『ドリアン山の最後の二等兵』~桃色の寺の菩提樹の下で~

ヒューマンドラマ

『ドリアン山の最後の二等兵』~桃色の寺の菩提樹の下で~
作品番号
1778732
最終更新
2026/03/30
総文字数
3,440
ページ数
3ページ
ステータス
未完結
いいね数
0
「命令だ。お前はここに残れ――。」

一九四五年、終戦間近のタイ。敗走する二等兵・相沢義信は、かつて日本軍が現地民を徴用して建設した「日本街道」の傍らで、剥き出しの憎悪と飢餓に直面していた。

生き延びるために盗みを働き、殺生を犯す相沢。しかし、彼を見つめる一人の村の娘の瞳にあったのは、断罪ではなく底知れぬ「慈悲」だった。共に逃げ延びた中村軍曹は、かつて道を作った際に犯した殺人を相沢に打ち明け、桃色の寺院で自らの命を絶つ。

一人残された相沢に下された、軍曹の最期の命令。それは「僧となってこの地に留まること」だった。

名前を捨て、橙色の僧衣に身を包んだ相沢は、かつて略奪した村から托鉢で米を恵まれ、言葉を失ったまま五十年の歳月を石段の掃除に捧げる。なぜ彼は帰国せず、タイの山奥で掃き清め続けたのか。

二〇一五年、相沢がその生涯を閉じた時、かつての娘――いまは老女となった彼女が供えた「包み」が、止まっていた時間を動かし始める。ドリアンの甘く腐ったような匂いが漂う中、戦争の罪を一身に背負い、静かに消えていった一人の日本兵の魂を、仏の慈悲が導く感動の短編。
あらすじ
1945年太平洋戦争の末期、敗走する二等兵・相沢と中村軍曹はタイの山中で盗みと殺生に手を染める。村の娘の沈黙の慈悲と、中村軍曹の告白と自決を経て、「タイに残れ」という命令を受ける。相沢は名を捨て托鉢で生き、六十年を寺で過ごす。2015年、その死に際し老女が供えた包みが、戦争の罪と記憶を静かに呼び起こす。一人の日本兵の軌跡とピンクの寺院に宿った慈悲の心とは?

この作品の感想ノート

この作品には、まだ投稿されていません。

この作品のひとこと感想

この作品には、まだ投票されていません。

この作品をシェア

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

pagetop