「ここは藤宮さんが経営してる店なんだ」
「慧が?」
「ああ、潰れたファミレスをブン盗って、改装した、まあ潰したのも藤宮さんだけどな」
「それ、乗っ取りって言うんじゃないの?」
「まあそうだな、けど当時の店長は、今もそのままここで店長をしてる、ただ経営者が変わっただけさ、そういうのはよくある話だろ」
「まあね……」
店の経営は元々そう良くはなかった。まず場所が悪い。町の中心地からも主要道路からも離れ、住宅地にも遠い。周りにはバス停と自動販売機くらいしかない。あとは荒地だ。そんなところに客が来るわけもなく、慧が潰さなくても遅かれ早かれ潰れていただろう。
ただ料理の味はいい。飽きの来ない深みのある味がするのだと、澤田は自慢げに話した。
「そこを藤宮さんは知ってたんだよな、この味を失くすのは惜しいって店をブン盗ったのさ、味を守るためにな」
「そうなの?」
「ああ、藤宮さんが手を出さなきゃここは自滅してた、そしたらどうなる? 店長は借金抱えて落ちぶれるだけ、この味はもう二度と、誰も口にできないんだ、だが今はどうだ? 藤宮さんに乗っ取られたおかげで、店長は料理を続けられるし、味も守られる、これは良いことだろ?」
「そうだね」
それだけ聞けばたしかに善行のように思える。それならなにも悪ぶって乗っ取りなどしなくても経営再建を申し出ればよかったんじゃないのかと聞くと、澤田はそう上手くいかないのさと肩を竦めた。
「最初からそんな話を持っていってみろ、こっちは得体の知れないヤクザ集団なんだ、しかもどう見ても若造だ、脅し集りと思われるのがオチだろ」
「そうかな」
「そうさ、だから藤宮さんは手っ取り早くここをブッ潰したんだよ、最初は店長も恨んでたろうが、今はわかってる、この店の味を守るためにとった手段だってわかってんだよ、だから今は店長も俺たちと同じさ」
「そうか……」
俺たちと同じ、というのは慧に忠誠を誓っているという意味だろう。結果、慧は信奉者をまた一人増やしたということだ。
「それにな、この店はツケが利くんだよ」
「つけ?」
「ああ、藤宮さんの仲間には割引してくれる、その上、手持ちがなければ、あるとき払いにしてくれる、口は堅いし、便利だろ?」
「それじゃ経営が怪しくなるんじゃないの?」
「いいんだよ、藤宮さんもそれでいいと言ってる、なんかよくわからないけど、税金対策とかにもなるらしいぜ」
税金対策というのは多少わかる。会社経営などする場合、あまり儲かり過ぎると税金も多く取られる。だがチェーンの店に赤字店があれば、その分差っぴいて計算されるので、支払う税金も減るという仕組みだ。だがそれは正規経営の場合であり、ツケや割引で赤字になったモノまではカバーしないのではないか?
もしかすると、税金対策というのは方便で、実はあの廃ビルに住む連中を餓えさせないために、そこをカバーする為だけにこの店はあるのかもしれない。
人間は食が満たされていれば、あまり悪いことは考えない。餓えないだけでも犯罪率は激減するだろう。慧は彼らに無用の犯罪を犯させないようにし、連中を護っているのかもしれない。
行き場のない者を引き取り、行き場を与え、餌を与え、自由と規律を与え、生甲斐を与える。見返りは連中の忠誠以外、なにもない。まるでボランティアだ。
しかも慧は毎月八百万以上を父親に返済しなければならない身だ。普通なら他人の面倒など見ている場合ではないだろう。それが奪う側、傷つける側にならなければ損だと嘯きながらなぜ?
そこを考えたとき、裕二は慧の孤独な瞳を思い出した。
彼は寂しいのかもしれない。これだけ大勢に慕われて、彼ら彼女らの忠誠を一身に受けてもなお、寂しいのかもしれない。
なにをしても埋められない穴が彼の中にはあるのだ。それを埋めるために彼は必死になっている。そう気づいたとき急に肌寒さを覚えた。
周りには誰もいない。薄暗く乾いた世界で彼は地面に開いた大きな穴を塞ごうとしている。泥と埃と汗に塗れながらただひたすらに穴の中へ土くれを放り込む。だがなにもない世界でその土くれを得る為には、また別の場所から持ってくるしかなく、最初の穴が埋まる頃には、また別の大穴が出来る。それを見つけまたそこを埋めようと地面を掘り返す。
だがいくらやっても同じだ、元が変わらなければ穴は塞がらない。
果てのない作業……それに疲れ果てたとき、その穴の大きさが、丁度自分と同じくらいだと気づく。
ここに自分が納まれば穴は塞がる。地面は平らになる。そして自分はもう苦しい作業をしなくて済む。こんなに自分とぴったりなのだ、もしかしたら元々この穴は自分が出てきた為に開いた穴なのかもしれない。それならそれを塞ぐことが出来るのは、自分の亡骸だけだろう。そう思い込み穴に飛び込んでいく。
やがて息を止めた亡骸は腐り果て、崩れて自らが土くれとなる。
裕二は自分で考えた想像にゾッとしながら、それがハズレでないことを確信していた。
慧は死にたがっている。切欠などなくても、何かのはずみで死に転がっていこうとする。こうしている今も死に向かって歩いているのかもしれない。そう考えるとのんびりとしていられなくなった。
とにかくなんとかしなくては、彼のために、彼に生きてもらうために、自分で出来ることはなんでもするのだと意気込み、澤田に早く話を聞かせてくれと迫る。
「なんだよ急に」
「急にじゃないよ、ずっと聞きたかったんだ、早く何とかしないと」
「しないと?」
「慧は死んでしまう」
「え?」
驚く澤田に裕二は自分の想像と心配を打ち明けた。澤田の顔色も変わる。そしてまさかと小さく呟きながら黙り込む。そこへ丁度、先ほど注文したアメリカンプレートとアイスコーヒーが届けられる。澤田はそれを切欠のように顔をあげ、ウエイトレスが戻り、再び人気がなくなるのを待ってからゆっくりと話し始めた。
それは今から二週間前の話だ。慧は日頃世話になっている親和会《しんわかい》の会長、鵜飼善三《うかいぜんぞう》からじきじきに呼び出され、ある料亭に出向いた。従者は連れてくるなと指定されていたので一人で出向き、そこで日頃の労を労われ、接待を受ける。
その席には、鵜飼の息子、丈一郎も同席していた。
昼食を挟んだ接待は順調にすすみ、一通りの食事が済む頃、鵜飼本人は帰った。だがその息子、丈一郎は残り、引き続き接待してやると言ったらしい。もちろん接待など名目だけだ、丈一郎にはまた別のえげつない目的があった。慧本人だ。
丈一郎は小児性愛者で綺麗な子供に目がない。特に六歳から十二歳くらいの少年少女が好きで慧のところへも子供をつれて来いという半命令のような言いつけが何度も来ていた。
だが成人女性ならまだしも、子供の誘拐はリスクが高い。大人なら自分の意思だと言えるが子供ではそうはいかない。どんな場合でもこちらが百パーセント悪い。それに、攫われてきた子供がどうなるのかわかっていてそこへ差し出す気にもならない。
だからなにやかやと理由をつけ、その要求だけは避けてきたのだが、いよいよそれも限界にきたということだ。
慧を地下酒場の一室に閉じ込め、子供を用意しろ、それが出来ないならお前らとは取引しないように父親に言いつけてやるぞと迫られた。
しかし慧はそれを突っ撥ねた。自分らと鵜飼とは持ちつ持たれつだ、そんな些細なことで自分らを切っては鵜飼のほうも困ることになる。だからそんな脅しは通用しないと袖も振らなかった。怒った丈一郎はそれならお前が代わりになれと慧を引き倒す。
慧は十八で丈一郎の好む年齢からは行き過ぎていたが、歳のわりに華奢な体つきと綺麗な顔が興味をそそったらしい。
数人がかりで押さえつけ酒をボトルで流し込む。堪らず慧は昏倒し、丈一郎は動けなくなった慧を連れて酒場の隣にあるラブホテルへと向かった。
そこであとは一人でいいと部下達を帰らせ、慧と二人きりとなる。そしてその数時間後、丈一郎はその部屋で遺体となって見つかった。
死因は刃物による刺し傷、背中から心臓を一突きだったようだ。
最初は慧が殺ったのではないかと疑われた。しかし慧は意識不明の重体で病院へ搬送されている。診断結果は急性アルコール中毒、それもかなり危ない状態だったらしく、発見が遅れれば死の可能性もあったという。とてもじゃないが犯行は無理だ。
では誰だとみな犯人探しにやっきになった。そしてその答えを示すように現れたのが曽我部辰寛だ。
曽我部は慧の親友であり、廃ビルに棲む集団の幹部格でもあった。慧が行方不明になれば必ず動くだろう。そして案の定、凶器のナイフを握ったままホテル近くの脇道に隠れていた曽我部が発見される。見つけたのは丈一郎の部下だ。
慧と丈一郎が二人きりになった後、そこでなにがおきたのか誰も見ていない。すべては憶測と推論でしかない。だが大方の見方はこうだ。
酒を飲まされ意識不明だった慧をつれ丈一郎はホテルに篭る。そこで慧は隙を見て曽我部に連絡を入れた。しかし急性アルコール中毒のため話を全て伝えきれないまま再び昏倒。事態を重く察した曽我部は慧から聞いたホテルに駆けつけ、そこで慧を強姦しようとしていた丈一郎と鉢合せになる。
いいところを邪魔された丈一郎は怒り、脅しのために所持していたナイフで曽我部を襲う。忽ち揉みあいになり、曽我部は丈一郎を刺してしまう。
血塗れになった丈一郎を見て動転した曽我部はそのまま逃走。一度は丈一郎の部下に見つけられるが、それを振りきって再び逃亡、現在に到る。
「慧が?」
「ああ、潰れたファミレスをブン盗って、改装した、まあ潰したのも藤宮さんだけどな」
「それ、乗っ取りって言うんじゃないの?」
「まあそうだな、けど当時の店長は、今もそのままここで店長をしてる、ただ経営者が変わっただけさ、そういうのはよくある話だろ」
「まあね……」
店の経営は元々そう良くはなかった。まず場所が悪い。町の中心地からも主要道路からも離れ、住宅地にも遠い。周りにはバス停と自動販売機くらいしかない。あとは荒地だ。そんなところに客が来るわけもなく、慧が潰さなくても遅かれ早かれ潰れていただろう。
ただ料理の味はいい。飽きの来ない深みのある味がするのだと、澤田は自慢げに話した。
「そこを藤宮さんは知ってたんだよな、この味を失くすのは惜しいって店をブン盗ったのさ、味を守るためにな」
「そうなの?」
「ああ、藤宮さんが手を出さなきゃここは自滅してた、そしたらどうなる? 店長は借金抱えて落ちぶれるだけ、この味はもう二度と、誰も口にできないんだ、だが今はどうだ? 藤宮さんに乗っ取られたおかげで、店長は料理を続けられるし、味も守られる、これは良いことだろ?」
「そうだね」
それだけ聞けばたしかに善行のように思える。それならなにも悪ぶって乗っ取りなどしなくても経営再建を申し出ればよかったんじゃないのかと聞くと、澤田はそう上手くいかないのさと肩を竦めた。
「最初からそんな話を持っていってみろ、こっちは得体の知れないヤクザ集団なんだ、しかもどう見ても若造だ、脅し集りと思われるのがオチだろ」
「そうかな」
「そうさ、だから藤宮さんは手っ取り早くここをブッ潰したんだよ、最初は店長も恨んでたろうが、今はわかってる、この店の味を守るためにとった手段だってわかってんだよ、だから今は店長も俺たちと同じさ」
「そうか……」
俺たちと同じ、というのは慧に忠誠を誓っているという意味だろう。結果、慧は信奉者をまた一人増やしたということだ。
「それにな、この店はツケが利くんだよ」
「つけ?」
「ああ、藤宮さんの仲間には割引してくれる、その上、手持ちがなければ、あるとき払いにしてくれる、口は堅いし、便利だろ?」
「それじゃ経営が怪しくなるんじゃないの?」
「いいんだよ、藤宮さんもそれでいいと言ってる、なんかよくわからないけど、税金対策とかにもなるらしいぜ」
税金対策というのは多少わかる。会社経営などする場合、あまり儲かり過ぎると税金も多く取られる。だがチェーンの店に赤字店があれば、その分差っぴいて計算されるので、支払う税金も減るという仕組みだ。だがそれは正規経営の場合であり、ツケや割引で赤字になったモノまではカバーしないのではないか?
もしかすると、税金対策というのは方便で、実はあの廃ビルに住む連中を餓えさせないために、そこをカバーする為だけにこの店はあるのかもしれない。
人間は食が満たされていれば、あまり悪いことは考えない。餓えないだけでも犯罪率は激減するだろう。慧は彼らに無用の犯罪を犯させないようにし、連中を護っているのかもしれない。
行き場のない者を引き取り、行き場を与え、餌を与え、自由と規律を与え、生甲斐を与える。見返りは連中の忠誠以外、なにもない。まるでボランティアだ。
しかも慧は毎月八百万以上を父親に返済しなければならない身だ。普通なら他人の面倒など見ている場合ではないだろう。それが奪う側、傷つける側にならなければ損だと嘯きながらなぜ?
そこを考えたとき、裕二は慧の孤独な瞳を思い出した。
彼は寂しいのかもしれない。これだけ大勢に慕われて、彼ら彼女らの忠誠を一身に受けてもなお、寂しいのかもしれない。
なにをしても埋められない穴が彼の中にはあるのだ。それを埋めるために彼は必死になっている。そう気づいたとき急に肌寒さを覚えた。
周りには誰もいない。薄暗く乾いた世界で彼は地面に開いた大きな穴を塞ごうとしている。泥と埃と汗に塗れながらただひたすらに穴の中へ土くれを放り込む。だがなにもない世界でその土くれを得る為には、また別の場所から持ってくるしかなく、最初の穴が埋まる頃には、また別の大穴が出来る。それを見つけまたそこを埋めようと地面を掘り返す。
だがいくらやっても同じだ、元が変わらなければ穴は塞がらない。
果てのない作業……それに疲れ果てたとき、その穴の大きさが、丁度自分と同じくらいだと気づく。
ここに自分が納まれば穴は塞がる。地面は平らになる。そして自分はもう苦しい作業をしなくて済む。こんなに自分とぴったりなのだ、もしかしたら元々この穴は自分が出てきた為に開いた穴なのかもしれない。それならそれを塞ぐことが出来るのは、自分の亡骸だけだろう。そう思い込み穴に飛び込んでいく。
やがて息を止めた亡骸は腐り果て、崩れて自らが土くれとなる。
裕二は自分で考えた想像にゾッとしながら、それがハズレでないことを確信していた。
慧は死にたがっている。切欠などなくても、何かのはずみで死に転がっていこうとする。こうしている今も死に向かって歩いているのかもしれない。そう考えるとのんびりとしていられなくなった。
とにかくなんとかしなくては、彼のために、彼に生きてもらうために、自分で出来ることはなんでもするのだと意気込み、澤田に早く話を聞かせてくれと迫る。
「なんだよ急に」
「急にじゃないよ、ずっと聞きたかったんだ、早く何とかしないと」
「しないと?」
「慧は死んでしまう」
「え?」
驚く澤田に裕二は自分の想像と心配を打ち明けた。澤田の顔色も変わる。そしてまさかと小さく呟きながら黙り込む。そこへ丁度、先ほど注文したアメリカンプレートとアイスコーヒーが届けられる。澤田はそれを切欠のように顔をあげ、ウエイトレスが戻り、再び人気がなくなるのを待ってからゆっくりと話し始めた。
それは今から二週間前の話だ。慧は日頃世話になっている親和会《しんわかい》の会長、鵜飼善三《うかいぜんぞう》からじきじきに呼び出され、ある料亭に出向いた。従者は連れてくるなと指定されていたので一人で出向き、そこで日頃の労を労われ、接待を受ける。
その席には、鵜飼の息子、丈一郎も同席していた。
昼食を挟んだ接待は順調にすすみ、一通りの食事が済む頃、鵜飼本人は帰った。だがその息子、丈一郎は残り、引き続き接待してやると言ったらしい。もちろん接待など名目だけだ、丈一郎にはまた別のえげつない目的があった。慧本人だ。
丈一郎は小児性愛者で綺麗な子供に目がない。特に六歳から十二歳くらいの少年少女が好きで慧のところへも子供をつれて来いという半命令のような言いつけが何度も来ていた。
だが成人女性ならまだしも、子供の誘拐はリスクが高い。大人なら自分の意思だと言えるが子供ではそうはいかない。どんな場合でもこちらが百パーセント悪い。それに、攫われてきた子供がどうなるのかわかっていてそこへ差し出す気にもならない。
だからなにやかやと理由をつけ、その要求だけは避けてきたのだが、いよいよそれも限界にきたということだ。
慧を地下酒場の一室に閉じ込め、子供を用意しろ、それが出来ないならお前らとは取引しないように父親に言いつけてやるぞと迫られた。
しかし慧はそれを突っ撥ねた。自分らと鵜飼とは持ちつ持たれつだ、そんな些細なことで自分らを切っては鵜飼のほうも困ることになる。だからそんな脅しは通用しないと袖も振らなかった。怒った丈一郎はそれならお前が代わりになれと慧を引き倒す。
慧は十八で丈一郎の好む年齢からは行き過ぎていたが、歳のわりに華奢な体つきと綺麗な顔が興味をそそったらしい。
数人がかりで押さえつけ酒をボトルで流し込む。堪らず慧は昏倒し、丈一郎は動けなくなった慧を連れて酒場の隣にあるラブホテルへと向かった。
そこであとは一人でいいと部下達を帰らせ、慧と二人きりとなる。そしてその数時間後、丈一郎はその部屋で遺体となって見つかった。
死因は刃物による刺し傷、背中から心臓を一突きだったようだ。
最初は慧が殺ったのではないかと疑われた。しかし慧は意識不明の重体で病院へ搬送されている。診断結果は急性アルコール中毒、それもかなり危ない状態だったらしく、発見が遅れれば死の可能性もあったという。とてもじゃないが犯行は無理だ。
では誰だとみな犯人探しにやっきになった。そしてその答えを示すように現れたのが曽我部辰寛だ。
曽我部は慧の親友であり、廃ビルに棲む集団の幹部格でもあった。慧が行方不明になれば必ず動くだろう。そして案の定、凶器のナイフを握ったままホテル近くの脇道に隠れていた曽我部が発見される。見つけたのは丈一郎の部下だ。
慧と丈一郎が二人きりになった後、そこでなにがおきたのか誰も見ていない。すべては憶測と推論でしかない。だが大方の見方はこうだ。
酒を飲まされ意識不明だった慧をつれ丈一郎はホテルに篭る。そこで慧は隙を見て曽我部に連絡を入れた。しかし急性アルコール中毒のため話を全て伝えきれないまま再び昏倒。事態を重く察した曽我部は慧から聞いたホテルに駆けつけ、そこで慧を強姦しようとしていた丈一郎と鉢合せになる。
いいところを邪魔された丈一郎は怒り、脅しのために所持していたナイフで曽我部を襲う。忽ち揉みあいになり、曽我部は丈一郎を刺してしまう。
血塗れになった丈一郎を見て動転した曽我部はそのまま逃走。一度は丈一郎の部下に見つけられるが、それを振りきって再び逃亡、現在に到る。