同じ日の違う記憶

『雅って、体重何キロあるんだろねぇ? 真子知らないのぉ?』
 中学生の頃、一番嫌いだったのは雅の悪口を聞かされることだった。
 あの殺伐とした教室の空気は今でも覚えている。
 テストの点数では雅に勝てないと分かってるからか、尚美と真凛は体型と苦手な運動のことばかり言っていた。

『うーん、知らないなぁ。でもさ、男子はポッチャリしている子の方が良いっていうよね? あ、男子といえば最近どーなの? 教えてよぉー!』
 恋バナが好きな二人に、さりげなく男子ネタを振る。
 それが私に唯一出来ることだった。

『え、まあ……』
『ってかさー、ポッチャリにも限度あるしっ!』
 二人が手を叩いて大笑いする姿に、横にいた別グループにも聞こえたようでつられて笑っていた。
 そんな時にタイミング悪く、雅が係の仕事を終わらせて帰って来た。

『うーん、アウト!』
『だよなぁ!』
 男子たちは雅を親指を立てたかと思えば、指を下に差してきた。そんなことをされたら誰でも嫌な気持ちになり、当然ながら雅も俯いてしまった。
 ああ、ダメだ。私がフォローすればするほど二人の機嫌は悪くなり、クラスを巻き込んでの悪口になっていく。
 被害を最小限にするには、何も言わず、ただ笑うだけだった。
 不快だけど仕方がなかった。私が余計なことを言えば、雅を余計に傷付ける。
 だから仕方がなく、一緒に笑うしかなかった。