猫付き下宿・日向荘 やわらかな檻の中で、忘れられない恋を

ヒューマンドラマ

猫付き下宿・日向荘 やわらかな檻の中で、忘れられない恋を
作品番号
1766060
最終更新
2025/11/25
総文字数
17,472
ページ数
10ページ
ステータス
完結
いいね数
0
 失恋の傷を抱えたまま、新しい下宿へ引っ越してきた青年と、猫まみれの一軒家を切り盛りする管理人さん、そして四匹の猫たちとの、ゆっくり進む恋と再生の物語です。

 舞台は「猫付き下宿・日向荘」。
 玄関を開けた瞬間から、足元には猫、廊下にも猫、洗濯かごの中にも猫。そんな家にやって来た藤原悠誠は、押し入れの奥に「開けられない箱」を隠したまま、半分だけ息をひそめるように暮らし始めます。

 日向荘の管理人・緑川翠は、明るく見えて、心のどこかに消えない後悔を抱えた女性です。
 彼女が用意する温かいご飯と、おしゃべりと、さりげない気遣い。そして、ボス猫メンフィス、恋愛監督マリ、屋根の上が好きなラスムス、膝に飛び乗る専門のパイパー……四匹の猫たちが、それぞれのやり方で人間の心に寄り添います。

 元恋人との思い出をしまい込んだ「箱」、前に働いていた場所で助けられなかった命の記憶、誰にも言えないまま胸につかえている後悔。
 日向荘での暮らしの中で、二人は少しずつそれらと向き合い、「捨てる」でも「なかったことにする」でもない、ほどよい距離の取り方を探していきます。

 大きな事件は起きませんが、猫たちが毎日少しずつ、空気を変えてくれます。
 泣きたい夜にはそっと膝に乗り、迷っているときには箱の上で丸くなり、屋根の上から帰り道を見守る――そんな小さな出来事の積み重ねが、やがて「もう一度、誰かを好きになってもいいかもしれない」と思える力に変わっていきます。
あらすじ
 失恋の痛みを抱えたまま「猫付き下宿・日向荘」に引っ越してきた藤原悠誠。押し入れの奥には、元恋人との思い出を詰め込んだ開けられない箱。
 管理人の緑川翠と四匹の猫たちは、決して無理に踏み込まず、ただそばにいて日常を重ねていく。猫たちの視点も交えながら、「忘れられない恋」との距離を少しずつ変えていく中で、二人はやがて、名前のつかないまま温めてきた気持ちと向き合っていく。

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