『ごめんなさい、明日は行けません』
翌日の昼過ぎ、そうメッセージを打ち込み送信する。
すると直ぐに既読になり、電話が鳴った。
五十嵐くんのメッセージアプリ画面は初期設定。それは私と同じで、連絡先を交換した時にどこか親近感を抱いていた。
だけど今はその画面を見ただけで胸がキュッと締め付けられ、心臓が音を鳴らす。
応対のボタンを押せば、五十嵐くんと話が出来る。
あのツンケンした声が聞ける。
この苦しい気持ちを、分かち合ってくれるかもしれない。
救いを求めるように人差し指を近付けるも、部屋の奥で眠っている姉を想い指を引っ込めた。
数十コール鳴り響いたところで着信は切れ、次はピコンとしたメッセージアプリの通知音が響く。
恐る恐る画面を覗き込むとやはり差出人は五十嵐くんで、『具合でも悪いか?』という一言だけ打ち込まれていた。
『うん、ごめんなさい』
いつも必要以上に連絡はしない為もう終わりかと思うと、またピコンとスマホより音が鳴る。
『どっちが? 妹の方なら、姉さんと出掛けるけど? 慣れてきたし、俺一人でも出掛けられるから』
そんな文章が送られてきた。
……やめて、二人でなんて出掛けないで。
心の奥より聞こえてきた声。
あまりにもさもしい考えに、スマホを見ていた視界がグラっと揺れる。
断らないと。
『大丈夫だから。ありがとう』
明らかな上辺だけの返答をすると、もうスマホが鳴ることはなかった。
これで良いんだ。これで。
夏休みはもう終わる。誘いを少しずつ断っていけば、もうこの関係は終わっていくのだから。
スマホを置き、奥の部屋をそっと覗く。
すると姉は布団で横になってタオルケットを頭から被り、おそらく耳を塞いでいるのだろう。
大きなパニックを起こした後は必ずこうなり、食事もせず布団を被って寝込んでしまう。
いつもなら少しでもご飯食べようとか外に行こうとか声をかけるけど、元凶は私。
そっとしておくのが最大の誠意。
だから姉の前にジュースを置き、離れるのが唯一出来ることだった。
翌日の昼過ぎ、そうメッセージを打ち込み送信する。
すると直ぐに既読になり、電話が鳴った。
五十嵐くんのメッセージアプリ画面は初期設定。それは私と同じで、連絡先を交換した時にどこか親近感を抱いていた。
だけど今はその画面を見ただけで胸がキュッと締め付けられ、心臓が音を鳴らす。
応対のボタンを押せば、五十嵐くんと話が出来る。
あのツンケンした声が聞ける。
この苦しい気持ちを、分かち合ってくれるかもしれない。
救いを求めるように人差し指を近付けるも、部屋の奥で眠っている姉を想い指を引っ込めた。
数十コール鳴り響いたところで着信は切れ、次はピコンとしたメッセージアプリの通知音が響く。
恐る恐る画面を覗き込むとやはり差出人は五十嵐くんで、『具合でも悪いか?』という一言だけ打ち込まれていた。
『うん、ごめんなさい』
いつも必要以上に連絡はしない為もう終わりかと思うと、またピコンとスマホより音が鳴る。
『どっちが? 妹の方なら、姉さんと出掛けるけど? 慣れてきたし、俺一人でも出掛けられるから』
そんな文章が送られてきた。
……やめて、二人でなんて出掛けないで。
心の奥より聞こえてきた声。
あまりにもさもしい考えに、スマホを見ていた視界がグラっと揺れる。
断らないと。
『大丈夫だから。ありがとう』
明らかな上辺だけの返答をすると、もうスマホが鳴ることはなかった。
これで良いんだ。これで。
夏休みはもう終わる。誘いを少しずつ断っていけば、もうこの関係は終わっていくのだから。
スマホを置き、奥の部屋をそっと覗く。
すると姉は布団で横になってタオルケットを頭から被り、おそらく耳を塞いでいるのだろう。
大きなパニックを起こした後は必ずこうなり、食事もせず布団を被って寝込んでしまう。
いつもなら少しでもご飯食べようとか外に行こうとか声をかけるけど、元凶は私。
そっとしておくのが最大の誠意。
だから姉の前にジュースを置き、離れるのが唯一出来ることだった。



