「おはよう」
「未咲、おはようー」
ノリのよい声に、私の心は弾んでいく。
やっと平等の関係に身を置ける。
そんな安堵の感情が無意識に湧き立っていた。
「今日はソフトテニスだね。もう楽しみで……」
自席に学生鞄を置くけど、何かが足りない。何かが……。
和らいでいた私の表情はどんどんと強張っていき、ザワザワとなる胸を抑えつつ時間割を一つずつ確認していく。
あっ!
ようやく気付いた。
……体操服、忘れた。
はぁーと心の奥で溜息を吐き、ヘニャヘニャと脱力していく。
昨日の清掃活動で汚れたから持って帰って朝一で洗濯して乾かして、手提げ鞄に入れたのに。
「あー。そうゆうこともあるよ」
「大丈夫、大丈夫」
優しく声をかけてくれるけどそのトーンは低く、フォロー出来ないと眉を下げている。
気を遣わせてはならないと、やっちゃったよーと声を出すけど私は上手く笑えているのだろうか?
「校庭一周な」
「すみません……」
ずっと憂鬱だった五限目の体育。体操服を忘れたら校庭を走ると決まっていて暑い昼下がりに校庭一周一キロとされている距離を走り始める。
みんなはしっかり準備していて、忘れたのは一人。恥ずかしいやら情けないやら。
体育なのに体操服を忘れたんだから、当然だよね。
校庭周辺は木々が茂っていて直射日光にならない場所が多いが、ねっとりまとわりつく暑さが寝不足な私の体力を削っていく。
準備はしていたんだよ、持って行くつもりだったんだよ。だけど姉がトイレに行ったから衣類直しをする時に鞄と体操服の入った手提げ鞄を玄関の片隅に置いて、時間がないからと慌てて鞄のみ持って出てしまった。
……分かってる、忘れた自分が悪い。だけど自分のことだけしか考えなくて済んだら、忘れなかったのに。
ハッとなった私は、唇をギュッと噛み締める。
やめよう。自分が悪いんだから。
「未咲、おはようー」
ノリのよい声に、私の心は弾んでいく。
やっと平等の関係に身を置ける。
そんな安堵の感情が無意識に湧き立っていた。
「今日はソフトテニスだね。もう楽しみで……」
自席に学生鞄を置くけど、何かが足りない。何かが……。
和らいでいた私の表情はどんどんと強張っていき、ザワザワとなる胸を抑えつつ時間割を一つずつ確認していく。
あっ!
ようやく気付いた。
……体操服、忘れた。
はぁーと心の奥で溜息を吐き、ヘニャヘニャと脱力していく。
昨日の清掃活動で汚れたから持って帰って朝一で洗濯して乾かして、手提げ鞄に入れたのに。
「あー。そうゆうこともあるよ」
「大丈夫、大丈夫」
優しく声をかけてくれるけどそのトーンは低く、フォロー出来ないと眉を下げている。
気を遣わせてはならないと、やっちゃったよーと声を出すけど私は上手く笑えているのだろうか?
「校庭一周な」
「すみません……」
ずっと憂鬱だった五限目の体育。体操服を忘れたら校庭を走ると決まっていて暑い昼下がりに校庭一周一キロとされている距離を走り始める。
みんなはしっかり準備していて、忘れたのは一人。恥ずかしいやら情けないやら。
体育なのに体操服を忘れたんだから、当然だよね。
校庭周辺は木々が茂っていて直射日光にならない場所が多いが、ねっとりまとわりつく暑さが寝不足な私の体力を削っていく。
準備はしていたんだよ、持って行くつもりだったんだよ。だけど姉がトイレに行ったから衣類直しをする時に鞄と体操服の入った手提げ鞄を玄関の片隅に置いて、時間がないからと慌てて鞄のみ持って出てしまった。
……分かってる、忘れた自分が悪い。だけど自分のことだけしか考えなくて済んだら、忘れなかったのに。
ハッとなった私は、唇をギュッと噛み締める。
やめよう。自分が悪いんだから。



