砂浜に描いたうたかたの夢

青春・恋愛

砂浜に描いたうたかたの夢
作品番号
1713745
最終更新
2024/04/24
総文字数
139,312
ページ数
63ページ
ステータス
完結
いいね数
0
はじまりは、お天道様が本気を出す前の夏の朝。


「──それなら、旅行に行くか?」


日々の勉強に疲弊して限界寸前に達した私に
帰省を提案した父の声だった。


「いなくなったら、喧嘩することも、
笑い合うことも、一緒にご飯を食べることも、
こうやって触れ合うこともできなくなるんだよ」


目を瞑ったまま強く言い聞かせるように言葉を紡ぐ姿も


「……馬鹿で意地悪でチャラくて、ズルい男でごめんね」


いたずらっ子のように笑う顔も
指切りをした小指の温もりも
別れ際の不意打ちの口づけも

全部──一生忘れない。


「俺が恋しいからって、予定早めるなよ?」


そう言って頭を優しく撫でた君は
結局最後まで女心を理解できなかったけど、
誰よりも愛に溢れた最高の王子様だった。


これはわずか7日間の、
儚く切ない、ひと夏の愛の物語。


2024/4/24 公開

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