欄干の上のパン ― ないものねだりの地図

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総合12位(2025/10/12)

青春・恋愛5位(2025/10/12)

BL2位(2025/10/17)

BL

欄干の上のパン ― ないものねだりの地図
作品番号
1761249
最終更新
2025/09/23
総文字数
69,896
ページ数
8ページ
ステータス
完結
いいね数
294
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総合12位(2025/10/12)

青春・恋愛5位(2025/10/12)

BL2位(2025/10/17)

 成績が下り坂になり、家にも学校にも居場所を見つけられない十七歳・三浦蒼生は、冬の夜、川沿いの橋の欄干に手をかける。そこへバイト帰りの黒髪メガネの少年・篠原律が現れ、蒼生の腕ではなく、欄干に置いた紙袋を指して言う。「パン、落ちるよ」。救いの台詞はどこにもない。ただ、蒼生の重さを軽んじないまま、律は温かい肉まんを差し出す——それが始まりだった。
 別々の学校、律の方が偏差値の高い進学校。図書室で並ぶ午後、コンビニの蛍光灯の海、コインランドリーの乾燥機の唸り。蒼生は「無駄に見える時間」の重さを、律は「暮らしの手順」という軽さを、それぞれ相手から学びはじめる。だが木曜の夜だけ、律は消える。やがて蒼生は、律の頬の痣と割れる皿の音に出会い、母子家庭のネグレクトと暴力、酒の匂いのなかで生き延びてきた律の素顔を知る。
 誰かを“救う”という正解のない世界で、二人は「逃げてもいい場所」を地図に描き足していく。欄干、図書室、コインランドリー、そして一時避難所。大人の社会を慎重に呼び込みながら、二人で曜日に色を戻していく物語。恋と呼ぶには幼く、家族と呼ぶには遠い——それでも確かに温かい、二人の「また」をめぐるボーイズラブ×純文学。

※本作には、自殺未遂・ネグレクト・家庭内暴力・アルコール依存の描写が含まれます。物語上の必要から扱いますが、刺激的・過度に生々しい表現は避け、全年齢向けの範囲で描いています。
あらすじ
 平凡に飽き、成績が落ちていく自分を持て余す高校生・三浦蒼生。冬の橋の欄干で、黒髪メガネの先輩・篠原律と出会う。違う学校、違う偏差値。彼は大げさに救わず、温かいパンと“暮らしの手順”を差し出した。ないものを求め合い、二人で春の手前を越えるまでの、静かなボーイズラブ×純文学。

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