(1文字でも打ち間違えたら、魔法は発動しない……)
トウマから、広辞苑よりも分厚い本を与えられたときの衝撃は大きかった。
魔法に、こんなにも種類があるという難易度高すぎる乙女ゲームに驚愕もした。
けれど、『エンドレス・エタニティ』を無事にハッピーエンドで終わらせると決めた。
超マイナーゲームの世界ランク1位を生かすことのできる場所は、『エンドレス・エタニティ』しかないと思った。
「信頼して、リッカ」
「アルフレズ様……」
こういうとき、優しい声色の人って得だと思った。
こんなにも殺伐とした状況下で、人を安心させるための声を出すことができるアルフレズは素直に凄い。
トウマの声も綺麗だよねと振り返ってはみたけれど、自分はプロの声優さんが声を担当したゲームの中に召喚されたことを急に思い出す。
(私は、超マイナーゲームの世界ランク1位)
ここは、乙女ゲームの世界。
バッドエンディングを迎えた時点で、トウマが生きた世界はリセットされる。
これはゲームだから、亡くなった命が蘇ってしまうループ物語もありかもしれない。
でも、たとえ記憶を引き継がない世界観だとしても、モブキャラクターだって何度も何度も殺されたらいい気はしないはず。
(最強ゲーマーが、文字を打ち間違えるとかありえないから)
自分の記憶と技術を頼りに、正確に世界の文字を打ち込んでいく。
アルフレズが戦っている姿を見ることはできないくらい忙しいけれど、これ以上あなたの手を汚させないためにもプレイヤーらしいことをやりきってみせる。
「……できた」
マジックボードに文字を打ち込み終わると、トウマの説明通り魔法が発動した。
呪文を覚えることばかりに気をとられていて、肝心のどんな魔法が発動するかまでは記憶に留めていなかった。
それが原因となって、ここら一帯を支配していた魔物を一掃できてしまうくらいの強烈な魔法が偶然にも飛び出してくれた。
「リッカ!」
明らかに、聖女と呼ばれる存在が解き放つような魔法ではない威力の光魔法を発動させてしまった。
勢いある魔法の強大さに誰よりも驚いてしまったのは私で、私の元に駆けつけてくれたアルフレズにふらついた体を支えてもらう。
「ごめんなさい……お借りしたドレスが……」
「そんなのはどうなっても構いません!」
確かにそうかもそれないけれど、私がトウマの元にいる限りはとても弁償できる気がしない高級ドレスを汚してしまったことを謝罪する。
「気分は?」
「気分?」
「あれだけの魔法を使って、あなたの身に何も起きていないわけが……」
心配されている。
心配してくれているんだって、分かった。
「大丈夫です」
ねえ、アルフレズ。
何がきっかけでアルフレズが女性と関わることになったのかは分からないけど、多分あなたはいい人なんだね。
攻略対象1に選ばれる理由が、なんとなく理解できた。
「私は、天才で最強の聖女ですから」
私は、この日を境に『エンドレス・エタニティ』内での知名度を一気に上げることになる。
現実世界で名前のなかった私は、この日を境に多くの人たちから名前を呼んでもらえることになる。
『ジェラヴィシティの厄災を救った聖女リッカ』と。
トウマから、広辞苑よりも分厚い本を与えられたときの衝撃は大きかった。
魔法に、こんなにも種類があるという難易度高すぎる乙女ゲームに驚愕もした。
けれど、『エンドレス・エタニティ』を無事にハッピーエンドで終わらせると決めた。
超マイナーゲームの世界ランク1位を生かすことのできる場所は、『エンドレス・エタニティ』しかないと思った。
「信頼して、リッカ」
「アルフレズ様……」
こういうとき、優しい声色の人って得だと思った。
こんなにも殺伐とした状況下で、人を安心させるための声を出すことができるアルフレズは素直に凄い。
トウマの声も綺麗だよねと振り返ってはみたけれど、自分はプロの声優さんが声を担当したゲームの中に召喚されたことを急に思い出す。
(私は、超マイナーゲームの世界ランク1位)
ここは、乙女ゲームの世界。
バッドエンディングを迎えた時点で、トウマが生きた世界はリセットされる。
これはゲームだから、亡くなった命が蘇ってしまうループ物語もありかもしれない。
でも、たとえ記憶を引き継がない世界観だとしても、モブキャラクターだって何度も何度も殺されたらいい気はしないはず。
(最強ゲーマーが、文字を打ち間違えるとかありえないから)
自分の記憶と技術を頼りに、正確に世界の文字を打ち込んでいく。
アルフレズが戦っている姿を見ることはできないくらい忙しいけれど、これ以上あなたの手を汚させないためにもプレイヤーらしいことをやりきってみせる。
「……できた」
マジックボードに文字を打ち込み終わると、トウマの説明通り魔法が発動した。
呪文を覚えることばかりに気をとられていて、肝心のどんな魔法が発動するかまでは記憶に留めていなかった。
それが原因となって、ここら一帯を支配していた魔物を一掃できてしまうくらいの強烈な魔法が偶然にも飛び出してくれた。
「リッカ!」
明らかに、聖女と呼ばれる存在が解き放つような魔法ではない威力の光魔法を発動させてしまった。
勢いある魔法の強大さに誰よりも驚いてしまったのは私で、私の元に駆けつけてくれたアルフレズにふらついた体を支えてもらう。
「ごめんなさい……お借りしたドレスが……」
「そんなのはどうなっても構いません!」
確かにそうかもそれないけれど、私がトウマの元にいる限りはとても弁償できる気がしない高級ドレスを汚してしまったことを謝罪する。
「気分は?」
「気分?」
「あれだけの魔法を使って、あなたの身に何も起きていないわけが……」
心配されている。
心配してくれているんだって、分かった。
「大丈夫です」
ねえ、アルフレズ。
何がきっかけでアルフレズが女性と関わることになったのかは分からないけど、多分あなたはいい人なんだね。
攻略対象1に選ばれる理由が、なんとなく理解できた。
「私は、天才で最強の聖女ですから」
私は、この日を境に『エンドレス・エタニティ』内での知名度を一気に上げることになる。
現実世界で名前のなかった私は、この日を境に多くの人たちから名前を呼んでもらえることになる。
『ジェラヴィシティの厄災を救った聖女リッカ』と。