親愛なる宿敵へ

青春・恋愛

秋の空/著
親愛なる宿敵へ
作品番号
1670900
最終更新
2022/07/20
総文字数
120,706
ページ数
109ページ
ステータス
完結
いいね数
0


彼女は俺の目を塞いだ。

「怖いなら、見なければいいんだよ」

真昼の夜闇は暖かかった。


そして優しく、いたずらに囁く。

「世の中にはね、本当のことなんてないんだよ」



今までが嘘でもいい。

今までの幸福と引き換えに、今を嘘にしてほしい。


本当のことなんて欲しくない。

本当のことなんて、ただ、世界を包む嘘だけでいい。



大輪の赤い花が小さな花に変わった。

ずっと枯れずに咲いていた赤い花。


どこかで鳥が鳴く。


もしもこれが嘘ならば、

ここはなんて悲しい場所だろう。


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