Nia.さんのレビュー一覧
柔らかくて、痛くて、愛おしい思い出がここには眠っていた。どんでん返しと散りばめられた“優”しい嘘には思わず息を呑みました。もう一度題名を咀嚼した時、言葉の一つ一つに籠められた想いに気付き、心揺さぶられました。優と希衣に触発され、物書きの原点に立返ることができて。この出会いに感謝でいっぱいです。自分にとっても大切でかけがえのない小説となりました。“君”になり切って綴るからこそ見えてくる世界線があって、改めて、彼女は“君”の代わりにはなれないのだと知った。そのどうしようもない悲しさと喪失感を否定することなく、纏められたラストに胸を強く打たれました。人は誰しも夢を持って生まれる。けれど前に向かって歩かないとそれが見つからない仕掛けになっている気もして。その隠された夢と“希”望を見つけに行くことの尊さに背中をそっと押されたような心地になっています。切なくも温かい素敵な作品をありがとうございました。
最後は私たちに委ねられた。読了後の今、直感的にそう思いました。人々の感性を色で表すのなら、まるで白は何色にでも変えられるかのように。だからきっと、この物語は、読者一人一人によってラストが違う。 白が溶ける。 なんて綺麗な表現なのだと、いつしか心奪われていた。短い作品なのにも関わらず、ずっとこの世界に浸っていたい、冬が待ち遠しい、そう恋焦がれてやまなくなってしまう本作品。 一つ一つの描写が細かく、読み返せば読み返すほど、白が深まる。何とも言えない不思議な世界観と彼らの繊細な心情の変化に心揺さぶられました。 何と言っても雪を表す言葉の粒が洗練されており、それがたまらなく心地良い。一つの音楽のように頭の中に広がり溶け込む。そんな紡ぎ出された文章に圧倒されるばかりでした。 お気に入りのフレーズを最後に書かせていただきます。 『春に触れられて、君に触れられて 私たちの冬は──白が溶ける。』
最後は私たちに委ねられた。読了後の今、直感的にそう思いました。人々の感性を色で表すのなら、まるで白は何色にでも変えられるかのように。だからきっと、この物語は、読者一人一人によってラストが違う。
白が溶ける。
なんて綺麗な表現なのだと、いつしか心奪われていた。短い作品なのにも関わらず、ずっとこの世界に浸っていたい、冬が待ち遠しい、そう恋焦がれてやまなくなってしまう本作品。
一つ一つの描写が細かく、読み返せば読み返すほど、白が深まる。何とも言えない不思議な世界観と彼らの繊細な心情の変化に心揺さぶられました。
何と言っても雪を表す言葉の粒が洗練されており、それがたまらなく心地良い。一つの音楽のように頭の中に広がり溶け込む。そんな紡ぎ出された文章に圧倒されるばかりでした。
お気に入りのフレーズを最後に書かせていただきます。
『春に触れられて、君に触れられて
私たちの冬は──白が溶ける。』
衝撃のラストに思わず息を呑む。そして気づけば頬を伝った涙。久しぶりに流したそれは温かかった
殻を破って羽ばたきたいと思った時、読み返したい作品。玲生の台詞の一つ一つに心揺さぶられ、まるで私に向けて放たれた言葉のような気もし、何度も何度も励まされました
本作品は描写表現が非常に細かく、ページを捲った瞬間から登場人物たちに魅了され、虜にさせられます
お嬢様という理由から、小さな鳥籠から抜け出せなかった円香の目の前に、自分の好きなことを後悔ないよう果たしていく玲生が現れた。彼に影響されて、失敗も重ねていきながら、少女だった円香が一人の女性として成長していく姿には胸を打たれました
美文で綴られた本作品を只の恋愛小説、と片づけることはあまりに失礼な気がしています。彼らと出会えて良かった。生について考えさせられる。まさに示唆に富んだ作品でした
円香のように、私も進もう。愛の込められた嘘と共に
"僕なんか"が口癖になっていたユキオの世界を変えてくれたのは紛れもなく、アイナだった
一見完璧に見えるが、手先が不器用で料理が苦手なアイナ。料理以外の分野において劣弱意識を持っているユキオ
性格もスタイルも得意分野も、全てにおいて正反対の二人。しかし互いのブランクを埋め合う理想の関係なのではないか、と思い自然と笑みが零れました
憧れと共に芽生えた劣等感や自己嫌悪。それを乗り越えて、その先にある想いに真っ直ぐ進む。そんなユキオを見ると、思わず声に出して応援したくなりました
読み進めていくうちに、じんわりと胸に温かさが広がっていく。それと同時に、色んな立場の人の悩みに直面していく。まさに示唆に富んだ作品でした
リズミカルに話が進んで行き、ページを捲る速さがどんどん加速していく、というのも本作品の魅力だと感じます
少し休みたい時、ほっこりする時間が疲れたあなたの元に訪れる。ぜひ、ご一読ください
うその手紙から始まる本当の恋。。。
「でも、手紙のなかには、真実があったんだよな」
有り得ないはずの奇跡が幾つも重なり、ほつれた糸が交じり合い、二人のストーリーが始まった。
これは"始まりの物語"のように感じました。
互いに送り合う春のおすそわけ。なんてロマンティックな、優しさ溢れる恋文なのだろう…
暖かい春の日差しと共に芽生えたのは恋心と微かな罪悪感。それがコントラストになって、美しく映えていました。
最後の展開には騙されましたが…
こころ洗われる素敵な美文で綴られた本作品。
"好き"って、こんなに純粋なものなのだと、
相手の真心に惹かれることなのだと、
それを思い出させてくれたのは彼らでした。
たまには、メールではなく、文を送ろうと思います。春の贈り物が、大切なあの人のもとへ届きますように。。。
心情描写が細かく、また健吾と郁実の会話のテンポも良く、気づけば食べることも惜しんで読みふけっていました
”学生”と”社会人”という障壁による苦悩や不安、葛藤などの複雑な心境をスマートに、なおかつ洗練された言葉で書き綴られた本作品
その、読者を惹きつけるような魅力にいつの間にか虜になっていた自分がいました
"どこにも行かない誰か"
純粋で、無邪気で…いつも明るく思えた郁実が心の奥底に抱えていた寂しさや悲しみを知った時、健吾がその”誰か”になれたらいいと感じた。その想いに胸が詰まりましました
健吾と郁実のほっこりするようなやり取りには、幼さが残っていて
二人みたいに初々しい気持ちを忘れず、誰かを想って生きたい、と
変わらないものがあっても良いのだと
そう思うと、まだまだ未熟な学生の私にも大人になるという輝かしい夢が見えました
健吾と郁実に出逢えて良かったです
本当にありがとうございました
描写が綺麗で、スピーディーな場面展開もわかりやすく、ページを捲った瞬間からこの世界に入り込んでいました。
官能的なシーンも純粋無垢な二人の恋心を穢すことなく、むしろ美しく彩らせており、また、色欲ではなく心から互いを求めあっている純情さが伝わってきました。その難しい線引きを美文で綴った西ナナヲ先生の文章力には感銘を受けるばかりでした。
ユーモア溢れる二人の会話とシリアスな場面の融合も違和感なく、琴線に触れた作品。
罪や善悪に対する見方にも胸を打たれます。
出逢えて良かった、と心から思える一冊でした。
ありがとうございます。
心情描写が細かく、希美の気持ちが自分のものと一体化するように感じて……ウソをつかれるより、ウソをつくことのほうが苦しいのかもしれない、と読み終えた今、思います。
"優しいウソ"
その表現が、すごい素敵で心に残りました。優柔不断に思える希美は、違う観点から見れば、それは相手を思いやっていることに他ならなくて。
マイナス部分をプラスに考えることもできるのだと教えられた気がします。
真っ直ぐ何でも言う瀬戸山の数々の名言にも心が震えました。
互いに持っていないものに惹かれ、憧れも抱く。
それは親友にも恋人にも当てはまる理想の繋がりのことで。
そんな関係を築けたらな、と温かい気持ちにさせてくださる一冊でした。素敵な作品をありがとうございます。
時に切なく、時に温かい…それが''生きる''ことなのだと
そう教えてくれたのは、この本でした。
運命は残酷で、決して甘くはない。大切な人たちを失ったことを知った蛍は、それでも彼らのぶんまで生きようとした。その姿勢が健気で、なんだか涙がこみ上げてきました。
人は、自分のためではなくて、誰かのために何かをしよう、とする時にこそ、真に輝ける。
いつか、眠りにつく日…その日まで、私も、誰かのために「生きた証」を残せられたら良いな、と感じています。
