『サヤームの鈴  日本人義勇隊の軍師になった男』

現代ファンタジー

『サヤームの鈴  日本人義勇隊の軍師になった男』
作品番号
1784225
最終更新
2026/06/12
総文字数
16,673
ページ数
7ページ
ステータス
未完結
いいね数
0
“歴史は変えられない。だが、想いは時を越えて響く――”

 観光地として名高いアユタヤの、チャオプラヤ河畔に静かに佇む「日本人町跡」。
 かつてそこには、鎖国直前に国を追われたキリシタンや、関ヶ原の戦いで敗れ、新天地に命を賭けた荒くれ者の武士たちが築いた、人口数千人規模の壮絶な「サムライの町」が実在した。

 バンコクで挫折を抱え、亡き恋人の影に囚われていたドキュメンタリー作家の主人公レックは、ある日、遺跡から出土した古びた恋文に触れた瞬間、一六二五年のシャム王国(現在のタイ)へと逆流する。
 そこは、異国にその名を轟かせた風雲児・山田長政率いる日本人義勇隊が、アユタヤ王朝の血塗られた王座簒奪(さんだつ)劇へと巻き込まれていく激動の時代だった。

 彼を救ったのは、現代で失った恋人と瓜二つの娘・ハナ。だが、彼女の心はすでに英雄・長政に捧げられていた。レックは現代の知見を武器に、長政の軍師として戦場に立ち、泥濘の利権争いの中で町の繁栄を支えていく。

 しかし、牙を剥く歴史の濁流。長政は毒矢に倒れ、日本人町は焼き払われる運命にある――タイの歴史を知る者なら誰もが知る「あの破滅」に向かって、歯車は回り出す。

 未来へ帰ることも、史実を変えることもできない。ならば、この歴史の空白に何を残すのか。レックは「影武者」として長政の名を継ぎ、愛する者の命を繋ぐため、一太刀の可能性に命を懸ける。

 そして現代。西日に染まるチャオプラヤ河を見つめる老境のレックの掌には、四百年前のサヤームの風と、確かにあの鈴の音が残っていた。

 アユタヤ資料館の片隅に眠る錆びた遺物が、突如として鮮烈な血肉を持って動き出す。
 アジア通のあなたにこそ解き明かしてほしい、壮大なる歴史ロマンファンタジー。

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