最優秀賞

該当作なし

優秀賞

『秀才令嬢と鬼の従者』

結木あい / 著

【講評】

人と妖、ふたつの異なる種族が共存する世界。沙雪には霊力がなく、契約できる妖などいないはずだったが…。護られてばかりではない、かっこいいヒロインが魅力的な作品でした。全体的な構成も読みやすく、完成度が高かったです。一方で、恋愛小説としてヒーローのカッコよさにはまだまだ伸びしろがあったようにも感じます。従者というヒーローの属性自体は、頼りがいや、魅力、強さ、カッコよさを担保するものではないので、その分、彼が魅力的な存在であること、それを引き立たせるようなギャップを示すシーンや設定が、物語の中でより読めるとさらに素敵になったかなと思います。

優秀賞

『陰陽宿敵婚姻譚～旦那様になったのは、私の宿敵でした～』

yomisawa / 著

【講評】

陰陽師の中で異端と蔑まれている「芦屋家」の娘・依道。芦屋家と敵対する陰陽師の名家「安倍家」の当主・安倍清吾。会えば必ずいがみ合うほど折が合わない二人が、互いの家のために政略結婚することに。愛のない結婚のはずだったが…。従来のドアマットヒロインとは大きく異なる自立したヒロイン像、また男女の関係性のスタートの仕方という点で、大きくオリジナリティがあり、新鮮味をもって楽しく拝読できました。魅力的なヒロインのキャラクター性が物語を牽引しており、物語のテンポ感もよく読みやすかったです。一方でヒロインのキャラクターが立っていたからこそですが、それ以上のヒーローの魅力、安心感をもって感じられるヒーローからの愛が担保されていると、恋愛小説としてさらに魅力的になったかなと思います。素敵な作品をありがとうございました。

優秀賞

『鳥籠の金糸雀　望まれし花嫁は歌で烏を癒す』

雨露みみ / 著

【講評】

人類の誰しもが魂に『鳥類』の印を刻み、その種に応じた外見・内面的特徴を持つ鳥獣国。名家の長女として生まれた和音だったが、彼女の印は異端である鳥籠の金糸雀。それ故に、禍津日神への贄として、一族から虐げられ育つが…。超王道の和風恋愛ファンタジー、その中でも特にシンデレラストーリーに軸足をおいた魅力的な物語で、まず単純に物語として面白かったです。王道故に、ヒーローからの甘い愛をわかりやすく楽しむことができました。また、【×鳥】の要素も単に一要素として入れ込むだけでなく、物語の骨子として本作の魅力に大きく寄与している部分も素晴らしかったなと思います。ただ、【×鳥】という設定感自体が、キーワードやヒーローの属性として、読者にとってより特別に和風恋愛ファンタジーを魅力的する掛け合わせであるかという点では少しだけ弱い印象でした。しかし、とても面白かったです。

王道のシンデレラストーリーでありながら、オリジナル要素を掛け合わせることにより、

幸福感あふれるドラマティックな物語に仕上がっています！