最優秀賞

『Snowy Night』

ねじまきねずみ / 著

【講評】

天気予報が深夜の大雪予報を告げる日に、主人公の須田美波は終電を逃してしまう。仲の良い後輩の葉山に助けられ、二人でタクシーに乗り込むことにしたが…。

まさに求めていた作品でした。特に年下後輩男子・葉山くんの雰囲気が良かったです！「須田さんなら作りそうだけど」『俺いらない。大根』先輩にたまに出しちゃうタメ語。推せます。「終電」というテーマの使い方が他の作品と違っていてオリジナリティもありました。ふたりの関係性の下地もあったので物語に厚みが出たと思います。こんな後輩に巡り会いたいっ！と思える素敵な作品をありがとうございました！

優秀賞

『思い出にならない』

川奈あさ / 著

【講評】

「先輩の家、行ったらだめですか」一世一代の勇気と賭けをした主人公・結芽はゼミの飲み会後に終電を逃す。でもそれは、先輩・周を思い出にするためで…。

終電を逃した後の出来事というテーマの中での王道作品だったと思います。同じような設定の作品が多くあった中、この作品は特に筆力が高くお上手でした。キュン＆エモ作品でしたが、キュン<エモの塩梅が良かったです。キャラクターの解像度が高く結芽の気持ちに入り込めました。自分の気持ちに見切りをつけるための夜もあっていいよね…。と思える作品をありがとうございました！

特別賞

『わたしたちの、これから』

朝と花束 / 著

【講評】

大学四年生の最後の日、主人公の依織は恋人の遥とレイトショーを見に行き終電を逃してしまう。いい関係の恋人だと思っていたけど環境の変化という抗えない波にのまれ、この日の夜を機にその関係は崩れていく…。

そのころのわたしたちといえば、金曜日の夜に渋谷のTSUTAYAで待ち合わせをして、すぐ近くの映画館でレイトショーを観るのがお決まりのデートコースだった。――素敵な入り。いい距離感と共通の趣味がある2人。だからこそ、なぜこのような結末になってしまうの…。と切ない気持ちにもなりました。彼と心の距離が離れていく過程が言語化されてはいたと思います。ただ、文字数が少ないこともありますが、その関係性について説明がやや薄く共感という意味では入り込みづらいかなと思います。文字数にも余裕があるのでその部分を補強して、物語の厚みを増したいです。ただ、渋谷から三軒茶屋のお散歩はすごくエモい！　自分だったら関係を終わらせるのが怖くて用賀くらいまでは歩いちゃいそう…と思いました（笑）　エモい作品をありがとうございました！