- 作品番号
- 1094864
- 最終更新
- 2021/03/07
- 総文字数
- 126,567
- ページ数
- 183ページ
- ステータス
- 完結
- いいね数
- 10
- ランクイン履歴
-
総合60位(2020/04/23)
ヒューマンドラマ2位(2022/03/27)
退屈な毎日は退屈なまま
そういうものだって思ってた
世界はたったひとつの色で
塗りつぶされてるって思ってた
「おまえは、美しい生き物だな」
世界は変わる
いとも簡単に
その低い声の先で
色を
形を
こんなにも
いとおしく変えてゆく
14/8/21~16/8/2
この作品のレビュー
「でもきっと、価値はあることだよ」 学校に行くっていう、一番の日常を手放して。自分の殻に閉じこもった。さみしいを抱えて、吐き出す場所を探していた。そんなある日迎えにきたのは、15歳も年上のおじさん。 トクベツなことがあるわけじゃない。一緒に暮らすって、一緒に食事をするってこと。一緒にテレビを見たり、一緒に今日のことを話したりするってこと。たったそれだけの日常が、ふたりの心と距離をじわじわ溶かしていく。そしてまた、新しい色に染め上げていく。それはきっと、優しくてあったかい色なんだろう。 愛情という名前の不確かなモノを、こんなにも揺るぎなく鮮明に描いた作品を私は他に知りません。気づいたらぼろぼろと流れている涙を止めることができませんでした。 何度でも読み返したくなる、愛を見つけられる素敵なお話です。ぜひ、御一読を。このあたたかさに触れてみてください。
日常を放って、ヘンテコな日々に足を踏み入れた。手放しても惜しくない毎日を。休んでみた。学校に行かない理由なんてない。好きじゃない理由なんてない。 退屈で、愛せない、塗りつぶされた世界。 「自分で考えて、決めろ。拙くても、それが正解だ」 15コ上のぬくもり。近くにあった。そばにいた。頭をなでる手は色褪せていた景色を、いとも簡単に。 目の前を、自分を。変えた。染めた。多彩でいとおしく。こんな世界で、夢だって持てた。 柔らかい文章、優しい雰囲気、淡い世界観。それなのにどうしてこんなに力強く響いてくるんだろう。説得力があるんだろう。涙がずるずる引っ張り出されました。これだから人と人っていとしくて綺麗なんだ。毎回、作品を読む度にそう思います。 歪でも不器用でもいいよ。あなたがいる世界で、空の下できょうも、生きてゆこう。 素敵な作品ありがとうございました。ぜひ御一読を。
無精髭を生やして、ぶっきらぼうで、無愛想。 でも、本当はとても優しくて不器用。 柔らかな染め物をする、32歳のおじさん。 学校が楽しくない祈は、不登校を続けるある日、唐突に、デザイナーの母の元部下だというそのおじさんのもとで生活することになった。 高校生にとって日常であるはずの「アッチ側」と、新鮮で居心地がいい「コッチ側」。 2つの価値観を見比べながら、ときに胸の痛くなる出来事に遭遇しながら、祈は自分と向き合っていく。 学校に行かないのはワルイコトなのか、仕事ばっかりの母への正直な気持ちはどこにあるのか、将来が何も見えない不安をどうすればいいのか。 おじさんは祈の疑問に丁寧に答えてくれるわけではないけれど、祈はおじさんのそばにいることで、自分なりの答えを探していく。 後悔は、必ずある。 だから、有意義な後悔を。 でこぼこな二人が少し切なくて、けれどとても爽やかな物語でした。
この作品の感想ノート
レビューでは書ききれなかったので、こちらにも失礼します。
私がこのお話を読んだのは去年の秋頃ですが、あのときの衝撃と感動は今でも忘れられません。いつこうして感想を書きに伺おうかなあと思っていたのですが、どうせなら高校をちゃんと卒業してからにしようと決めて今日になってしまいました(笑)
このお話を読んだ時、自分自身めちゃくちゃ悩んでいました。今思えば受験期で結構精神もやられていたんだと思いますが、祈とおなじで学校に行くのが毎日億劫でなりませんでした。一週間くらい学校に行けなかったとき、ちょうどこのお話に出逢ったんです。
「学校に行って、夢を持つことだけがエライってわけじゃねえよ。」
「でもきっと、価値はあることだよ」
そんな和志さんの言葉に、祈と同時に自分も救われました。涙が止まりませんでした。ああ、ちゃんとしようって思えました。あのときこの物語を読んで、本当によかったって心から思います。
あれから、ツラくなったときは何度もこのお話を読み返してます。無事に高校も卒業できました(笑)
夢雨さんのえがく世界観が本当に大好きで、これからもずっとずっとファンです!愛が溢れて止まりません(うざい)
素敵なお話をありがとうございました。このお話に救われました。また何度でも読み返します!
◇吉永 優さん
こんにちは!先日はツイッターでもありがとうございました(><)
ホリデイの始まりはほんとうに『JKに振りまわされるオジサンを書きたい!!』という気持ちのみだったので、そんなもったいないお言葉をいただいてとても恐縮です(;_;)ありがとうございます。
おじさんと祈だけでなく、おかーさんとの絆にも重きを置いて書いていたので、お言葉うれしいです。
拙いものばかりを吐きだしていますが、これからもぜひ仲良くしてやってください\(^^)/ありがとうございました…!
すみません、間違って投稿ボタンを押してしまいました…!
以前から夢雨さんの小説を読み漁ってて、いつか感想ノートにおじゃまさせていただきたいと思っていました。
こんかいのお話、とてもあたたかくて涙が止まりませんでした。
学校に行きたくない祈、なんだか不思議なおじさん。二人の同居生活に、ほっこりして、どきどきして。お母さんと祈のやりとりは毎回泣きました。親子の絆の深さ、実感しました。
素敵なお話をありがとうございました。
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