たとえ世界が音を失ったとしても

ランクイン履歴

総合54位(2026/08/15)

青春・恋愛10位(2026/08/12)

青春3位(2026/08/12)

青春・恋愛

豆茶*/著
たとえ世界が音を失ったとしても
作品番号
1788623
最終更新
2026/08/24
総文字数
67,830
ページ数
32ページ
ステータス
未完結
いいね数
45
ランクイン履歴

総合54位(2026/08/15)

青春・恋愛10位(2026/08/12)

青春3位(2026/08/12)

夢を失った君と、自分を失っていた私。
十七歳の私たちは、もう一度「自分」を探し始める。
——十七歳のあなたは、どんな自分を選びますか?
あらすじ
母の理想を演じ続け、自分の気持ちを押し殺して生きる高校三年生・旭川瑠夏。
春休み、学校の音楽室から飛び降りようとした彼女を救ったのは、天才ピアニスト・風間晴政だった。昼休みを共に過ごすうち、少しずつ心を通わせていく二人。しかし、高校最後の梅雨、風間は事故で左手に麻痺を負い、人生そのものだったピアノを失ってしまう。
夢を失った少年と、自分を失った少女。
これは、二人が自分だけの明日を見つける青春物語

目次

この作品の感想ノート

読んでいてどこか懐かしい、けれど切ない、胸がキュッと締まる、そんな気持ちになりました。
初めの、風間君のピアノの『音』の表現が、短い文章でありながら、頭の中で流れるような表現がとても素敵だと思いました。

個人的にくまちゃん先生がお気に入りで、私が学生だった当時似たような先生がいて、その当時の事を思い出し、ホッコリしました。
物語の中で、くまちゃん先生の何気ない一言が風間君と瑠夏の架け橋になっているのもとても『教師』らしくていいと思いました。

家出少女さんが、この後佳奈の家でどんなお話をして。
心にどんな変化が訪れるのか、楽しみです。

月並な感想で申し訳ございませんが、応援しています。

2026/08/23 20:17

穏やかな学校生活の中に、言葉にできない孤独や危うさが静かに溶け込んでいるような、どこか物悲しい雰囲気が印象に残りました。

瑠夏には友達がいて、勉強をして、周囲に合わせて笑うこともできます。一見すると何の問題もない日常なのに、その内側では「自分は誰にとっても特別ではない」という寂しさを抱えている。カラスや空、水たまり、誰もいない朝の教室といった日常の景色を通して、本人にも説明しきれない空虚さが滲んでいるように感じました。

特に印象に残ったのは、風間くんの「何も知らないのはお前だって一緒だろ。自分だけが特別だと思うなよ」という言葉です。瑠夏の痛みに寄り添うような優しい台詞ではなく、むしろ突き放すような厳しさがあります。それでも、風間くんもまた他人には見えない何かを抱えているのではないかと感じさせられました。

平凡であることに苦しむ瑠夏と、特別な才能を持つがゆえに「普通」から離れていく風間くん。正反対に見える二人が、お互いを何も知らないところから少しずつ相手の内側に触れていく関係が興味深かったです。

また、言葉にできない感情をピアノが代わりに伝えているところも好きでした。瑠夏にとって、遠くから聞こえる風間くんの音色は、自分の存在を許してくれるようなものだった。しかし間近で演奏を聴いたことで、その美しい音が、彼の焦りや憧れを削り出して生まれたものだと気づいていく。その場面には、音楽を通して初めて相手の心に触れたような静かな親密さを感じました。

まだ互いを理解しているとは言えない二人だからこそ、風間くんの「また、聞きにこいよ」という不器用な誘いが心に残ります。ピアノを介して二人の孤独がどのように交わっていくのか、先が気になる物語でした。

2026/08/20 23:52

丁寧に積み重ねられた描写が印象的で、今回はとくに風間くんの立場に寄り添いながら読みました。

風間くんの「普通ではない」人生は、孤独や不自由さを伴う一方で、決して不幸なだけのものではなかったのだと思います。彼が奏でてきたピアノそのものが、その人生の豊かさや、積み重ねてきた努力を証明しているように感じました。

だからこそ、それを失った現在の風間くんが、これから何を支えにして、何に向かって頑張ればいいのか分からなくなっている姿には、胸が詰まります。彼にとってピアノは将来の夢というだけでなく、自分の感情を正しく伝えてくれる唯一の言葉でもあったのだと分かり、その喪失の大きさを改めて感じました。

風間くんを中心に作られた家や、飾られた数々の実績、彼を献身的に支えてきたお母さんの期待も、愛情であると同時に残酷なものに見えました。その大きな期待に応え続けてきた風間くんの努力も、本当にすごいと思います。

怪我をしてからも毎日会いに行く瑠夏の真っ直ぐさにも驚きました。一方で、会える日と会えない日があり、心の状態に波がある風間くんの姿がとても人間らしく、簡単には立ち直れない苦しさに現実味がありました。

とくに公園の場面が好きです。初めてブランコを楽しむ年相応の風間くんの姿が微笑ましいぶん、夕陽の中で震える左手がいっそう切なく感じられました。「特別」だった彼が初めて普通の青春に触れる場面でありながら、その背景には失ったものの大きさがずっと残っていて、温かさと残酷さが同居する印象的な場面でした。

2026/08/21 00:22

この作品のひとこと感想

すべての感想数:31

この作品をシェア

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

pagetop