
- 作品番号
- 1746293
- 最終更新
- 2025/08/24
- 総文字数
- 123,085
- ページ数
- 70ページ
- ステータス
- 完結
- いいね数
- 5
- ランクイン履歴
-
ヒューマンドラマ26位(2026/06/11)
「好きな人、できた?」
「本当は、どうしたいの?」
その問いかけはいつも柔らかくて。優しくて。
だからこそ、私は答えられなかった。
その気持ちを言葉に乗せたら、みんなが困るから。
その気持ちのまま行動したら、みんなが困るから。
その気持ちに気付いてしまう、自分が怖いから。
「求められている私」になってしまえば、全てが丸く収まる。だから私は自分の心をペットボトルだと思って、ギュッとフタをした。
揺すっても、振っても、開けない限りは溢れない心の栓。
もし炭酸ジュースのようにシュワシュワと音を鳴らして感情が立ち上がっても、開けなければ大丈夫。そっとしておけば、やがて消えていき決して溢れることなんてない。
感情なんて、初めからなかったみたいに。
そうやって生きれば、楽だった。
悩みも、葛藤もないふりをして。ただ巡る季節に身を委ねて、時の流れに乗ればいい。
桜が美しくて咲いて、新たな命の息吹を感じても。
夏の太陽が眩しくて、海がキラキラと輝いていても。
小さくなっていく入道雲に切なさが過ぎっても。
手の平で消えていく雪が、私の人生と重なっても。
心は少しも揺れないふりをして、風に背中を押されながら歩く。
──感情なんていらない。だって、必要ないのだから。
- あらすじ
- 渡辺未咲は高校三年生、父と双子の姉との三人暮らし。姉は重度知的障害を抱え、知能は三歳程度。物心着く頃から姉中心の生活に身を置き、母を亡くしてからは家事と姉の介助を担う立場。
高校卒業後はバイトと姉の世話をすると決め、教師より自分の人生を生きるようにと助言を受けるも考えを改めることはない。
幼少期より抑えてきた感情、求められている役割、諦めた自分の人生。
それを変えてくれたのは無愛想な同級生だった。
この作品の感想ノート
始めまして、余所で拝読させて頂いた者です。
少し読んでみて、素晴らしい構成力と文章にスッカリ読み漁っていました。
介護のお仕事をなさっていたのか、お詳しいだけでなく凄く共感が持てましたし、何よりもリアルでした。
特にこの物語のリアルさは圧巻でした!
最初にこの物語を拝読させていただき、お作品を5作拝読させていただきましたが、やはり医療関係の描写は特筆するものがあり、マイワールドを築いていらっしゃると思いました。
これは作者様の長所であり魅力であり、武器であると思います。
そのなかで、私のような若輩者が大変失礼だとは思い、恐縮なのですが、大きな欠点もあるのかなぁ…とも感じます。
一つは登場人物の長台詞です。
台詞の中では情景は何も変わらず、その人の表情の変化もありません。
読者さんは想像力を働かせない限り、真っ暗で何も見えない状況で言葉だけを聞き続けなければなりません。
これはストレスになると思いますし、読み飛ばされる確率も高くなると思います。
たとえばなのですが、アルファポリス版「もしも、巡る季節が止まってくれたら」の84話でしたら。
私は瞼に溜まる涙もお構いなしに、五十嵐くんの顔をじっと見つめながら話した。
むかし遊園地に連れて行ってもらったとき、お姉ちゃんがすぐにパニックを起こして暴れて帰らなければならなくなったことを。
周囲の人が、まるで「帰れ!」と言わんばかりに、私たちをジロジロと嫌な目で見て。
私たちは悪いことをしたようにコソコソと帰る羽目になって……。
「誕生日っだったのよ!」
五十嵐くんは辛そうに俯いた。
私は何も悪くない五十嵐くんに、追い打ちをかけるように言ってしまう。
「私には楽しみを持つことは許されない。だから期待するような未来はないの」
五十嵐くんの握った拳が微かに揺れていたが、私は話し続けた。
みたいな感じで情景と言葉を交互に入れて行けば、読みやすくなると思います。
未咲が感情のままに喋るシーンであることは分かりますが、そのまま書かないのも執筆者の腕の見せ所なのではないでしょうか?
あとは、1話の文字数は3,000文字以内でまとめて多い時は、たとえば①②と分けてくれたら読みやすいです。
めっちゃ小説家への道は近い方だと思いますので、これからも頑張ってください!
突然の失礼お許しくださいm(_ _"m)
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