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読み終えた今の心情を、的確に表現出来る言葉が見つかりません。歓喜、安堵、自責…。ごちゃ混ぜになった感情はどれも当てはまりそうだけど、少し違う。自信を持って言えるのは、この物語はどうしようもなく優しくて温かい、ということのみです。
私達の生きる世界は生きづらい。なのちゃんのように障がいのある人は、特に。ハンデとなるものが目に見える形でないと周りの理解も得にくくなり、辛い思いをすることが増えるのかもしれません。
この物語にも理不尽だなと思うことが出てきます。でも、それ以上に優しいのです。包み込むような優しさの朝陽くんと分かりづらい優しさで支えてくれる陸斗くん。明るく友だち思いのリュージくん。そして素直で努力家ななのちゃん。みんな魅力的で大好きです。
今までADHDについて殆ど名前しか知らなかったけれど、これを機に少しでも発達障害について理解し、また理解されればいいなと思います。
太陽のように明るく元気な翠と、野球部エースを目指す補欠。ふたりのまっすぐな恋愛や、南高ナインや修司たちのかけがえのない青春がとても眩しい。
この物語に触れるたびに、どうしようもなく切なくて、苦しくて、愛しくて何度でも涙してしまいます。
──太陽が見てるから。
例えどんなに辛くて心も身体もボロボロになってしまっても、最後の一球まで投げ抜いた補欠はすごく頼もしい。決勝の場面では信じられないくらい号泣しました。
「補欠!」
と、教室の窓からグラウンドにいる響也に向かって叫ぶ翠が鮮明に思い浮かぶ。タチアオイが咲いて、選手権大会の開催される季節には、一番に補欠たちを思い出すのだろうと思います。
補欠の一球に『運命』を、『未来』を、そして『夏』をかけた彼らの長くて短いキセキは、私にとっても大切な物語になりました。この小説を読んで感じた沢山のことは、いつまでも大事に胸の内にしまっておきたいです。
マスク依存症の茜ちゃんと自由奔放だけれど実は大きな秘密を持った青磁くん。初めは背中合わせだけど、青磁くんの絵を通して近い存在になっていくふたりの物語にとても惹き込まれました。
「夜が明けたときに、綺麗な朝焼けを見ながら、会いたいと思った人が、その人にとって本当に大切な人なんだって」
茜ちゃんが作中作の文章を青磁くんに伝える、この台詞が題名と繋がったとき、心震えました。それと同時に、この19文字に青磁くんの想いがどれだけ詰まっているのだろうと思うと、この題名がとても愛しいです。
そしてなにより、読んだだけで伝わってくる青磁くんの絵の魅力。実際に彼の絵を間近で見たかのようでした。
お互いがお互いの世界を変えたふたり。やっぱり自分の意見をそのまま伝えるのは難しいことだけど、一歩前に踏み出せた彼らなら大丈夫。
読後、寝っ転がって移りゆく空の観察がしたくなる。とても綺麗で優しいお話でした。
夏の匂い。夏の風。夏の景色。夏にいた、君。
自然に囲まれてきらきらと輝くような中学生活を過ごしたみどちゃんたちがとてもうらやましい。せめて私もチャリ通を経験したかったなあ、なんて。それでも、気づけば彼らにとってかけがえのない“夏”を私も共にできたような、そんなしあわせな気分になりました。
大人になるまでの過程って、大人になってからの期間よりも全然短いです。だからこそ、その過程を大切に一日一日を過ごすべきだと思います。みどちゃんはきっと意識しないで大切に出来てるんだろうなあ。私には彼女がとても眩しくみえます。
大切なひとたちと全力で駆け抜けた夏は、きっと一生忘れられないものになる。大切で大切で、思い出にしたくないほどに。夏のあとには秋が来て季節はぐるぐる巡るから、大切なものもきっとセピアに褪せていってしまう。でも、だからこそ私は、大事だと思うものをずっと心に留めておきたいと思いました。
「嫌な感情は全部洗ってしまえばいい。綺麗に干して、アイロンをかけて、またシャンと立って歩けるように」
この作品には素敵な言葉がたくさん出てきますが、やっぱり一番は日向先輩のこの台詞かなあと思います。《自分自身を洗濯する場所》である洗濯部は“死にかけ”の部員たちが前を向いて歩けるようになる為にある。他の部活と違って部員が退部していくのは嬉しいこと。それでもやっぱり寂しいね。出てくるキャラクターみんながとても愛しいです。
ひとりでは乗り越えられない“悩み”という名の“壁”。でも、洗濯部のみんなが集まれば越えられる。作中の「何のために私たちがいると思ってるんですか!」という日向先輩に向けた葵ちゃんの喝にハッとさせられました。
耳をすませばよく晴れた青空の下、「こんにちは、洗濯部です!」という元気な声が聞こえてくるよう。澄んだ空気に全身を包まれたような、とても優しく爽やかなお話でした。
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