第2回 きみの物語が、誰かを変える。小説大賞 by スターツ出版文庫
結果発表
【総評】
この度は「第2回きみの物語が、誰かを変える。小説大賞」へ多数のご応募、誠にありがとうございました。
第2回では、十代限定の募集に絞り、気軽に小説を書きはじめられる超短編賞、読者視点に寄り添った読者投票賞、さらにはTSUTAYA賞も新設し、より新しい世代でつくる賞といたしました。
第1回から引き続き、十代から絶大な支持を得る作家・汐見夏衛さんを審査員に迎え、「初めて小説を書く」人へ向けて、書き方についてもサポート頂き、多くの若い方が物語を描く第一歩を踏み出してくれたことを本当に嬉しく思います。
全体の作品の傾向としては「SNS」でしか本音を吐き出せない主人公の物語が顕著に見られました。そんな生きづらさ、心の叫びがいかに表現されているか、読者の共感を呼ぶのか、という点を評価基準にいたしました。
結果、受賞作・受賞作品への講評は以下の通りとなります。
【 大賞 】
『52ヘルツの叫び』絢星織楓/著
(諸事情により書籍化はいたしません)
【講評】
<編集部>
「――死のうかな。」そんな悲痛な書き出しから始まる本作。母親のうつ病に悩み、消えたいと思う高校生の春原蓮は自殺しようとしたところを、同じ高校の鮎瀬帆花に止められてしまう。そんな出会いからはじまり、蓮は帆花とともに自分自身やうつ病の母親に向き合っていきます。ヤングケアラーという話題性のあるテーマ選び、10代という事を忘れてしまうような文章力が評価につながりました。そしてなによりもヒロインの天真爛漫ながら心に影を持つキャラクターは、このお話になくてはならない存在だと思います。無気力なヒーローが正反対な性格のヒロインと出会い、悩みを共有しながら成長していく過程や、正反対だけどどこかで弱い部分が似通っているふたり。共感性もあり、素晴らしい作品だと思いました。ただ、ラストがとんとん拍子に展開していき、ややあっさりしていて物足りなかったです。刊行に向けてブラッシュアップしていきましょう!
【 TSUTAYA賞 】
『52ヘルツの叫び』絢星織楓/著
【講評】
<TSUTAYA>
魅力的なヒロインと軽快に進むストーリーに、グイグイと作品の世界観に引きずり込まれました。重いテーマを扱いながら、それをエンターテイメントに昇華させ、後味すっきりの青春恋愛物語に仕上げる構成力が凄いです。これで十代というのが驚きです。また是非、楽しくて面白い作品を読ませて欲しいです。
【 長編賞 】
該当なし
【 長編特別賞 】
『君への贈り物』弥永実羽/著
【講評】
<編集部>
読んだ後、各登場人物に会いたくなる話でした。それは、登場人物である彼ら彼女たちがそれだけ生々しく描かれていたからこそで、実際にこの世の中に存在するんじゃないかと思うほど実在性が高く、その一点において突出したパワーを感じる作品でした。物語として読者に届ける上で、少し読みにくい部分があったり、構成の面で重複する箇所が多かったり、先を読ませる展開の工夫が少なかったり、“読者に読んでもらう“という視点でみると、物足りない部分はありました。しかし、それでもこの作品ならではのパワー(すなわち各登場人物の実在性と、だからこそ感じられる彼ら彼女たちへの共感)で最後まで一気に読まさせられました。登場人物の叫びが聞こえるような、オリジナリティに溢れたとても魅力的な作品でした。
【 短編賞 】
『泡沫の日々を紡いで』春田陽菜/著
【講評】
<汐見夏衛>
安定感のある文章でとても読みやすかったです。「一度きりの人生だから自分のために生きていい、でも周りの人も一度きりの人生を生きている」という言葉が印象的でした。読者の胸に刺さるセリフを紡ぐ力、視覚的に印象の強いシーンを作る力などに将来性を感じ、推薦させていただきました。
<編集部>
約17,000字という短い文字数の中で、いくつもの展開があり、とても引き込まれた作品でした。第1回の「きみもの大賞」でも短編賞を受賞されている通り、表現力は他のどの作品よりも光るものがありました。そして、本作はクラスの中心だった桑島紡くんが不登校になってしまうところから始まります。桑島くんが最後に登校した際に記入した学級日誌には『今日は何でもないような一日でした。でも、必要な一日だと思いました。』という言葉。とても印象に残りました。ほかにもアサギマダラという蝶の話や、桑島くんの秘密など、印象に残るエピソードが多くあり、飽きなく読むことができました。家族の問題を取り扱っていますが、重くなりすぎず、最後には読者である私たちも少しだけ、息がしやすくなった気がしました。ただ、会話ベースで物語が進行していくので、会話にたよらずに字の文で展開できるようになると文句なしです。
【 短編特別賞 】
『@空白の君へ』夏代灯/著
【講評】
<汐見夏衛>
幸せを伝染させるという考え方がとても良いなと思いました。心の空白を埋めるというテーマが終始一貫しているところも書き手の力を感じました。
<編集部>
いつだって頑張っていないといけない。そんな風に“空白”を恐れる主人公は、そのストレスをSNSに吐き出していた……。「空白があっても、真っ白でも、何も問題ない」そんな風に言ってくれるヒーローと、そのメッセージが素敵で、共感する人も多いのではないかと感じました。“空白”というキーワードを首尾一貫して、最後までうまく使い切っている部分も面白かったです。ヒーローと近づいていく過程や、ラストの展開までの伏線など、各描写の行間が広すぎて、伝わりにくい箇所がいくつかあったので、“読者が読む”という視点から、さらに推敲できるとさらに素敵な作品になるかなと感じました。
【 短編特別賞 】
『偽りが落ちる』夜瀬ちる/著
【講評】
<汐見夏衛>
書きたいもの、伝えたい思いがはっきりしていました。偽りの仮面を自らの意志で剥ぎ取るまでの心の変化がよく描かれていて良かったです。
<編集部>
「僕は可愛いものが好きで――」“普通”と違う主人公。好きなものがあるけれど、それが普通じゃなくて、周りに言うときっと笑われたり、バカにされたりすると思ってしまう彼の姿に、その息苦しさが具体的だからこそ、入り込んで読むことが出来ました。ラスト、本作を通してのメッセージ、主人公の変化の着地がぼんやりしてしまっている印象だったので、伝えたいことと、主人公の変化を整理して、そのための展開を作れるとさらに魅力的な物語になったかもしれません。
【 読者投票賞 】
<長編>『君への贈り物』弥永実羽/著
<短編>『@空白の君へ』夏代灯/著
<超短編>『散りゆく春を、握りしめて。』舞宮 颯/著
最終選考作品 長編
最終選考作品 短編
応募要項
「きみの物語が、誰かを変える。小説大賞」は、今を生きる、新しい世代の読者が、心から共感できる物語を届けたい、そんな想いから始まった小説大賞です。
第2回開催にあたり、まさに“新しい世代”にあたる10代限定での実施といたします。特別審査員(短編賞)には、10代に最も支持の熱い『あの花が咲く丘〜』がTikTokで大反響を得た作家・汐見夏衛さんを迎え、より新しい世代のみなさんで作っていく小説大賞にしたいと考えます。
悩んでいるとき、苦しんでいるとき、「大丈夫」とか、「頑張れ」とか、言葉だけで言われてもわからない。納得できない。全然入ってこない。そんなときもあるかなと思います。でも、同じように苦しんでいる人や、悩んでいる人がいると知るだけで、共感できるだけで、救いになることってあると思います。
それは話すことでも、聞くことでも、そして書くことでも、読むことでも。
あなたが生きる今を物語にしてみてください。
スターツ出版文庫 編集部一同
特別審査員
募集部門
長編部門/短編部門/超短編部門
賞
- 大賞(1作品) 書籍化+賞金30万円
- TSUTAYA賞(1作品) 書籍化+TSUTAYAポイント10万PT
- 部門賞
- 長編賞(1作品) 書籍化+賞金10万円
- 短編賞(作品数未定) 汐見夏衛作品と短編集として書籍化+賞金3万円
- 超短編賞(作品数未定) 商品券3,000円分
- 読者投票賞(作品数未定) 商品券1万円分
※読者からの投票で、特に人気だった作品に贈られます。詳細は下部にある【読者投票について】をご一読ください。
応募資格
10代限定 ⇒ 2004年4月1日以降生まれの方(プロ、アマ問いません)
※ログイン後、[マイメニュー]-[登録情報管理]-[基本情報確認&変更]より生年月日を登録してください。
受賞作品発表
ノベマ!にて発表
【 長編・短編部門 】 応募要項
テーマ<全部門共通> | きみが生きる今、感じている想いをのせた青春恋愛小説 友達、家族など、誰にも見せていない、見せられないかもしれない自分の本当の気持ちを反映させた主人公が、ある出会いをきっかけに変わっていく姿を描いてください。 もしかしたら自分を“かっこ悪い”とか、“恥ずかしい”とか思っているかもしれない。 平気なふりをしているけれど、本当は弱い自分。 でも、そんなあなたが実際に感じた想いから生まれる物語は、きっと誰かを変える力になると信じています。 |
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設定<短編部門> | 汐見夏衛先生による下記の冒頭の1行と&ラストの1行を使って、執筆をしてください。 ※短編・超短編部門に限り必ず使ってください。長編賞部門での使用はお控えください。 冒頭:どこにいても、何をしていても、いつもどこか息苦しい――こんな自分のことが大嫌いだ。 この間にあなたの物語を入れて投稿してください。 (実際の投稿の際には“冒頭” “ラスト”の表記は不要です。) ラスト:少しだけ息がしやすくなった気がした。 |
応募方法 | 事前にノベマに会員登録の上、作品を投稿、公開してください。 STEP1 エントリーしたい作品の【作品編集】から、【設定】画面のコンテスト応募、第2回きみの物語が、誰かを変える。小説大賞を選択します。 STEP2 エントリーする部門を選択し、あらすじを入力してください。 ※以下は参考イメージです。 STEP3 ページ最下部の【設定を保存する】ボタンを押すとエントリー完了です。
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原稿文字数 | 「ノベマ!」上で、作品本文を以下の文字数におさめてください。
(1ページの最大入力可能文字数は10万字です。) |
スケジュール |
※スケジュールは変更になる可能性があります。 |
対象 | 応募サイト「ノベマ!」で読むことができる作品。 テーマに沿った作品であれば、複数エントリーしていただけます。 ※以下に該当する作品のエントリーは不可となります。
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注意事項 |
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審査について | 審査員 汐見 夏衛(短編賞)、スターツ出版 書籍編集部(全賞) 審査方法 すべての作品を読んだ上で、総合的観点から審査いたします。 【読者投票について】 一次審査を通過した作品を中間発表にて公開し、サイト上で読者投票を行います。 とくに投票数の多かった作品を、「読者賞」として表彰させていただきます。 ※各作品の投票数は公開されません。 |
共通注意事項
個人情報について | 応募および受賞に際し提供いただいた個人情報は、スターツ出版株式会社のプライバシーポリシーの定めるところにより取り扱わせていただきます。 |
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諸権利 | 受賞作品の出版権、雑誌掲載権、インターネット上への掲載権、コミカライズ権、映像化権等はスターツ出版株式会社に帰属します。受賞作品の全部または一部を、スターツ出版が発行・運営する紙面、インターネット、スマートフォン向けサイトに掲載することがあります。 |
お問い合わせ | 投稿やエントリー方法など、本コンテスト関するお問い合わせはtoi@novema.jpまでお願いします。 ※選考に関するお問い合わせ・ご質問には応じかねます。 ※携帯メールからの問い合わせの際、迷惑メール対策をされている方は受信対象ドメインに@novema.jpを指定してください。 |