洋梨さんのレビュー一覧
ぼろぼろの、最上級だ。 刺さるという表現が正しいなら、ニーナのことばひとつひとつが刺さって痛かった。じわりじわり、世界からひとりだけ切り離されていくようなあの感覚。孤独と歪な自己愛が蝕んでいく小さな部屋のこと、忘れがちである自分は何者でもないということ、そういうものは、ある種ひとつの経験でもあり、悪ではないのです。ニーナにオータがいてよかった。2人が見た朝焼けを、わたしもまた一緒に見ることができてとてもうれしかった。 作者さんの文章を読むことがとても好きです。唯一無二で、他の誰も生み出すことのできない圧倒的な表現方法に、ずっと憧れている。特にこの物語のこと、きっと一生胸に秘めて生きていくとおもいます。是非読んでください。一緒にニーナのこと抱きしめたいです。
「鈴川くんといえば?」 そう聞かれて彼を悪く言う人はいない。生徒会長、サッカー部副キャプテン。誰からも好かれて慕われる、彼のような人を他に見たことがない。 そんな彼が突然放送室を乗っ取った。37分間、誰も予想していなかった鈴川くんの放送が始まる______。 他にはない構成、思わず引き込まれる鈴川くんの一言一言。その言葉の重みが自分自身に降りかかってくる。高校生だけじゃない、どこにでもいる、誰にでも言える。きっとこの物語のどこかに自分が、貴方がいるはず。 ちっぽけなクラゲを救う鈴川くんの勇姿を、彼の声を、どうかみなさんも見て聞いてほしい。これは他の誰かの物語じゃない。きっと自分自身の物語。 素晴らしい傑作です。是非御一読を。
「でもきっと、価値はあることだよ」 学校に行くっていう、一番の日常を手放して。自分の殻に閉じこもった。さみしいを抱えて、吐き出す場所を探していた。そんなある日迎えにきたのは、15歳も年上のおじさん。 トクベツなことがあるわけじゃない。一緒に暮らすって、一緒に食事をするってこと。一緒にテレビを見たり、一緒に今日のことを話したりするってこと。たったそれだけの日常が、ふたりの心と距離をじわじわ溶かしていく。そしてまた、新しい色に染め上げていく。それはきっと、優しくてあったかい色なんだろう。 愛情という名前の不確かなモノを、こんなにも揺るぎなく鮮明に描いた作品を私は他に知りません。気づいたらぼろぼろと流れている涙を止めることができませんでした。 何度でも読み返したくなる、愛を見つけられる素敵なお話です。ぜひ、御一読を。このあたたかさに触れてみてください。
優等生の姉、晶。バスケバカの弟、耀。顔を合わせれば喧嘩の日々の姉弟。 でも、本当はお互いのことをすごく大切に想ってる。だって、お互いにとって唯一無二の姉弟なんだから。これは、とてもあたたい家族愛のお話。 2人の会話がリアルでいいんです。私は末っ子なので弟がいる生活はわかりませんが、兄姉がいるので兄弟間の会話に共感しながら読めました。 普段は悪く言いながらも、なんだかんだ言ってなににも変えられない大切な存在なんですよね。 あわよくば私もこんな弟が欲しかったなあと思いつつ、兄姉をもっと大切にしなきゃなあと思えました。是非ご一読ください。家族というあたたかさを再認識させられます。
本当にすごいお話でした。 数ページ読んだら止まらず、一気に読み上げてしまいました。 主人公や大和くんの心情だけでなく、 登場人物一人一人の感情が心に突き刺さる。 非日常的なのに、どうしてか感情移入してしまうのは、誰にでもこういった想いがあるからだと思います。 私も、逃げず戦いたい。 そう思えました。 あとは、ぜひ読んで自分で感じてみてください! 今、読んだ直後ですが言葉にならない想いがたくさん胸の中で交差しています。 そして、我儘を言うならば大和くんとの今後を見てみたい!番外編、続編、期待してます!(笑) 素敵なお話をありがとうございました。