◇
こうしてひまりちゃんが最先端スポブラを着けるようになったことで、僕は体育の時間に安心してバスケの練習に取り組むことができるようになった。
もちろん練習はそれだけじゃない。
他にも、部屋で毎日シュートのイメージトレーニングを繰り返したり。
近所にストリートバスケの屋外コートがあったので、ひまりちゃんと秘密特訓をしたりもした。
といっても、特訓したのは主に僕だけだったけれど。
そもそも本当は僕一人で練習するつもりだったのだ。
だけどひまりちゃんが、
『わたしけっこうバスケ得意だから、教えてあげられるかもだし、ボール拾いもするから、わたしも一緒に行くねー』
半ば既成事実のように言って聞かなかったのだ。
ちなみにボールはバスケ部1年生レギュラー候補の高瀬が、快く貸してくれた。
ありがとう高瀬。
~以下、特訓の回想~
屋外ストリートバスケットコートに、ひまりちゃんとやって来た僕は、
「ラッキー♪ 誰もいないみたいだよ?」
「これなら使いたい放題だね」
ガラガラのコートで、ひまりちゃんと話しながらまずはストレッチを始めた。
「なんかアキトくんって、今回の球技大会すごくやる気だよね?」
うーんと伸びをしながら身体を左に傾けて、脇腹を伸ばすひまりちゃん。
「僕はクラス委員だしさ。最初の行事でクラスを盛り上げたいって気持ちが、なくはないんだ」
鏡合わせのように僕も伸びをしながら、ひまりちゃんを向き合うように身体を傾ける。
身体を横に倒した先にひまりちゃんの顔がある。
90度傾いた世界で、トレードマークのポニーテールだけが、重力に引かれて垂れ下がっているのが、なんとも可愛らしい。
「アキトくん、それすっごくカッコいい!」
「あはは、ありがと。ほら、うちのクラスの男子は、僕も含めて帰宅部や文化部ばかりだろ? 苦戦するのは目に見えてるから、少しでもいい勝負になるように、しっかり練習はしておきたいんだ」
苦戦というか、高確率で最下位争いをすることになるだろう。
最下位になって楽しい気分でいられるクラスメイトはいないだろうから、できれば最下位は避けたいし、なんとか1勝したいところだ。
「じゃあ今日はがんばらないとだね♪」
「サポートよろしくね、ひまりちゃん」
「りょーかい!」
そんな感じでストレッチをしっかりとしてから、僕は早速シュート練習を始めた。
僕がシュートを打つと、ゴール下付近に待機しているひまりちゃんがボール拾って、僕にパスを投げ返してくれる。
おかげで僕は、とても効率よくシュート練習をすることができた。
「ハッ!」
ひまりちゃんのパスを受け取った僕は、もう一度フリースローラインからジャンプシュートを放った。
ガコン!
しかし鈍い音とともに、僕の放ったボールはまたもやリングに当たって跳ね返ってしまう。
「あー、惜しいー! ちょっと短かったかも。でもいい感じだと思うよー。フォームも綺麗だしー」
ひまりちゃんが感想を言いながら、スリー・ポイント・ラインあたりでトントンと跳ねていたボールを拾いあげると、「うんしょ!」と可愛い掛け声を上げながら、その場で振り向きざまにジャンプシュート!
ひまりちゃんがの動きからわずかに遅れて、ポニーテールがポンポンっと軽やかに揺れる。
素人目にも美しいと分かるフォームから放たれたシュートは、柔らかな弧を描いてゴールへと向かい。
そのままスポッと心地よい音を立てながら、ボールはリングに触れることなくバスケットを通過した。
「ナイシュー! 相変わらず上手いなぁ、ひまりちゃんは」
「えへへ、昔からバスケは得意なんだよねー」
ゴール下でボールを拾うと、褒めて褒めてオーラを全開にしながらトコトコと近づいてきたひまりちゃんの頭を、僕はポンポンと軽く撫でてあげた。
「ひまりちゃんは偉いね。自慢の妹だよ」
「えへへー♪」
褒め褒めされたひまりちゃんの顔が、にへらーとご満悦になった。
こうしてひまりちゃんが最先端スポブラを着けるようになったことで、僕は体育の時間に安心してバスケの練習に取り組むことができるようになった。
もちろん練習はそれだけじゃない。
他にも、部屋で毎日シュートのイメージトレーニングを繰り返したり。
近所にストリートバスケの屋外コートがあったので、ひまりちゃんと秘密特訓をしたりもした。
といっても、特訓したのは主に僕だけだったけれど。
そもそも本当は僕一人で練習するつもりだったのだ。
だけどひまりちゃんが、
『わたしけっこうバスケ得意だから、教えてあげられるかもだし、ボール拾いもするから、わたしも一緒に行くねー』
半ば既成事実のように言って聞かなかったのだ。
ちなみにボールはバスケ部1年生レギュラー候補の高瀬が、快く貸してくれた。
ありがとう高瀬。
~以下、特訓の回想~
屋外ストリートバスケットコートに、ひまりちゃんとやって来た僕は、
「ラッキー♪ 誰もいないみたいだよ?」
「これなら使いたい放題だね」
ガラガラのコートで、ひまりちゃんと話しながらまずはストレッチを始めた。
「なんかアキトくんって、今回の球技大会すごくやる気だよね?」
うーんと伸びをしながら身体を左に傾けて、脇腹を伸ばすひまりちゃん。
「僕はクラス委員だしさ。最初の行事でクラスを盛り上げたいって気持ちが、なくはないんだ」
鏡合わせのように僕も伸びをしながら、ひまりちゃんを向き合うように身体を傾ける。
身体を横に倒した先にひまりちゃんの顔がある。
90度傾いた世界で、トレードマークのポニーテールだけが、重力に引かれて垂れ下がっているのが、なんとも可愛らしい。
「アキトくん、それすっごくカッコいい!」
「あはは、ありがと。ほら、うちのクラスの男子は、僕も含めて帰宅部や文化部ばかりだろ? 苦戦するのは目に見えてるから、少しでもいい勝負になるように、しっかり練習はしておきたいんだ」
苦戦というか、高確率で最下位争いをすることになるだろう。
最下位になって楽しい気分でいられるクラスメイトはいないだろうから、できれば最下位は避けたいし、なんとか1勝したいところだ。
「じゃあ今日はがんばらないとだね♪」
「サポートよろしくね、ひまりちゃん」
「りょーかい!」
そんな感じでストレッチをしっかりとしてから、僕は早速シュート練習を始めた。
僕がシュートを打つと、ゴール下付近に待機しているひまりちゃんがボール拾って、僕にパスを投げ返してくれる。
おかげで僕は、とても効率よくシュート練習をすることができた。
「ハッ!」
ひまりちゃんのパスを受け取った僕は、もう一度フリースローラインからジャンプシュートを放った。
ガコン!
しかし鈍い音とともに、僕の放ったボールはまたもやリングに当たって跳ね返ってしまう。
「あー、惜しいー! ちょっと短かったかも。でもいい感じだと思うよー。フォームも綺麗だしー」
ひまりちゃんが感想を言いながら、スリー・ポイント・ラインあたりでトントンと跳ねていたボールを拾いあげると、「うんしょ!」と可愛い掛け声を上げながら、その場で振り向きざまにジャンプシュート!
ひまりちゃんがの動きからわずかに遅れて、ポニーテールがポンポンっと軽やかに揺れる。
素人目にも美しいと分かるフォームから放たれたシュートは、柔らかな弧を描いてゴールへと向かい。
そのままスポッと心地よい音を立てながら、ボールはリングに触れることなくバスケットを通過した。
「ナイシュー! 相変わらず上手いなぁ、ひまりちゃんは」
「えへへ、昔からバスケは得意なんだよねー」
ゴール下でボールを拾うと、褒めて褒めてオーラを全開にしながらトコトコと近づいてきたひまりちゃんの頭を、僕はポンポンと軽く撫でてあげた。
「ひまりちゃんは偉いね。自慢の妹だよ」
「えへへー♪」
褒め褒めされたひまりちゃんの顔が、にへらーとご満悦になった。