かなさんのレビュー一覧

感服
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どこまでも精巧に練り上げられた、美しく表現豊かな文章で綴られた世界でした。 一冊の分厚い単行本を読んでいるみたいだった。世界の深さに、その深さを表す文章力と語彙力に、何度も感服させられました。到底わたしには書けない物語だと感じました。 よく見かける。声をかけた。そこから始まる、二人の友情。築かれていく、友情より家族に近い絆。深まる毎に、見えてくる影。 渡がその影を見せようと思えたのは、恒相手だったからなのだと思います。一言ではとても言い表せない壮絶な渡の過去に、渡自身に向き合えたのは、恒だったからこそなのだと思います。 一度だけで読み捨てることなどできない、大切なお話。けれど次読むときは本当に重みのある単行本で読んでみたい。そんな風に思える素晴らしい小説を、ありがとうございました。

2016/09/22 08:54
青春・恋愛 146ページ ・総文字数82,894
宝物
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高校生の祈には、父親がいない。母親はいつも忙しい。孤独を抱える祈は、ある日高校に行くのをやめてしまう。そんな祈を迎えに来たのは、32歳の見知らぬ男でーー 一度だけでは足りず、二度目を読み終えてからレビューを書いています。 大好きすぎて、どこから語ればいいかわかりません。人と人との間にいつの間にか生まれていたあたたかさや絆を、どうしてこんなにも素敵に描けるんだろう。わたしもこういう風にされたかった、こういう言葉をかけてほしかった。祈に共感して、沢山、ぼろぼろと泣きました。 この二人の関係は、この二人だからこその形であって、そしてこの形は、作者さんにしか描けない。二人でいるその空間が、いとおしかった。 もう読んで!!すっごく忙しくても読んで!!と、人に薦めて、読み終えたその方と沢山語りたい。こんなに愛おしくてたまらないお話に出会えたことが幸せです。大好きで、宝物です。

2016/09/22 07:08
ヒューマンドラマ 183ページ ・総文字数126,567
どこまでも優しい物語
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好きだった人が、友達の女の子と付き合いだした。昔は仲の良い家族だったのに、今は家の空気が悪い。積もって積もって、耐えきれなくて逃げた、その先で、環が出会ったのはーー この物語を読了してまず一言述べるなら、本当に始終、どこまでも優しいお話だったなぁ…ということです。 優しかった。お話の内容も、使われる言葉の響きも、表現の仕方も。 主人公の環に訪れた奇跡は一つだけじゃない。二つも、三つも。そのどれもに驚かされ、その奇跡の優しさに、思わず目が潤みました。すべてに、深い愛がありました。 自分の中で、勝手にねじ曲げていた世界。けれど、自分が変われば、そこに違うものを見つけられる。 明日から、世界を違う目で見られるような気がします。心に染み入るような、素敵なお話をありがとうございました。

2016/08/20 03:18
青春・恋愛 246ページ ・総文字数107,627
感服のおもい
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構成力と文章力に圧倒されました。なんだろう。読み終えてもなお、というか。久々に世界から抜け出せない感覚です。本当に感服の一言。 いつの間にか、泣いていました。 だれかが死ぬ、という物語は一貫して悲しいもの。けれど、その事象が涙を誘ったのではありません。 作者さんがつむいだ言葉や、人物たちの想い、築かれていった関係性に、心をつかまれて、深く感情移入していたから。このお話には、本物の恋と友情と、絆が描かれていたと思います。 本当に力をお持ちで、そして、それだけではない作者さん。彼女が書き上げたお話に出会えたこと。ヒィに、ミィに出会えたことが、今、とても幸せです。ぜひ、読んでください。

2015/10/07 14:31
青春・恋愛 202ページ ・総文字数138,464
銀河と流れ星を見る
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ずっと夢中だった。これからもずっと走り続けていく。そんな希望に満ち溢れていた世界にいた主人公に、突然訪れた絶望。世界は、もう広がらない。そんな彼女は、あるキッカケで向かった屋上で、綺麗な顔の男の子と出会いーー 心が洗われて、不要なものが流されたあとに、素晴らしいものを容れてくれるお話。陸上の回想シーンでは、フッとレーンに引き込まれたように鳥肌が立つ。二人で星空を見上げる描写に、奥底が滲む。 最終章では、二人の心の綺麗さとひたむきさに、思わず涙が溢れました。最後の、二人で走るシーンが、読者である私に教えてくれます。 失って、それはもう戻らなくて、それでも世界は終わりじゃない。ちゃんと広がっていく。光が、ある。 昴と、真夏が教えてくれます。 そしてまた、私たちも、誰かの光になれることを。 綺麗な涙を流して、前を向ける。素晴らしいお話を、ありがとうございました。

2014/09/24 22:13
青春・恋愛 175ページ ・総文字数101,600
星を壊してでも
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一番辛かった時。「ずっとそばにいる」。美輝には、そう約束してくれた幼なじみがいる。大切で、大好きで、いつしかそれは恋へと発展して、なのに彼は、別の可愛い女子と付き合いだして… まさかの展開に驚きながら、終盤。主人公と一緒に駆け抜けていくような感覚に、これぞいいよさんの疾走感!と、夢中でページをめくりました。 大切な人を笑顔にしたい。だから、そばにいたい。何かしてあげたい。いくらそう思っても、そばにいることを必要とされない。本音を、こぼしてくれない。 すごく切なかった。けれど、美輝がそんな自分の気持ちを押しとどめてまで、彼を笑顔にしてくれるモノを捜しに走った時には、キリキリと胸も喉も締め付けられました。 最後のシーンは、終わりの後の、新たな始まり。読み終えて、大切な人と星を見上げたくなる。そんな、爽やかで懸命で、素敵なお話です。

2014/09/08 07:31
青春・恋愛 115ページ ・総文字数103,787
なんて綺麗な
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後半から、涙をボロボロ流して読みました。 神様が出てくるお話。と言ってしまうと、何だかファンタジーな感じになってしまうのですが。そうじゃないなぁ。このお話、もう色んな物が詰まっていて。コミカルな場面。切ない場面。挫折も、焦りも描かれている。でも全てにおいて、どこかに優しさを感じるんです。 そして、『夢』という強いメッセージ。問いかけられた、気がしました。教えてもらった気がしました。 文章がスッと体の中に入ってくる感覚。この作品世界の雰囲気。ほんとにスーッと、入ってくる。だから、気持ちと繋がって、自然と涙が出てしまったのだと思います。 夢は、一人の中で生まれるものじゃない。だれかと繋がることで。気持ちを交わすことで。生まれ、育まれるもの。 ユニークで、いつも人を愛する、常葉が好き。迷うけど、立ち止まるけど、背すじを伸ばせる。だれかを思って走り回れる。そんな千世が、大好きです。

2013/12/20 13:31
あやかし・和風ファンタジー 207ページ ・総文字数134,920
ウソのなかのホントウ
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泣いてしまいました…!! 自分でもびっくり。大きな事件があったわけではない。一つの、高校生の等身大の恋愛。それを描いた作品で、こんなに泣いてしまうとは思いませんでした。 好きだ。その文字がキッカケではじまる、ふたりの交換日記。 なんて素敵なお話なんだろう。なんて沢山のメッセージと、気持ちが込められた作品なんだろう。好き。雰囲気も、登場人物たちも、丸ごとギューッと、でもそっと、抱きしめたいくらい大好きです。 人に、伝えるべきじゃないこと。伝えなきゃいけないこと。わたしたちは、迷う。嫌われたくないから。相手に、好かれたいから。だから、ウソをつく。重ねる。生まれる罪悪感。 でもね、そこに生まれたものは、伝えなきゃいけない、大事な大事な気持ちで。 『ホントウ』を伝えられるのは、自分しかいないんだね。最初がウソだったとしても、相手に伝わったホントウは、きっと素敵な奇跡のはじまり。

2013/12/07 03:44
青春・恋愛 206ページ ・総文字数110,990
繰り返すなかで、みつけたもの
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後半に進むにつれて、涙が止まりませんでした。人と人の間には、お互いに伝えずに抱えている気持ちが、いったいどのくらいあるんだろう。 言わない。聞かない。それが、相手を思いやるからではなく。自分が傷つきたくなくて、逃げているだけなんじゃないか。 そのことに気づかされたとき、自分の心がすごく、ふるえるのを感じました。 言いたくない。聞きたくない。自分が、傷つきたくないから。でもそうして、相手を見つめることができなくなっていくことは、本当にさみしいこと。 それなら、伝えよう。ここにしかない今を、大切な人と生きるために。 作者さまのメッセージが、強く心にひびく作品。大切な人の話を、大事に聞きたい。一緒に笑いたい。相手にどう思われるかでなく、自分の思いに、向き合えるよう強くなりたい。 素晴らしいお話を、ありがとうございました。

2013/06/21 13:28
青春・恋愛 203ページ ・総文字数84,819
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