後宮ファンタジー
mekoneko/著

- 作品番号
- 1793821
- 最終更新
- 2026/10/08
- 総文字数
- 31,968
- ページ数
- 31ページ
- ステータス
- 未完結
- いいね数
- 0
人生でいちばんおいしかった椿餅は、七つのとき、知らない男の子の袖から出てきた。
平安の都には、弔いに雇われて泣く「泣き女」という仕事があります。十七歳の露(つゆ)は、葬列のいちばん後ろまで声の届く、腕利きの泣き女。ただし、涙は流しません。死者に素手で触れると、その人の最期の想いが流れこみ、本気で泣いてしまうから。だから死者には、いつも袖ごしにしか触れないのです。
帝にいちばん愛された妃、梅壺の更衣の葬儀。露はうっかり触れて、うっかり口走ります。
「この方、寝床で亡くなったんじゃありません」
凍りつく広間に、露の腹の虫が盛大に鳴りひびく。そこへ無言で椿餅を差し出したのは、泣かない陰陽師・昴(すばる)でした。
立后を目前にした後宮に、亡き梅の方の霊が出る――。昴の手引きで下っ端女官として潜りこんだ露は、星の記録と、梅の花びら一枚と、ゆるがぬ食い意地を手がかりに、隠された死の真相を追いはじめます。期限は立后の前夜。それまでに想いを晴らせなければ、梅の方は怨霊になってしまう。
「向こうで、自分の涙だけは流すんじゃないよ。流したら、帰ってこられなくなる」
叔母の言いつけの本当の意味を、露はまだ知りません。
【登場人物】
露……十七歳の泣き女。声は出す。涙は出さない。たとえ話は、だいたい食べ物。
昴……陰陽寮の見習い。死者が見える。白玉みたいに整った顔で、泣きもしなければ笑いもしない。なぜか袖から椿餅が出てくる。
猛……滝口の武士。昴の幼なじみで、腰にはいつも握り飯。幽霊は怖くない。見えないから。
時雨(しぐれ)……露の叔母。都でいちばんの泣き女にして、都でいちばん銭勘定にうるさい女。
かぐや……亡き梅の方の白い唐猫。毎晩、誰もいない渡り廊下で鳴いている。
【見どころ】
・泣くのが仕事の娘と、泣かないと決めた青年。凸凹コンビの後宮謎解き
・丑の刻にだけ渡れる「夜の後宮」。死者のいる灰色の世界を、白い猫が道案内
・古今和歌集の名歌と、渡せなかった一首。梅の香りでつながる、ひと月遅れの恋の歌
・彼女は覚えていない。けれど彼は十年間、袖に椿餅をしのばせてきた
「袖の露」とは、袖を濡らす涙のこと。
泣けて、笑えて、おなかがすく。一気に読める約三万二千字で完結します。
平安の都には、弔いに雇われて泣く「泣き女」という仕事があります。十七歳の露(つゆ)は、葬列のいちばん後ろまで声の届く、腕利きの泣き女。ただし、涙は流しません。死者に素手で触れると、その人の最期の想いが流れこみ、本気で泣いてしまうから。だから死者には、いつも袖ごしにしか触れないのです。
帝にいちばん愛された妃、梅壺の更衣の葬儀。露はうっかり触れて、うっかり口走ります。
「この方、寝床で亡くなったんじゃありません」
凍りつく広間に、露の腹の虫が盛大に鳴りひびく。そこへ無言で椿餅を差し出したのは、泣かない陰陽師・昴(すばる)でした。
立后を目前にした後宮に、亡き梅の方の霊が出る――。昴の手引きで下っ端女官として潜りこんだ露は、星の記録と、梅の花びら一枚と、ゆるがぬ食い意地を手がかりに、隠された死の真相を追いはじめます。期限は立后の前夜。それまでに想いを晴らせなければ、梅の方は怨霊になってしまう。
「向こうで、自分の涙だけは流すんじゃないよ。流したら、帰ってこられなくなる」
叔母の言いつけの本当の意味を、露はまだ知りません。
【登場人物】
露……十七歳の泣き女。声は出す。涙は出さない。たとえ話は、だいたい食べ物。
昴……陰陽寮の見習い。死者が見える。白玉みたいに整った顔で、泣きもしなければ笑いもしない。なぜか袖から椿餅が出てくる。
猛……滝口の武士。昴の幼なじみで、腰にはいつも握り飯。幽霊は怖くない。見えないから。
時雨(しぐれ)……露の叔母。都でいちばんの泣き女にして、都でいちばん銭勘定にうるさい女。
かぐや……亡き梅の方の白い唐猫。毎晩、誰もいない渡り廊下で鳴いている。
【見どころ】
・泣くのが仕事の娘と、泣かないと決めた青年。凸凹コンビの後宮謎解き
・丑の刻にだけ渡れる「夜の後宮」。死者のいる灰色の世界を、白い猫が道案内
・古今和歌集の名歌と、渡せなかった一首。梅の香りでつながる、ひと月遅れの恋の歌
・彼女は覚えていない。けれど彼は十年間、袖に椿餅をしのばせてきた
「袖の露」とは、袖を濡らす涙のこと。
泣けて、笑えて、おなかがすく。一気に読める約三万二千字で完結します。
- あらすじ
- 平安の都で、弔いに雇われて泣く「泣き女」の露。声は出しても涙は出さない十七歳には、死者に素手で触れると最期の想いが流れこみ、本気で泣いてしまう秘密がある。帝の寵妃の葬儀で「この方、寝床で亡くなったんじゃありません」と口走った露は、泣かない陰陽師・昴に連れられて後宮へ。亡き妃の霊と、隠された死の謎を追う。露は覚えていない。昴こそ、十年前に椿餅をくれた泣き虫の男の子だということを。
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