同じ日の違う記憶

『はぁ? つまり、ワタシらのことバカにしてるってことだよね!』
 中学二年生、ジメジメとした梅雨の時期。
 放課後に行われた委員会の集まりに行っていた真子を待っていた尚美と真凛だったけど、スマホを学生カバンにポイっと投げ入れ、乱暴に仕舞っていた。
 そんな姿を後ろから見ていた私は、初めて恐れより嘲笑う感情が出てきた。
 ここで「ホントに真子が言ってたの?」とか、「いい加減なことを言うな」と怒らない時点で友情はないってことだから。
 だってアナタたち、私のこと眼中になかったよね?
 そんな私が言うことと、真子の人格を天秤にかけて私を信じるなんて、薄っぺらい人間だなぁ。

『ちょっと、何してんの?』
『あんなヤツ待ってなくて良いじゃん』
 初めて向こうからかけられたことに反応できずにいると「早くっ!」とイラついた声が飛んできて、真子を置いて学校を出てきてしまった。

『わざわざ新しいの作るの?』
『だって、あれはアイツが入ってるから』
『それも、そっかぁー』
『はい、招待してあげたから』
 前を歩いている二人が何を言っているのか分からなかったのは、私がクラスでハブかれていたからだ。
 このクラスには特定の生徒だけが参加しているグループチャットがあり、わざわざ作り直したことから真子も加入していたのだと分かった。
 いや、それは分かったけど、何をするの?

『真子は明日からムシね! 分かった?』
 真凛があまりにも軽く言い放つ言葉に、心臓がどんどんと冷たくなった。

『え、ちょっと待って! な、なんで……』
『当ったり前じゃん! ムカついたし、当然じゃない?』
『何もそこまでしなくても』
『雅はさー、どっちの味方なの?』
 振り向いてきたことによって合ったのは、いつも以上に鋭い目線。真子の味方をしたら、クラスでイジメられる。
 とうとう降り出した冷たい雨に、そう言われたような気がした。