自由落下に浮く恋は

青春・恋愛

自由落下に浮く恋は
作品番号
1740218
最終更新
2024/12/05
総文字数
127,647
ページ数
26ページ
ステータス
完結
いいね数
1
 宇宙ステーションは常に地球の重力に引かれてフリーフォール、つまり自由落下しているから無重力状態になり、結果、人や物は浮いているのだと先生は言った。
 その自由落下の速度と、宇宙ステーションにかかっている遠心力のバランスが取れているから、宇宙ステーションは地上に落下せず、常に地球の周りを回り続けているのだとも。
――恋と同じだ
 そんなポエミーなことを、俺は柊人の広い背中を見続けながらぼんやりと考えた。
 恋に落ち続けているから、俺の気持ちは常にこんなにふわふわと浮いたようになっているんだなと。

 しかし、物理が苦手だった俺は、一つ大事な要素を失念していた。
 遠心力がなければ、宇宙ステーションは地上へ落下してしまう。そうすればもう、中に乗っている人や物が浮くこともない。
 遠心力とはつまり前へ進み続けるための推進力でもあり、あの頃は未来への夢だとか憧れだとか希望だとか、そう言ったものが、俺の恋心を浮かせていた。
 では、今は?
あらすじ
高二の春から付き合って十一年目。単調なものとなっていた柊人と剛士の日々は、一匹の猫を引き取ったことをきっかけに、少しずつ変わっていき――
短編「初恋」の二人が、大人になって改めてお互いに向き合っていくお話です。

この作品のレビュー

この作品には、まだ投稿されていません。

この作品の感想ノート

この作品には、まだ投稿されていません。

この作品のひとこと感想

すべての感想数:3

この作品をシェア

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

pagetop