ぐっすりと熟睡していた僕は、強烈な空腹によって目を覚ました。
起きてすぐ、最初に口をついたのも「お腹減った……なにか食べ物ないかな」である。
いやもうマジのマジで、お腹がペコペコのペコペコのペコペコーラだった。
回復のために使ったエネルギーを再装填することを、身体が猛烈に欲している。
今なら冷めたチキンだって美味しく食べられそうだ。
ベッドの上で上半身だけ起こして「うーん……!」と伸びをすると、背中や腰がバキッ、ボキッと小気味良い音を立てた。
時計を見ると、既に夕方。
「もう16時か。よく寝たなぁ。おかげでかなり体調も戻ったみたいだ」
まだ完全回復とまでは行かないものの、寝る前に遠足のしおりを作ろうとしてすぐにヘバった時と比べたら雲泥の差だ。
回復の度合いを表すように、グ~~!と盛大に腹の虫が鳴った。
「本当にお腹が減ってるよ。でも日曜日の夕方は書き入れ時で父さんは忙しいだろうから、母さんかひまりちゃんにお願いして、何か作ってもらおう」
なんてことを考えていると、コンコンと軽やかなノックがして、
「アキトくん、起きたの? 入るよー」
僕の返事も待たずにひまりちゃんが入ってきた。
「ひまりさん、そんな、勝手に人の部屋に入ったらいけません──」
続けて焦ったような雪希の声が聞こえてくる。
「あはは、いいのいいの。アキトくんとは兄妹なんだし。それに勝手に入るのはいつものことだから」
「ひまりさんはそうかもですけど、私は兄妹じゃないのですが……」
「もう入っちゃったー♪ あ、やっぱりアキトくん起きてた。そんな感じの音がしたんだよね。おはよー、って言ってももう夕方だけど」
にへらーと笑いながら手を上げるひまりちゃんに、
「おはようひまりちゃん。いや、こんにちはかな?」
僕も軽く手を上げて挨拶を返す。
「お、お邪魔しています。それと勝手にお部屋に入ってしまって申し訳ありません」
続けて雪希が緊張した面持ちで、おずおずと入ってきたので、
「こんにちは、雪希。入るのはぜんぜん構わないよ。ひまりちゃんはいつも気軽に入って来るしね」
僕は何も気にしていないよってのが伝わるように、笑顔で迎えてあげると、雪希はホッとしたように表情を緩めた。
「それでアキトくんは、もう起きて大丈夫なの?」
「まだ少しだるいけど、かなり良くなってる。寝る前とはもう全然違ってるから」
「良かった~! 声に張りもあるし、受け答えも力強いし、うん。これなら一安心かな」
「ですね。ひまりさんに聞いていた容態よりも、かなり良さそうに見えますから」
「2人とも、心配してくれてありがとう。それと雪希がいるってことは多分、遠足のしおりを作るのを手伝ってくれてるんだよね?」
「はい。ひまりさんから話を聞いて、はせ参じました」
「雪希ちゃんすごかったんだよ? ラインを入れたらすぐに来てくれたんだもん」
「手伝いに来てくれてありがとう雪希。校外学習まで時間がないからすごく助かったよ」
「いえいえそんな。今日は特に予定もなかったですし、暁斗くんのお手伝いならむしろウェルカムです」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。それでしおり作りは、上手く進んでる?」
「もちもち! 2人で協力して、いい感じにできあがってるよー」
「あとは誤字を確認したり、体裁を整えたりするだけなので、ほぼ完成していますね」
「たった数時間で、それはすごいね。ありがとうひまりちゃん、雪希」
すでにほぼ完成していると聞いた僕は、改めて2人に礼を言った。
しかし。
「だからー。これはわたしの――わたしたちの自己満足なんだってば。ねー、雪希ちゃん」
「はい。暁斗くんが自己満足で初めて、ひまりさんと私が自己満足で作成したんですから、お礼なんて要りませんよ」
2人からはそんなセリフが返ってきた。
起きてすぐ、最初に口をついたのも「お腹減った……なにか食べ物ないかな」である。
いやもうマジのマジで、お腹がペコペコのペコペコのペコペコーラだった。
回復のために使ったエネルギーを再装填することを、身体が猛烈に欲している。
今なら冷めたチキンだって美味しく食べられそうだ。
ベッドの上で上半身だけ起こして「うーん……!」と伸びをすると、背中や腰がバキッ、ボキッと小気味良い音を立てた。
時計を見ると、既に夕方。
「もう16時か。よく寝たなぁ。おかげでかなり体調も戻ったみたいだ」
まだ完全回復とまでは行かないものの、寝る前に遠足のしおりを作ろうとしてすぐにヘバった時と比べたら雲泥の差だ。
回復の度合いを表すように、グ~~!と盛大に腹の虫が鳴った。
「本当にお腹が減ってるよ。でも日曜日の夕方は書き入れ時で父さんは忙しいだろうから、母さんかひまりちゃんにお願いして、何か作ってもらおう」
なんてことを考えていると、コンコンと軽やかなノックがして、
「アキトくん、起きたの? 入るよー」
僕の返事も待たずにひまりちゃんが入ってきた。
「ひまりさん、そんな、勝手に人の部屋に入ったらいけません──」
続けて焦ったような雪希の声が聞こえてくる。
「あはは、いいのいいの。アキトくんとは兄妹なんだし。それに勝手に入るのはいつものことだから」
「ひまりさんはそうかもですけど、私は兄妹じゃないのですが……」
「もう入っちゃったー♪ あ、やっぱりアキトくん起きてた。そんな感じの音がしたんだよね。おはよー、って言ってももう夕方だけど」
にへらーと笑いながら手を上げるひまりちゃんに、
「おはようひまりちゃん。いや、こんにちはかな?」
僕も軽く手を上げて挨拶を返す。
「お、お邪魔しています。それと勝手にお部屋に入ってしまって申し訳ありません」
続けて雪希が緊張した面持ちで、おずおずと入ってきたので、
「こんにちは、雪希。入るのはぜんぜん構わないよ。ひまりちゃんはいつも気軽に入って来るしね」
僕は何も気にしていないよってのが伝わるように、笑顔で迎えてあげると、雪希はホッとしたように表情を緩めた。
「それでアキトくんは、もう起きて大丈夫なの?」
「まだ少しだるいけど、かなり良くなってる。寝る前とはもう全然違ってるから」
「良かった~! 声に張りもあるし、受け答えも力強いし、うん。これなら一安心かな」
「ですね。ひまりさんに聞いていた容態よりも、かなり良さそうに見えますから」
「2人とも、心配してくれてありがとう。それと雪希がいるってことは多分、遠足のしおりを作るのを手伝ってくれてるんだよね?」
「はい。ひまりさんから話を聞いて、はせ参じました」
「雪希ちゃんすごかったんだよ? ラインを入れたらすぐに来てくれたんだもん」
「手伝いに来てくれてありがとう雪希。校外学習まで時間がないからすごく助かったよ」
「いえいえそんな。今日は特に予定もなかったですし、暁斗くんのお手伝いならむしろウェルカムです」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。それでしおり作りは、上手く進んでる?」
「もちもち! 2人で協力して、いい感じにできあがってるよー」
「あとは誤字を確認したり、体裁を整えたりするだけなので、ほぼ完成していますね」
「たった数時間で、それはすごいね。ありがとうひまりちゃん、雪希」
すでにほぼ完成していると聞いた僕は、改めて2人に礼を言った。
しかし。
「だからー。これはわたしの――わたしたちの自己満足なんだってば。ねー、雪希ちゃん」
「はい。暁斗くんが自己満足で初めて、ひまりさんと私が自己満足で作成したんですから、お礼なんて要りませんよ」
2人からはそんなセリフが返ってきた。


