
- 作品番号
- 1750247
- 最終更新
- 2025/04/23
- 総文字数
- 14,627
- ページ数
- 9ページ
- ステータス
- 完結
- いいね数
- 11
- ランクイン履歴
ヒューマンドラマ9位(2025/05/03)
「死ねって言ってはいけません」
その教育って本当に正しいですか?心の中で誰かを殺すことでしか、自分を肯定できないとしたら、それはいけないことでしょうか?
自分を救ってくれるとどこかで信じていた憧れの先生が、実はただ逃げているだけの弱い人間だったら——。
少年少女よ、世の中に蔓延る綺麗ごとに則るのではなく、自分の中で答えを探し出せ。
- あらすじ
- 「先生、どうして死ぬことを選んだんですか。あの時私に言ったことは、やっぱり間違っていたってことですか——」
涙は流れなかった。ただ、確かに先生と交わした過去のある日の会話が、鮮明に甦ってくる。
そこには、キラキラした輝く青春などカケラもない。そこにいたのは現状に怒りを燃やし、憧れの人に根底の不満をぶつけるだけの醜い中学生だった。
私は、綺麗ごとがふわふわと浮いている教室をこの世界から消す。
この作品の感想ノート
こんばんはー!凄く面白くて一気に読ませて頂きました…!
自分を取り巻く環境、十代ならではの瑞々しさと残酷さを併せ持つ世界、カーストというもの、そして「死ねとは言ってはいけない」という呪いのようにこびりついてしまったあの言葉。それに藻搔き苦しむヒロインの心情が、描写が丁寧な分だけ痛い程に伝わってきました。
でも、私はどちらかというとキラキラとした物語よりもこういった読み手にも痛みが伴う物語が好きで、泉さんの物語を読ませて頂いてああ好きだあって凄く思いました…!✨痛みを伴いながらも何かしらのかたちで登場人物たちが救いを見出した時の物語の方が、よりひかりの輪郭がくっきりとみえて好きなんです。
最後の、自分の人生も何もかもを犠牲にしてでも自分を苦しめたあの言葉と世界、そして先生に刃向かおうとするラストも好きでした。もう二度と、私たちのような人間を生み出させないという主人公の決意の表れにも感じ取れて、これもひとつの救いなんだなって凄く思いました。
ほんとに素敵な物語を読ませて頂けて幸せでした。泉さん、ありがとうございます⭐
拝読しました。
死ねと言ってはいけないという高梨先生の言葉が、間違っていないはずなのに結果的に生徒を追い詰めてしまう……青春時代の鈍い痛みを思い出し、ひしひしと胸にくるものがありました。相変わらず文章力が高く最初から最後まで引き込まれます。ハッピーエンドではないけれど、先生の最期が、ヒロインに深い印象を刻みつけたのではないかなと思います。
信じていたひとが間違った選択をしてしまう切なさにも、胸がしめつけられました。
素敵な作品をありがとうございました!
一見するとダークな作品のようですが、スクロールする指が止まるところを知らず、通学の電車で思わず一気読みしてしまいました。以前は長ったらしい感想文を二分割で送りつけてしまったので、今回は端的にまとめます。
最後の二文字の言葉(「死ね」)に象徴されるような皇(主人公)の強かさ、あるいは残酷性の裏には、救いようのない現実の悲劇性があり、その点が『進撃の巨人』のエレン(主人公)と思わず重ねてしまいましたし、実際に『進撃の巨人』をリアタイしている時のような、カオス(語彙力)な感情に苛まれました。以上です。素晴らしい読書体験を何度もありがとうございました。(本当は『揺蕩う音符とシンデレラ』もぜひ拝読したいのですが、いかんせんあの文字量なので、恥ずかしながら気圧されております^^;)