらえるなら、それに越したことはないよなぁ」
「だねっ」
ひまりちゃんとそんな会話をしながら、僕は家への帰路についたのだった。


