この輪に入りたければ「共感」して下さい。

ランクイン履歴

ヒューマンドラマ8位(2025/04/14)

ヒューマンドラマ

海咲雪/著
この輪に入りたければ「共感」して下さい。
作品番号
1749393
最終更新
2025/05/07
総文字数
21,491
ページ数
11ページ
ステータス
完結
いいね数
8
ランクイン履歴

ヒューマンドラマ8位(2025/04/14)

【第57回キャラクター短編小説コンテスト「綺麗ごとじゃない青春」応募作品です】

青春はどれだけノリよくテンポよく、そして少しだけのユーモアを入れられるかが大切。

そして、一番のポイントはどれだけ「共感」出来るかどうか。


「昨日送った動画見た? めっちゃ面白くなかった?」


「めっちゃ面白かった! 電車の中で見ながら笑いそうだったんだよ!? 堪えるの大変だったんだからー」


まずは相手の言葉をオウム返し。そして、加点ポイント分の言葉を付け加える。

青春は共感しか求めていない。共感出来ず者が生きていけるはずはない。


しかし……


「私は要らないって。そのお菓子、あんまり好きじゃないし」


「俺は卵焼きはしょっぱい方が好みだな」


共感を知らない……いや、共感の重要さを分かっていない双子が転校してくる。




「共感って自分の意見に同調してもらって、安心が欲しいだけだろ? 違うの?」




頭が沸いているのはどちらですか?
あらすじ
共感することで友達を作ってきた未織のクラスにある双子が転校してくる。
兄の須賀 匠真と妹の須賀 苑里。妹の苑里が未織のグループに入ってきた時、青春は壊れ始めた。はっきりと自分の意見を言う苑里にイラつく未織。そんな中、苑里を自分のグループから追い出そうとしている所を兄の匠真に見られる。
「共感って自分の意見に同調してもらって、安心が欲しいだけだろ? 違うの?」
頭が沸いているのはどちらですか?

この作品のレビュー

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この作品の感想ノート

拝読させていただきましたので、拙いながら感想を綴らせていただきます。

端的に言って、素晴らしい作品でした。まず、キャラクターがとても個性的です。四人全員挙げると長くなりすぎてしまうので、今回は二人だけに絞らせていただきます。一人目は、未織。「共感こそ正義」というストレートな信条をもったキャラクターで、主人公としての魅力をしっかり具えています。それでいて、実はその信条は、「自分のことを共感してほしい」という欲望の裏返しだったということが示唆されるというシーンも、この未織というキャラクターの弱さが垣間見えて、感情移入が誘われます。二人目は、苑里。主人公である未織との綺麗な対比になっており、いわば敵ポジション。それだけでも十分魅力的なキャラクターですが、「苑里自身は未織のことを最初は好いていた」という描写によって象徴される彼女の無邪気さに、心を打たれました。そして同時に、ただ一人空回りしているだけの未織の悲惨さが引き立てられ、繰り返しになりますが、未織に対して感情移入せずにはいられませんでした。……と、キャラクターたちに対する自分の愛(?)を語るだけでも良いかなと思ったのですが、ストーリーにも軽く触れさせていただきます。作中通して緊張感が絶えることなく、終始ハラハラしながら読み進めていました。とくに録音データが苑里と響子に送られてしまったシーンは、「……まじか」と思わず呟いてしまったほどです。また、メッセージ性が色濃く、自分自身とても考えさせられる作品でしたし、「共感」という一見何気ないようなテーマでここまで深く掘り下げられるのだなと、作者の腕前にも唸らされました。結末ですが、四人の成長が濁すことなく描かれていて好印象です。……と、こんなところでしょうか。初めて読む作風で、まるで知らない土地を旅したように心がフレッシュになりましたし、何よりとても充実した読書体験でした。最後になりますが、素晴らしい作品を読ませていただきありがとうございました。海咲雪さんの、これからのますますのご活躍を願っております。

空心菜さん
2025/05/07 23:14

作品拝読しました。
高校生たちのそれぞれの思惑があって、そのどれもに共感できて終始頷きながら読みました!
共感を大事にする気持ちは本当によく分かります。時には友達に合わせて自分の意見を裏返してしまうことってありますよね……。普遍的な感情なのに、胸にぐさぐさ突き刺さって、引き込まれました。まさか響子まで…と驚きもあり、とっても楽しかったです!
素敵な作品をありがとうございました。

2025/04/16 20:28

この作品のひとこと感想

すべての感想数:7

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