第9回スターツ出版文庫大賞【”アンチ青春”エンタメ部門】

結果発表(全5部門)

【総評】

この度は「第9回スターツ出版文庫大賞」へ多数のご応募を頂きありがとうございました。

今回、新設した「”アンチ青春”エンタメ」部門では「青春・恋愛」部門エントリー数の過半数を越える多数の作品が集まりました。従来のスターツ出版文庫にはない、刺激的な要素が光る作品が顕著に見られ、新鮮な作品に出会えた審査となりました。


最終選考では、登場人物の年齢層やジャンルも異なる多様な作品が残る中、大賞は満場一致の受賞。「”アンチ青春”エンタメ」部門へのエントリー作品として、人物像がひっくり変えるようなストーリー展開、読者を楽しませるエンタメ性が際立っていました。青春恋愛作品も良作はございましたが、既刊にはない仕掛けなどの付加価値の有無を選考基準といたしました。


その結果、受賞は大賞作1作、虐げられヒロインのシンデレラファンタジー部門大賞1作、特別賞3作となりました。受賞作品への講評は以下の通りとなります。

大賞

『青春テロリズム』朱宮あめ/著

【講評】

いじめられた過去を持つ亜子は、高校で一軍に属することに強い執着を抱いていた。

二年生になり、自分の最高のステータスとなるスクールカーストトップのみやびと友だちになるが、思うようにいかず亜子の立場が危ぶまれていく――。青春の光と闇となる部分を見事に描き出した作品でした。本作は、亜子、みやび、茉莉奈の3人の登場人物それぞれの視点で物語が進行し、彼女たちの葛藤や本音が暴かれるラストシーンが特に印象的でした。「きれいごとではない青春」をテーマにした物語で、誰しもが持つ他人への妬みや劣等感、そしてその裏にある本音が浮き彫りになっていき、まさに今回の「”アンチ青春”エンタメ」部門で求めていた作品でした。すべてを理解し合うことは難しいけれど、互いの「毒」を受け入れることで新たな友情を築くという結末には心を打たれました。ストーリーはシンプルでありながらも、「青春とはままごと」という視点や、視点の切り替えを用いた構成が巧みで、読者を飽きさせない工夫が素晴らしかったです。ただ、同じシーンが繰り返される場面が少し冗長に感じる部分もありました。それでも、中盤の関係性の仕掛けや最後の「本音のぶつけ合い」が魅力的で、読後感は圧倒的でした。きれいごとを排したリアルな青春を描きながらも、読者に希望を残す素敵な作品をありがとうございました。

虐げられヒロインのシンデレラファンタジー部門大賞

『純血の貴人は只人の乙女を慈しむ』小原燈/著

【講評】

特異な力を持つ“貴人”の父を持つ華族に生まれながらも能力を持たない“只人”として生まれた凜花は只人故に両親や貴人の双子の姉に虐げられる日々を送っていた。そんなある日、凜花は純血の貴人・時雨の伴侶を選ぶ儀式に姉として参加することになってしまい――。

世界設定の作りこみ、異能、貴人只人、姉妹の確執、ざまあ要素など王道の設定も盛り込みつつ、双子&入れ替わり設定が新規性もあり面白かったです。欲しいワード、設定がすべて入っていたのにもかかわらず、しつこさもなく最後まで楽しく読むことができました。ただ一方でせっかく自然に盛り込めた設定感の良さを、もっと生かす余地もあったのかなと思いました。書籍化に向けて、ブラッシュアップしていきましょう!素敵な作品をありがとうございました!

特別賞

『青春小説家の殺し方』川奈あさ/著

【講評】

新人編集者の羽菜は、念願だった人気作家“葉空ヨリ”の担当編集になることが出来た。ヨリは10代からの支持が熱く、羽菜もまたかつてその一人だった。そんな中、編集部にあるファンレターが届く。『葉空ヨリは読者を欺く人殺し』まさか、そんなわけがない。いたずらに違いないと放念する羽菜だったが……。キャッチーな設定感、惹きのある導入、続きを気にさせるつくりがとても魅力的な作品でした。思わずページをめくりたくなり、どんどん読み進めてしまいました。ただ、主人公も含めて各キャラクターの作り込みが少し弱く、それ故にどのキャラクターも素直さ、淡白さが強い印象でした。ミステリー要素と絡めて人物像の裏表がより極端にひっくり返ったり、ヒミツが発覚したり、それに応じて登場人物の価値観がぶつかり合ったり、各キャラクターのいやらしい部分が書かれていたり、人間くさい、でもだからこそ共感できるキャラクターの魅力と、そういったキャラクター達がぶつかり合う人間ドラマの部分がより濃く書かれていれば、さらに魅力的な作品になったかなと思います。素敵な作品をありがとうございました。

特別賞

『蝉がうるさかったから』湯浅八等星/著

【講評】

「殺しちゃった」。蝉の轟音が鳴り響く夏休み初日に扉を開けると、そこには血まみれの幼馴染が立ち尽くしていた。無理して作ったようなぎこちない笑顔で、父親を殺したと、確かにそう言ってきて――。タイトルや冒頭の引きが強く、序盤のインパクトと独特な語り口に惹きつけられました。特に血まみれの幼馴染が語る衝撃的な告白が鮮烈な印象で作品にパワーがありました。前半の逃亡劇は緊張感があり、登場人物の心理や行動の変化がリアルに描かれていました。また、物語全体を通じて張り巡らされた伏線が秀逸でした。何気ない描写や細かな出来事が後半で大きな意味を持つ構成力は見事です!一方で、主人公のモノローグや情景描写がやや冗長で読みにくい箇所があるため、もう少し前半から物語がスピード感を持って展開していくとより素敵な作品になりそうです。

本作はご応募いただいた「青春・恋愛」部門ではなく、「”アンチ青春”エンタメ」部門として評価されたため、特別賞に選出されました。素敵な作品をありがとうございました。

特別賞

『戸惑いの神嫁と花舞う約束 呪い子の幸せな嫁入り』響 蒼華/著

【講評】

名家の長女でありながら異能を持たない為、不遇のうちに暮らしていた紗依。異母妹やその母親に虐げられながらも、自分の為に全てを失った母を守り、必死に耐えていた。しかしある日、帝に仕える四家の一つであるが『神無し』と忌まれる北家から『長女を神嫁に』という申し出があり、紗依は異母妹の身代わりに嫁ぐ事になるが…。ドラマチックさ、展開の大きさ、スケールの大きさが魅力の王道の和風恋愛シンデレラストーリーでした。ヒロインが守るべき存在である母親の存在や、終盤の大きな展開など、要所要所に入れ込まれたオリジナリティも素敵でした。一方で、ドラマチックが故に少しクライマックスが複雑に感じられたり、キャラクター自体の魅力、印象が弱いように感じました。特に、メインキャラクターであるヒーローヒロインのキャラクターがより立って、魅力的になると、更なるパワーが出たのではないかと思います。ただ、とても面白かったです。

青春・恋愛部門大賞

型破りヒロインの活躍ファンタジー部門大賞

“アンチ青春“エンタメ部門大賞

フリーテーマ部門大賞

noicomi賞

⇒ 該当なし

最終審査選出作品

【”アンチ青春”エンタメ部門】応募要項

新しいスターツ出版文庫の軸となる、【 自分を暴く“アンチ青春“エンタメ 】作品を募集します!

主人公の年齢は高校生~社会人

※想定する読者層は18歳~22歳。


スターツ出版文庫の青春小説は、恋愛を主軸とした作品が多いですが、このジャンルでは“恋愛“以外を主軸とする、既存のスターツ出版文庫レーベルカラーに縛られない作品を歓迎します。


真面目で誠実で人気者と思っていた人のとんでもない秘密を知ってしまったり、自分の絶対にバレたくない、バレたら社会的にヤバいことが暴かれてしまったり、変わった危険な人に出会ってしまったり、非日常的なおかしな事件に巻き込まれたり。


“何か”によって、主人公が極限状態に追い込まれ“自分“が暴かれ、それによって変わっていくエンターテイメント小説を募集します。


主人公を追い込む特殊な設定、絶対に隠したい秘密の秘匿性が暴かれていく様子、度重なるどんでん返しなど、恋愛以外での高いエンターテイメント性。

そんな苦しい現実を通して、変化していく主人公。

度重なるどんでん返しを経て、読み手の価値観をひっくり返すラスト

心がひりつくような物語を楽しみにしています。

募集キーワード

#暴く #衝撃 #騙される #恐怖 #極限 #本性 #崖っぷち #ヤバい #目が離せない #先入観 #一気読み #意外性 #刺激 #ミステリー #ホラー #サスペンス #ブラック #アンチ青春 #度重なるどんでん返し #新しいスターツ出版文庫

”アンチ青春”エンタメ部門の詳細や既存部門の変更点について、スタ文編集部が解説する「座談会」を実施。

⇒ 8/21 座談会レポートをUPしました!以下リンクよりご覧ください。

大賞(1作)

賞金30万円+スターツ出版から書籍化


部門大賞(各部門1作)

賞金5万円+スターツ出版から書籍化


noicomi賞(作品数未定)

賞金5万円 + noicomiでコミカライズ検討

応募方法

  • 事前にノベマに会員登録の上、作品を投稿してください。
  • 【作品編集】の【表紙】のキーワード設定で「自分を暴くアンチ青春エンタメ」をキーワードに追加してください

STEP1

エントリーしたい作品の【作品編集】から、【設定】画面のコンテスト応募第9回スターツ出版文庫大賞【”アンチ青春エンタメ”部門】を選択します。

STEP2

エントリーする作品のあらすじを入力してください。

  • あらすじとは、ストーリーの全容、登場人物の設定や大きな流れを簡潔に明記したもので、この内容を元に審査を進めさせていただきます。
  • このあらすじは、他のユーザーには公開されません。(エントリー締め切り日まで編集できます。)
  • あらすじの文字数(400字程度)は、審査時はカウントいたしません。

※以下は参考イメージです。

STEP3

ページ最下部の【設定を保存する】ボタンを押すとエントリー完了です。

作品文字数

「ノベマ!」上で、文字数8万字以上13万字以内に収めてください。

(1ページの最大入力可能文字数は10万字です。)

スケジュール

  • 8月2日(金) エントリー受付開始
  • 10月21日(月)13:00 エントリー締め切り
  • 12月下旬 2025年1月上旬 結果発表

※スケジュールは変更になる可能性があります。

応募資格

不問(プロ、アマ、年齢等一切問いません)

但し、専属マネジメント契約等を交わしている場合は、担当会社様への事前のご確認をお願いいたします。

対象

小説投稿サイト「ノベマ!」に投稿された作品。

「スターツ出版文庫」のコンセプトに準じた作品であれば、複数エントリーしていただけます。

以下に該当する作品のエントリーは不可となります。

  • 「ノベマ!」の規約に反するもの
  • 過去に書籍化されたもの
  • 書籍化の予定があるもの
  • 本人以外に著作権及び著作隣接権があるもの
  • 現在開催中である他の文学賞に応募しているもの
  • そのほか当編集部が不適切と判断したもの

注意事項

  • 複数作品のエントリーを可とします。
  • 新作を推奨しますが、テーマに沿った作品であれば、既存作品の応募も可能です。
  • 他の公募コンテストに応募中の作品は、選考対象外となります。 
  • 電子書籍も含め書籍化されていない、もしくは書籍化の予定がない、また小説、映画、コミック、アニメ、ゲーム等商業用途で二次利用されていない、日本語で書かれたオリジナル作品に限ります。
  • シリーズ作品や続編、サイドストーリーなど、その作品だけでは物語が完結していない場合、原則として審査対象外となります。ただし「第1巻」などとして、その巻だけでもストーリーが完結している場合は審査対象となります。
  • 締め切り後の作品内容編集は、誤字脱字の修正のみ可といたします。番外編等の追加を含む大幅な内容の編集をされた場合、失格となります。なお、締め切り後に作品掲載ポリシー違反が発覚した場合も同様に失格となります。
  • 選考対象外になる事実が認められた場合、結果発表後であっても受賞が取り消される場合があります。
  • 文字数不足など当社出版基準に満たない場合は、出版できないことがあります。
  • 出版の際には、当社編集方針により作品を編集させていただくことがあります。

審査について

審査員

スターツ出版 書籍編集部


審査方法

すべての作品を読んだ上で、総合的観点から審査いたします。

「青春・恋愛」「虐げられヒロインのシンデレラファンタジー」「型破りヒロインの活躍ファンタジー」「フリーテーマ」部門の応募要項はこちら

共通注意事項

個人情報について

応募および受賞に際し提供いただいた個人情報は、スターツ出版株式会社のプライバシーポリシーの定めるところにより取り扱わせていただきます。

諸権利

受賞作品の出版権、雑誌掲載権、インターネット上への掲載権、コミカライズ権、映像化権等はスターツ出版株式会社に帰属します。受賞作品の全部または一部を、スターツ出版が発行・運営する紙面、インターネット、スマートフォン向けサイトに掲載することがあります。

お問い合わせ

投稿やエントリー方法など、本コンテスト関するお問い合わせはtoi@novema.jpまでお願いします。

※選考に関するお問い合わせ・ご質問には応じかねます。

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