あと何回、って泣き暮れる君の隣で生きたい。

青春・恋愛

霞祈莉花/著
あと何回、って泣き暮れる君の隣で生きたい。
作品番号
1733278
最終更新
2024/10/05
総文字数
129,596
ページ数
177ページ
ステータス
完結
いいね数
0
 赤、橙、やまぶき、黄緑、黄。
 カエデ、モミジなどの木が色鮮やかな紅葉に染まり始めた頃。
 凄まじい轟音が黄昏時の道路に響き渡った。
 事故の翌日。声の低い男性アナウンサーは報道でこう述べた。

『10月10日午後4時30分、飲酒運転のドライバーがトラックを運転中に30代の妊婦を轢くという悲惨な交通事故が発生しました。妊婦は腹部に重傷を負い、胎内にいた子どもは命を落としました。母親も頭部に強い衝撃を受け、現在も意識が戻っていない状態です』
 
 私はその交通事故に関与する犯人の1人であるという事実を知っているのは、私と父さん、そして母さんを轢いた佐竹暁則だけだ。
 これは、人殺しと非難されるのを防ぐため、ある条件と引き換えに事実の一部を隠蔽した事件である。
 ただ、その罪が帳消しになることは永遠にない。どれだけ時間が経っても、その重さは心に残り続け、終わりのない負のサイクルが巡る。
 私の世界はその時から真っ暗闇に染まった。
 けれどそれから4年の月日が経とうとしていたある日。
 そこへ突如として射し込んだ一筋の光。
 それが君であった。
あらすじ
人殺しの罪を隠蔽した暁の過労により聴覚過敏になってしまった楓音は周囲の目と音の苦痛に悩んでいた。そんなある日奏翔に1週間だけつきあうことを押し切られる。まっすぐな奏翔の優しさに触れ、すべてを吐き出す楓音。楓音は前を歩けるようになった矢先、奏翔は別人のように楓音を拒絶するようになり……。

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