
- 作品番号
- 1751146
- 最終更新
- 2025/05/30
- 総文字数
- 29,622
- ページ数
- 9ページ
- ステータス
- 完結
- いいね数
- 12
- ランクイン履歴
-
総合59位(2025/06/05)
ヒューマンドラマ6位(2025/06/01)
どんなにキラキラ輝いて見えても、私たちの日常は素顔を隠した仮面舞踏会――。
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部員数3桁を誇る、強豪ダンス部。
そのヒエラルキーの頂点に立つ、部長りりあは、大会ナンバーのオーディションを前にこれまでにないほど焦りを感じていた。
『完璧な自分』でいるためにも、期待してるママのためにも、絶対にセンターをとらなきゃダメなのに。
気づいたらすぐ後ろに、ついこの前まで初心者だったはずの紗英が迫ってきている。
焦る。恐い。悔しい。妬ましい。
もうあいつを、潰すしかない――。
でもその策略を、神宮寺に目撃されてしまった。
「先輩、ヤバくないすか? これ、拡散されたら」
彼に脅されてほの暗い感情をぶつけられ、りりあは優等生の仮面を剥がさざるを得なくなっていく。
「みんな自分のことで精一杯。それの何が悪いの?」
順風満帆に見える高校生活の裏で、綺麗ごとじゃない青春をかいくぐる、りりあの7日間戦争。
【執筆:2025.5/5~5/29】
この作品の感想ノート
後れ馳せながら読ませていただきました!
絶対面白いだろうと思っていましたが、ハマり具合がすごい。ワンナイトでも感じましたが、ヒリつく感情を扱う手つきが素晴らしい!
登場人物の間違いに共感をくすぐられるという、ギリギリのバランスをきれいに通っていくのが心地よいです。
そして描写しすぎずに行間を読ませる技術。書かれていない神宮寺くんや紗英の気持ちが透けて見えて、合唱曲のソプラノパートを読んでいるような気持ちでした。確実にこの横でアルトやテナーが奏でられているんだろうな、という。
綺麗事じゃないのに全員が愛おしい、それぞれの裏と過去と未来を感じるお話でした。
神宮寺くん、カツサンド渡されたらどんな顔するんだろう。忘れようと思ったのにって苦しんじゃうのかなぁ?とニヤニヤしてしまいますごめんね。王子様になれないかわいい思春期男子は育てているからこその解像度ですねもっとください(早口)
溺愛もいいけど、一足飛びには詰まらない距離がとても好みでした。
りりあの心の成長がとても心に響く作品でした。
嫉妬、羨望、周りからの視線…色々な要素の絡み合う複雑な年頃の中、自分のなかにあるドロドロとした感情が露わになって…。
迫力もあり、心の変化も自然で、気づいたら一気読みしてました!
自分自身の心に気づけたりりあは、きっとこれからは素直に生きていけるのかなあ、と。
素敵な物語に心揺さぶられました。ありがとうございました!
主人公の心情表現にとにかくゾクゾクしました。高校生特有の不安定さや、こうあるべきという “自分” と他者から見える “自分”、そして内面に抱く本音の “自分” それぞれの不整合さ、これぞ青春期ならではですね。生々しいとしか言えないリアリティあふれる描写に、読んでいてすっかり引き込まれてしまいました。
ラストの精神的に一皮むけた様子がとても印象的でした。ここに至るまでのアレコレを糧とする主人公の姿は、まるで「『綺麗ごとじゃない青春』は大人への成長の前段階」と言わんばかりで、すごく魅力的に映りました。
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