秋野桜さんのレビュー一覧
成績優秀な姉・晶とバスケ部で活躍する弟・燿。ふたりは口を開けば喧嘩に発展しそうな口調のやりとりばかり。でも喧嘩するほど仲が良いというのは本当。 きょうだいって親、友達、恋人とはまた違った近さにいる存在で。誰よりもむかつくことも嫌いと思うこともあるのに、一番自分のこと理解してくれているのもそのきょうだいだったりする。悩んでいる晶を心配して燿が動いたのも、燿が傷つけられるのが悔しくて晶が怒ったのも、お互いが大事な存在だから。 私は弟がいるので、思春期の頃の私達もこんなのだったなぁと笑わせてもらったり、懐かしくて共感したり所々泣きました。 成長するにつれて反発することも増えて、自分にないものを持っている相手に羨ましい思いや寂しさを感じてしまうこともある。けどふたりは大切な家族だから分かり合える。きょうだいを通じて見える周りの人との関係もとても温かみに溢れています。ぜひご一読を。
成績優秀な姉・晶とバスケ部で活躍する弟・燿。ふたりは口を開けば喧嘩に発展しそうな口調のやりとりばかり。でも喧嘩するほど仲が良いというのは本当。
きょうだいって親、友達、恋人とはまた違った近さにいる存在で。誰よりもむかつくことも嫌いと思うこともあるのに、一番自分のこと理解してくれているのもそのきょうだいだったりする。悩んでいる晶を心配して燿が動いたのも、燿が傷つけられるのが悔しくて晶が怒ったのも、お互いが大事な存在だから。
私は弟がいるので、思春期の頃の私達もこんなのだったなぁと笑わせてもらったり、懐かしくて共感したり所々泣きました。
成長するにつれて反発することも増えて、自分にないものを持っている相手に羨ましい思いや寂しさを感じてしまうこともある。けどふたりは大切な家族だから分かり合える。きょうだいを通じて見える周りの人との関係もとても温かみに溢れています。ぜひご一読を。
とある夏、ひまわりのように笑う美月が事故で亡くなってしまった。大好きな彼氏を残して――。
そんな美月の霊が見えるようになった陽鶴。彼女の姿が見えるのも、声を聞くことが出来るのも自分だけ。それはなぜなのか疑問は残るけど、陽鶴は美月の助けになろうと動き出していく。ひと夏の幻のような永遠の日々の中で。
伝えたくても伝えられない。そんな状況の美月ちゃんの思いも、それを目の当たりにする陽鶴ちゃんの思いも切なかったです。
陽鶴、美月、杏里、穂積の4人で過ごす日々は、不可思議だけどかけがえのないもの。だけど奇跡はいくつも望めるわけでもなく、その現実を知る度に胸が痛くなる。
陽鶴ちゃんたちの優しい思いに触れるたびに泣けてきたけど、決して悲しいだけのお話ではない。だって大切なことは彼女にたくさん伝えてもらったから。
「美月ちゃんを永遠にする」
この文章のその先の温かな未来をどうぞ見届けください。
どの世界にいても何かしらの価値で人は分けられてしまう。その人の声を聞かずに決められた価値で階級をつけられる。
『我々は反乱軍である』
これはそんなヒエラルキーが成り立つ世界で思いを叫び、声を聞こうと戦う人達の物語。
全員が平等であればいい。私の声を聞いてほしい。理解してほしい。でも現実はそう上手くいかない。信頼していた人に裏切られることもある。優劣で上下関係を作られる。全員が分かり合えるわけでもない。
気持ちを伝えても耳を傾けてくれない。……それでも叫ぶ、そして声を聞く。そうやって戦うと決めた主人公達の姿に、勇気を貰うと共に胸が締め付けられました。学生時代、弱くて声を出して戦うことが出来なかった自分にもこの物語を読ませてあげたいぐらいです。
各々が思いを抱えているからこそ声に出して叫ぶ。耳を傾ける。少しでも寄り添い、また違った明るい未来を歩くために。素敵なお話です。ぜひご一読を。
快晴の空の下、かつて誰よりも速く走った昴。エーススプリンターとして広がっていく世界で、どこまでも飛んでいけると思った。でも目指していた光は、非情にも見えなくなってしまう。
そんな彼女が出会った、星が好きな真夏。何も知らないはずなのに、温かく優しい言葉をくれた。
真っ暗で広がらないと思った世界。でも目を開けて見上げれば、確かにそこには光がある。
青い空の下、きみが見つけてくれたあたしの光。星空の下、今度はきみがあたしの目印の光になる。また光は見つけられることをきみは教えてくれた。
速く走れなくても、今度はきみとこの始まったばかりの世界を進んでいこう。
全く同じ経験がなくても、痛く悲しい昴の気持ちに頷き、一緒に真夏くんの言葉に救われて導かれていきました。心の奥底に染み渡る描写に、何度も涙が浮かびました。
昴と真夏の光。大切にしたい宝物が一杯詰まった素敵なお話。ありがとうございました!
『ずっと、そばにいるよ』
泣かなかったあの夜、幼なじみがそう約束してくれた。今も覚えているし、ずっと守ってくれている。
キミが悲しむから、私は泣かなかった。キミが笑顔を見せてそばにいてくれるからそれで良かった。変わらないものを、信じていた。
でも、確かに変わっていく。私とキミとの特別な関係が、大嫌いなあの子によって……。
*
生きていれば、変わるものの方がずっと多い。だからこそ得るものもあるのだけど、受け入れるのにも勇気がいる。
だけど、生きていれば。文句を言ったり信じることも出来る。大嫌いなものも好きになろうと思えるようになる。大事な人のそばにいられる。だからやっぱり、生きていてほしいと思える。
星になるなんて100年早いんだよ。
大事な人や、大事な人の大事な人、みんな生きていてほしい。その思いが強くなる作品です。ぜひご一読を。
『好きだ』
そんな言葉から伝わってきたのは、とても真っ直ぐな気持ち。戸惑いながらも始まったのはバカ正直な彼との交換日記。
交換日記の中で彼とやりとりするウソつきな私と、自分の本音をウソではぐらかしてしまう私自身。どちらもウソばかりな私だけど全部が“本当の私”なわけで、それをちゃんと分かってくれていたのが彼だった。
『どっちでもいい』というのも意見だと認めてくれたから、ウソの中に隠された私を見つけてあげることが出来たのかもしれない。
――彼が好きだという気持ちは、最初からウソじゃなかったね。
ウソをきっかけに動いていく希美の気持ちに、読んでいてわたしまで救われるような気持ちになれました。切ないけれど希望を抱ける素敵なお話です。ありがとうございました!
きみが側にいないと、わたしは生きていけなかった。だけどもう、きみは隣にはいなくて。それでも何度もきみの名前を呼ぶの。
『ハルカ』
泣くことも笑うこともきみの前でしか出来なかったから、涙も笑顔もきみが持っていってしまったんだね。
『コハル』
でも、何もいらないから。名前を呼んで早く迎えに来て。ふたりで分かち合ったガーネットも、ずっと片割れを待っているよ。
『俺は、瑚春に、涙と笑顔を返すために、ここに居る』
でも、現れたのはきみと同じようなこと言う冬眞で。綺麗に笑うこの人も、きみに救われていた。
数奇な巡り合わせ。三人で呼び合っていたから、出会えた奇跡。
失ったものは戻らないけど、完全に消えたわけではないから。自分を見守る優しいものに気付けたとき、また歩き出すことが出来る。
だから見守っていてね、わたしたちに行く末を。
切ないのに温かい素敵なお話でした。ありがとうございます。
教室という一つの世界には、自分と全然考え方が違う人、明るい人、優等生、様々な人が集まっている。
そんな世界は小さくて、ときには狭くて。
自分の居場所を探すために、そこに居るために、きっとたくさんの酸素を必要とするのだろう。だけどその必要な酸素を、どうすれば手に入れることが出来たのだろう。
許せないこともあった。理解しきれていないこともあった。すべてを好きになることはきっと難しかった。
だけど、みんなが同じである必要なんてない。きっと違う生き物だからこそ、酸素も奪い合い、そして嫌いの中に好きが生まれるのだろう。
だから、好きになるきっかけはいくつかあった。きっと好きな人やモノを見つけることが出来たとき、きっとこの狭苦しい世界も末広がりに明けていくのだろう。
そんな希望が、この世界にはある。
中学生ならではの世界観、疑問、衝突がとてもリアルでした。
完結おめでとうございます。
