
- 作品番号
- 1746190
- 最終更新
- 2025/03/31
- 総文字数
- 119,138
- ページ数
- 51ページ
- ステータス
- 完結
- いいね数
- 6
- ランクイン履歴
総合40位(2025/03/11)
青春・恋愛22位(2025/03/11)
第4回「きみの物語が、誰かを変える。」小説大賞応募作品です。
「終電を逃したから泊めてくれない?」
私の日常は、あの日、彼の——葉加瀬梨斗の一言で大きく色を変え、形を変えた。
夜の十一時、閉店したスーパーの前で、紺青色の空の下、私は大きく息を吸って、止める。
ずっと、うまく呼吸ができない。
頭の中をぐわらんぐわらんと鳴り響く耳鳴りのような音が、本当の私を身体の外へ締め出していく。
きみは私を、廃園後の遊園地に連れ出した。
まるでピエロが私の手をとって踊るように。
くるくる、ころころ、楽しそうに無邪気に笑うきみは、私の心をまるごとすくっていく。
観覧車は回り始める。
誰かのために生き続けるきみを乗せて。
15分間だけ、きみに会える。
「終電を逃したから泊めてくれない?」
私の日常は、あの日、彼の——葉加瀬梨斗の一言で大きく色を変え、形を変えた。
夜の十一時、閉店したスーパーの前で、紺青色の空の下、私は大きく息を吸って、止める。
ずっと、うまく呼吸ができない。
頭の中をぐわらんぐわらんと鳴り響く耳鳴りのような音が、本当の私を身体の外へ締め出していく。
きみは私を、廃園後の遊園地に連れ出した。
まるでピエロが私の手をとって踊るように。
くるくる、ころころ、楽しそうに無邪気に笑うきみは、私の心をまるごとすくっていく。
観覧車は回り始める。
誰かのために生き続けるきみを乗せて。
15分間だけ、きみに会える。
- あらすじ
- 城北高校二年生の深町日彩は、母親と祖母と三人暮らし。
仕事に忙しい母親を支えるために、家事全般を担い、認知症の祖母の”ケア”に勤しむヤングケアラー。
——このまま、他人のために生き続けるしかないのかな……。
不安を抱えていた日彩だったが、深夜に買い出しに出かけたスーパーの前で、梨斗という少年に声をかけられる。
梨斗は日彩を廃園後の遊園地に連れ出した。
観覧車が回る15分間だけ、きみに会える——。
この作品の感想ノート
感想を失礼いたします。
「家族」だからこそ、感じてはいけない気持ちがあるように思ってしまう、複雑な感情を抱いて自分を責めてしまうヒロインの気持ちが本当に共感できて、胸がギュッと押し潰されそうになりました。でも、さらに読み進めていくと、ヒーローとの出会いを経て、周囲の人とまっすぐ向き合えるようになり、いい方向に向かっていく、解放へと向かっていく。その流れにとても元気づけられました。そしてヒーローもまた、ヒロインによって救われていくっていうのがもうっっ!!ただ言葉によって救われるだけではなくて、2人とも実際に問題解決のために行動を起こしていくのが「本当の救い」を感じられて素敵だと思いました。
それに、観覧車から見える景色がこの目に映るようで、表現がとても繊細で綺麗でした。
素敵な作品をありがとうございました!
泉紫織さん
2025/03/30 14:56