さよならの記憶写真館

ヒューマンドラマ

さよならの記憶写真館
作品番号
1772184
最終更新
2026/01/14
総文字数
10,171
ページ数
1ページ
ステータス
未完結
いいね数
0
 私の願いは、ただ一つ。夫と、私の妹が結婚すること。

 32歳と2ヶ月。私は病によって、この世を去った。
 26歳で夫と結婚し、二児をもうけ、家族に看取られて最期を迎えた。
 幸せな人生だった。……私はね。

 だけど夫は4歳と2歳の娘を育てる責任があり、子ども達は母親が必要な年頃。
 私の妹は自分の人生より、私が残した家族を守ろうとしてくれている。
 自分の気持ちを押し込めて。

 夫、妹、私は幼馴染。しっかり者の妹に、頼りっきりだった夫と私。
 それは大人になってからも同じで、私の病気が発覚して泣いていた夫の背中を、優しくさすってくれたのは妹だった。

 妹は夫に、好意を抱いている。いつからだったなんて分からない。同級生だった二人は、私が知らない時間を共に過ごしてきたのだから。

 妹と夫が結婚するべきだった──。

 その未練により、私の魂は一軒の写真館に辿り着いていた。

 記憶写真館。
 私の悔いに関連する写真が貼り出された、異質な空間。
 そこを管理する支配人と、案内猫だと名乗る黒猫のクロ。
 ここは悔やみながら死を迎えた、彷徨える魂が辿り着く場所。過去に戻り、記憶写真を修正出来る、不思議な写真館。
 過去修正には約束があった。


1.記憶写真に写し出されている場面だけ、過去を修正出来る
2. 誕生から人生をやり直し、記憶写真を修正するか決めなければならない
3.記憶写真を修正出来るのは5枚まで
4.己の寿命について、過去の人物に話してはならない
5.死の運命を変える行動は取ってはならない
6.記憶写真は修正するほど魂に負担がかかり、極限を越えると魂は砕け散り、生まれ変わることができなくなる


 修正した過去は未来にも反映されることから、夫と妹の結婚が確定すると、私の子ども達は妹の子に修正される。
 四人で写る家族写真。そこに居るのは私ではなくなってしまう。

 覚悟を決めて手を伸ばしたのは、一枚の写真。制服姿の過去の夫と私が、小さい頃に遊んだ秘密基地で並んで座っている。
 年頃ゆえに離れてしまった私たちが、同じ時を過ごすキッカケとなった、宝物のような思い出。

 あの日、夫と会わなければ未来を変える一つの因果になるかもしれない──。

 こうして始まる、手探りの模索。未練を抱えた、哀れな魂の彷徨い。
 そして、32年間の人生を否定する虚無の旅が。
あらすじ
吉永花梨、32歳。夫と、幼い娘二人を残し、病により命を落とす。
未練を残していた花梨が辿り着いたのは、過去を修正する力を持つ「記憶写真館」。
心残りは、一人親になる夫、幼くして母を失くした娘二人、そんな家族を支えようと人生を顧みない自身の妹。
花梨、夫、妹は幼馴染で、妹は夫に好意を抱いているが、義妹の立場を貫いている。
夫と妹が結婚すれば、みんなが幸せになる。
そんな思いから始まる、人生修正の旅。

目次

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