三日後の平日。初めて午前中から会い東方面より照らされる太陽の暑さを感じながら、車は海岸道路を走っている。
 一時間十分後。無料駐車場に止まられた車より降りると、カッと照り付ける太陽。青い空に、それに同化したように青い海。波は穏やかで、心落ち着かせる波音が響いている。
 時刻は十時過ぎでビーチバレーをする大学生ぐらいの男女、砂山を作る小学生ぐらいの家族連れ、スイカ割りをしている団体の子供達と保護者と思われる人達も居た。

 でも不自然なぐらいに海で遊んでいる人が居なくて、その理由はすぐに分かった。
「……遊泳禁止?」
 金属の看板に大きく記載してあり、潮の流れが急激に変わるから海に入るのを禁止しているとのことだった。
 その下に記入されてある海岸の名前。
 どこかで見覚えがあると思ったら、以前海難事故が起こり四名の人が亡くなったと報道があった海岸だった。
 確かあの事故原因は潮の流れが変わった場所があり、遊んでいた子供達が流されてしまったから。
 作られた看板に錆がなく綺麗だったことから、これは近年に作られたのだろう。
 あの悲劇的な事故を繰り返さない為の対応かもしれない。そう思うと、私は穏やかに波打つ海をただ眺めていた。

「んじゃあ、まずは砂の山作りだな。こないだは俺がやったから、次はお前な?」
「みーちゃん、やろー!」
 二人の声に私は屈み、湿った砂を積み上げていく。
 これは小学一年生の頃以来。家族で行った海で姉と一緒に砂山を作ったんだった。
 だけどあの時は潰れてしまって完全させることはで出来なかった。何故なら。
 チラッと姉に目をやると、ニコッと返してくる笑顔。砂浜山が崩れてしまっても「あー」と軽く笑い、積み上げていく。

 ……本当に変わったな。
 そんな姉を目を細めて眺めてしまう。