八月下旬。夏休み最後の日。
私は制服に袖を通し、父と共に向かう。学校へ。
久しぶりに父の運転する車に乗り、私は助手席に座る。
子供の頃は、母と姉が後ろで私は前。母が病気になって姉を抑える力がなくなったら、私が後方で姉と手を繋ぎ座っていたな。
チラッと後方に目をやるも、当然ながら誰も居ない。
……私達、元の家族に戻れるのかな?
田舎道を通り過ぎる車外からの景色は青い空に入道雲が流れ私達に付いてきてくれるように見え、それがまるで大丈夫だと言ってくれているみたいで私の顔が綻んでいく。
学校の駐車場に停まった車より降り、今日は生徒用玄関ではなく正面玄関に向かう。当然鍵は掛かっており呼び鈴を押そうと思ったら、前方を歩いていた父が当たり前のようにボタンを押し要件を伝えてくれた。
大人が居てくれるのは、これほど心強いことなんだ。
父の大きな背中に子供の頃に感じていた大人に守られている安心感を覚え、そちらに目をやる。
父は乱雑に伸びていた髪を床屋に切りに行き、髭をしっかり剃り、シャツにネクタイとシャキッとしている。
その姿は母が癌だと発覚する前の父に戻ってくれたみたいで、目頭が熱くなるのを感じた。
「本日は時間を作ってもらい、ありがとうございます」
そう会釈する澤井先生もいつも着ているラフなTシャツからシャツにネクタイ姿であり、いつもと違う父と先生に私の心臓がドクンドクンと音を鳴らす。
「いつも娘がお世話になっています。気にかけてもらい、ありがとうございます」
父の挨拶に一抹の疑問を抱きつつ、通されたのは二階の進路指導室。以前は私一人で話を終わらせたけど、今日は。
隣で背筋を伸ばして座っている父に目をやると口元が緩み、慌てて前方に座る先生に視線を戻す。
こうして、一人だけ時期外れの三者面談が始まった。
私は制服に袖を通し、父と共に向かう。学校へ。
久しぶりに父の運転する車に乗り、私は助手席に座る。
子供の頃は、母と姉が後ろで私は前。母が病気になって姉を抑える力がなくなったら、私が後方で姉と手を繋ぎ座っていたな。
チラッと後方に目をやるも、当然ながら誰も居ない。
……私達、元の家族に戻れるのかな?
田舎道を通り過ぎる車外からの景色は青い空に入道雲が流れ私達に付いてきてくれるように見え、それがまるで大丈夫だと言ってくれているみたいで私の顔が綻んでいく。
学校の駐車場に停まった車より降り、今日は生徒用玄関ではなく正面玄関に向かう。当然鍵は掛かっており呼び鈴を押そうと思ったら、前方を歩いていた父が当たり前のようにボタンを押し要件を伝えてくれた。
大人が居てくれるのは、これほど心強いことなんだ。
父の大きな背中に子供の頃に感じていた大人に守られている安心感を覚え、そちらに目をやる。
父は乱雑に伸びていた髪を床屋に切りに行き、髭をしっかり剃り、シャツにネクタイとシャキッとしている。
その姿は母が癌だと発覚する前の父に戻ってくれたみたいで、目頭が熱くなるのを感じた。
「本日は時間を作ってもらい、ありがとうございます」
そう会釈する澤井先生もいつも着ているラフなTシャツからシャツにネクタイ姿であり、いつもと違う父と先生に私の心臓がドクンドクンと音を鳴らす。
「いつも娘がお世話になっています。気にかけてもらい、ありがとうございます」
父の挨拶に一抹の疑問を抱きつつ、通されたのは二階の進路指導室。以前は私一人で話を終わらせたけど、今日は。
隣で背筋を伸ばして座っている父に目をやると口元が緩み、慌てて前方に座る先生に視線を戻す。
こうして、一人だけ時期外れの三者面談が始まった。



