「……次はお姉ちゃんに関係ある話をして良い? 私ね、また三人で暮らしたいの」
 私の目を見て、逸らしてくる父。その瞳は、遠慮の感情が滲んでいるように察せられた。

「お父さんは、お姉ちゃんとどうゆう風に関わっていきたいの? 私のことは関係なく、話して欲しいの」
 今度は私が逆のことを問う。父は姉とどのように関わっていきたいのかを、知りたかった。

 私の問いに黙り込んだ父はしばらく沈黙を貫き、顔を上げこう告げてきた。

「……お父さんは明日香が許してくれるなら、今度こそ家族になりたいと願っている。ただ同じ家に暮らすのではなく、父親として一緒に暮らしたい。明日香の生活を支えられるようになりたい。そう頼みに行き、迎えに行きたいと思っている」
 父の表情に覇気が戻り、姉と向き合う覚悟を決めたようだった。

「それだったら私も手伝うよ。ううん、私だけじゃない。ケアマネさんに相談して、外部の人にまた手伝ってもらって、三人で暮らせるようにしよう」

 母を亡くし、三人になった私達家族。
 だけど私達はバラバラで、互いに気を使い、ちゃんと向き合えていなかった。
 だから、もう一度再構築出来ないだろうか。

 勿論、そんな簡単は話ではないのは分かっている。
 ここまで拗れてしまった関係を修復させるなんて、それなりの時間と、根気と、そして今まで相手にしてしまったことに向き合う覚悟がいるだろう。

 だけど私達は三人で暮らせる方法を模索する。
 失ってきた家族の時間を取り戻す為に。