櫻いいよさんのレビュー一覧

ネタバレ
優しいから切ない愛の物語
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2021/10/27 22:39
ヒューマンドラマ 125ページ ・総文字数114,130
一夏の永遠
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突然、命を失ってしまった友人。 大好きな友人だった。 そして彼女を愛した彼から笑顔が消えた。 そんな彼女と唯一つながれる主人公。どうか、どうか、彼に彼女の想いが、熱が、伝わりますように。 始めから最後までずっと胸が苦しかった。みんながみんな、ただ純粋でたったひとつの想いを抱いているだけなのに、それが満たされない切なさに、涙を堪えるのが大変なくらい。 けれど、それを乗り越えた先にある彼らと彼女の笑顔は、とても眩しく感じました。 短い一夏を、主人公は間違いなく、永遠に彩った。 みんながとても愛おしくてたまらない。 この作品を読めて良かったです。

2015/11/11 00:16
青春・恋愛 202ページ ・総文字数138,464
愛すべき、かつ憎き姉弟
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しっかりもので、勉強のできる姉。小憎たらしいいまどきの弟。 毎日ケンカ。 だってテレビは好きなのが見たいし、リビングで落ち着きたいのに相手は邪魔だし。オムライスはケチャップライスがいいし、口は悪いし、手癖も足癖も悪いし。 思春期の男女で、年も近い、となればやっぱりどこも相手が鬱陶しかったり「弟じゃなくて兄がよかった」とか「姉よりもかわいい妹がよかった」なんて思ってしまうこともある。 それが嘘の気持ちじゃない。だけど、嫌いなわけじゃない。 喧嘩ばかりでも根っこの部分はしっかりつながってる。 「ケンカするほど仲がいい」 この言葉を二人に捧げたい。多分口にしたらふたりとも心底嫌そうな顔をするんだろう。それもまた二人の愛情表現。 家族、姉弟、そんな関係の複雑な、だけどとてもピュアな気持ちが真っ直ぐに描かれていました。 私もこんな弟ほしいなあ……。

2015/05/07 11:32
青春・恋愛 201ページ ・総文字数128,365
無数の星が示すもの
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とある事情で、夢を諦めた主人公。 世界の広がりを感じたあの瞬間。キラキラ輝いていたあの日々。 失って、くすんだ空の中で必死に踏ん張っていた。 あの時自分は輝いていたのを、知っている。誰かの目に、映っていたことも、知っている。だからこそ、隠れていたかった。輝くその世界では、今の自分は惨めに思えるから。 なにかを見つけることは、とても難しい。けれど、間違いなく主人公はそれを手にしていた。だから、余計に失ったとき、もうなにも得られないんだと、知ってしまっている。 それでも、見つけることはできるんだと、教えてくれる人がいた。手放したものもあるけれど、だから、見つけられたものもある。 彼の示すその先には、無数の星がある。それをみつけることは、いつだって誰だって出来るんだと、読んでいる私にも、教えてくれました。

2015/02/21 18:25
青春・恋愛 175ページ ・総文字数101,600
なんどでも、はじめよう
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世界はなんて醜いんだろう。 世界はなんて綺麗なんだろう。 そんな正反対の思いを抱くふたりが出会い、ふたりの世界が少し、変わる。変わっていく。 散りばめられた素敵な言葉たちは、読んでいると私にもそっと寄り添ってくれるような安心感と暖かさがありました。 記憶をなくすのはとても、とても、さみしい。けれど、そばにいる、かわりに覚えていてくれる。かわりに記憶をつなげてくれる。そんな人がいる。 それはなんて幸せなことなんだろう。 何度だってはじめればいい。 何度だって、出会ってみせる。 彼女のその強さに、勇気をもらえました。 どうかこのふたりが、これからも、一瞬の記憶をつなげていてくれますように。 友人の「一度しか経験できない初めましてを何度もできる」その言葉がとても心に残りました。

2015/02/20 23:29
青春・恋愛 222ページ ・総文字数140,650
ネタバレ
365日、変化する
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2012/06/01 02:03
青春・恋愛 5ページ ・総文字数2,422
繋がる事は美しい。
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突然届いた、一通の手紙。メールがあふれるこの時代に、なんで手紙?そして差出人は、自分には縁がないだろうと思っていた、クラスのマドンナ。 二人の関係は、手紙のようにゆっくりと相手に届いて近づいていく。 確実に、まっすぐに、思いを乗せて。 二人は常に前をみてて、常に自分に正直で、読んでいてとても心が洗われるようでした。 終始ゆったりと言葉が紡がれ、劇的な展開なく、だけど確実に進んでいく時間。それが二人らしさを表しているようでした。 繋がることで得る幸せ。 繋がっていく未来。 毎日過ごしていく。毎日たくさんの事を感じながら。形として残るもの、残らないもの。それら全てが二人の宝物。 大切な人に、素直な気持ちで手紙を書いて、自分の気持ちを精一杯伝えたい、そう思える作品でした。 是非、ご一読を。

2011/10/24 03:27
青春・恋愛 209ページ ・総文字数106,002
学生から、外へ
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優等生で、学級委員の主人公。 好きな人が居るのに告白できないし、心の中では不満ばかりなのにいい子なフリをしてしまうし、 可愛いわけじゃないしスタイルだってイマイチだし。 そんな億劫な毎日を過ごしている中、たまたま出会ったのは 人を引きつける程輝かしく笑う、違うクラスの男の子。 高校三年生は、学生と呼べる最後の年。 その先は、今まで以上に無数にある選択肢から一つを選ばなければならない。 恋をして、喜んだり悲しんだりそして不安を抱いたり逃げたくなったり。 その一番奥深くにある「原因」は「相手」ではなく「自分」なのかもしれない。 意地っ張りで弱虫な主人公。だけど真面目で、しっかりと自分の足で過去を受け止めて未来に進み出す姿はとても素敵でした。 キラキラと輝く高校生時代の恋愛と成長を、是非ご一読ください。

2011/09/30 21:19
青春・恋愛 240ページ ・総文字数100,865
枯れない花
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成功を夢見て上京したものの、成功とはほど遠い場所に立ち止まったままの主人公。 だけど傍には愛しい人。自分と違って成功した人。 そして差し出された指輪。 今の自分の気持ちが嘘なわけではないのに、差し出された指輪を受け取ることを躊躇う気持ち。 思い出す過去と 思い出す気持ち。 だけど一歩踏み始めたとき、きっと記憶の花は枯れることはないのだろう。 揺れ動く女の子に、ゆったりと進む物語。 ふわりと花の香りが漂うような短編でした。 素敵な作品、ありがとうございました。 「今、幸せ」 その言葉こそ、幸せだなと感じました。

2011/02/24 13:46
青春・恋愛 30ページ ・総文字数9,421
短くても、永遠に
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死のうと思った夏の日 その日、一人の男の子に出会った。 「今ここで死んだつもりで、少しの間だけ、お前の命、俺にくれない?」 そんな言葉から始まった。出会ったのはたまたま。 死ぬつもりだった もう終わらせるつもりだった。 だけど芽生えていく「希望」と「願い」そして「真実」 ゆったりと進む短い二人の無謀な旅。 じわじわと溢れる二人の気持ちに胸が熱くなり涙も溢れました。 二人の過ごしたこの夏の日。そこで見つけた忘れることのない宝物を、一緒に心に残してみませんか? それはきっと、読んだ人の心にも宝物になるかもしれない、そんな風に感じます。 たった一瞬でも、終わっても始まっても笑って踏み出して。 心は常に永遠に。 素敵な作品でした。

2010/09/04 19:12
青春・恋愛 290ページ ・総文字数113,870
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