同じ日の違う記憶

「雅! オッハー!」
 朝のアイサツが終わると、次に私が口を開くのはバイバイの時だろう。
 尚美、真凛。同じ高校で、今現在も交流が続くなんて、中学一年生のハブられていた私が聞いたら信じられないんだろうな。
 行きたかった総合学科の高校を諦めて、自分の学力と合っていない高校を選ばないといけなかったなんてね。

 私はあれから、ずっと「補欠」扱いだった。
 片方が休んだり、委員会とか当番とかで抜ける時に一人にならない用。二人はよくケンカするけど、その時に一人にならないために連れ回される、私はそれだけの存在なんだ。

『あの食べ方見たぁ? キモって引いたしー!』
『マジで公害レベルだよねぇ。死んだら面白いのにぃ』
『はい、真凛のブラック出たぁ!』
 こないだ、当番の仕事を終わらせて戻って来た時に聞いてしまった。
 普段、二人の会話はそこまで盛り上がってないけど、湧き上がるテーマが一つだけある。悪口大会だ。
 悪口を言うことで絆を深めている二人。そんな人たちと絡んでいる私と、仲良くなりたいと思う子なんかいるはずもない。
 二年のクラス替えで少し仲良くなりかけた子たちがいても、私が二人と一緒にいると知ると、みんなに避けられるようになった。
 それぐらい、二人は悪い意味で有名だった。
 しかも尚美と真凛と仲良く出来ているならともかく、二人は陰口だけでなく私に直接言ってくることもあるぐらいだ。

『雅って、ガッチリしてるね』
『意外と少食なんだね』
『えっ、もうファンデ使ったの? 女子力高っ!』
 制服のサイズが大きいことが恥ずかしくて小さめにしたらパツパツになったこと、人前でたくさん食べると恥ずかしいからお弁当箱小さくしてること、顔が大きいから小顔な二人と違ってファンデの減りが早いことをディスってくる。
 私の表情を曇らせる遊びらしく、何て返すかを見て笑っているらしい。
 その遊びについて知ったのがこないだの朝。私が学校に来る前に二人が話していた。
 今まで、なんでそんなイヤなことをわざわざ言ってくるのか疑問だったけどようやく分かった。
 だからあの日は耐えられなかった。