待ち合わせ場所に行くと、由依ちゃんと瑞希ちゃんはすでに来ていた。
「あーあ、短くしちゃって。失恋でもしたみたい」
どうして髪が短くなってしまったのか知っているはずなのに、瑞希ちゃんは意地の悪い笑みを浮かべ、からかうように言ってきた。
私は頬を膨らませる。
「もう、瑞希ったら。短いのも可愛いよ、円香ちゃん。似合ってる」
改めて言われると照れ臭くなり、右手で毛先をいじる。
「それじゃ、三人そろったことだし、行きますか」
「どちらに行かれるのですか?」
よくよく考えたら待ち合わせ場所と時間しか決めていなくて、どこに行くのか知らなかった。
「ここだよ」
由依ちゃんがスマホの画面を見せてくれる。
そこは最近話題の喫茶店らしい。可愛らしい外装に興味をそそられる。
「喫茶店なんか行っても腹は満たされない」
「別に、お昼を食べようって言ってるわけじゃないんだから。嫌なら、私と円香ちゃんで行くから、瑞希は帰ってもいいよ」
瑞希ちゃんは喫茶店に行くことに賛成していなかったらしい。二人は笑顔でにらみ合っている。
先に折れたのは瑞希ちゃんで、ため息をついた。
「付き合えばいいんでしょ」
「だから、嫌なら来なくていいってば」
二人はまだ言い合いをしながら駅の中に入っていった。
その背中を見つめていたら、二人が同時に振り返った。
「どうしたの、円香ちゃん」
「おいていくよ、えん」
私も仲間に入ってもいいと言われたような気がして、足が軽くなる。
電車に乗り、由依ちゃんが行きたいという喫茶店の最寄り駅で降りた。タイミングよく瑞希ちゃんのお腹が鳴った。
十二時前で、私もお腹が空いた。
「ラーメン行こう」
「円香ちゃん、何が食べたい?」
瑞希ちゃんのラーメンが聞こえなかったのか、聞こえないふりをしたのかわからないけど、由依ちゃんは私に確認した。
「ラーメン」
瑞希ちゃんは諦めずにもう一度言った。
由依ちゃんは呆れた目を瑞希ちゃんに向ける。
「あのね、瑞希。今日は円香ちゃんの日だから、瑞希は我慢して」
瑞希ちゃんは納得いかないのか、不服そうにしている。
普段はお姉さんのような瑞希ちゃんの、子供らしい一面に微笑ましくなる。
「私はラーメンでいいですよ?食べてみたいです」
私がそう言うと、瑞希ちゃんは顔を晴らした。
「本当?円香ちゃん。瑞希に合わせようと無理してない?」
由依ちゃんは私がラーメンを食べたいと言ったことが信じられないのか、そんなことを聞いてきた。
「はい、していませんよ」
家では絶対に出てこないメニューで、興味があるのは事実だ。
「えん。この辺でおいしそうなラーメン店があるんだよ。行こう」
瑞希ちゃんに手を引かれて転びそうになりながら歩く。
「あーあ、短くしちゃって。失恋でもしたみたい」
どうして髪が短くなってしまったのか知っているはずなのに、瑞希ちゃんは意地の悪い笑みを浮かべ、からかうように言ってきた。
私は頬を膨らませる。
「もう、瑞希ったら。短いのも可愛いよ、円香ちゃん。似合ってる」
改めて言われると照れ臭くなり、右手で毛先をいじる。
「それじゃ、三人そろったことだし、行きますか」
「どちらに行かれるのですか?」
よくよく考えたら待ち合わせ場所と時間しか決めていなくて、どこに行くのか知らなかった。
「ここだよ」
由依ちゃんがスマホの画面を見せてくれる。
そこは最近話題の喫茶店らしい。可愛らしい外装に興味をそそられる。
「喫茶店なんか行っても腹は満たされない」
「別に、お昼を食べようって言ってるわけじゃないんだから。嫌なら、私と円香ちゃんで行くから、瑞希は帰ってもいいよ」
瑞希ちゃんは喫茶店に行くことに賛成していなかったらしい。二人は笑顔でにらみ合っている。
先に折れたのは瑞希ちゃんで、ため息をついた。
「付き合えばいいんでしょ」
「だから、嫌なら来なくていいってば」
二人はまだ言い合いをしながら駅の中に入っていった。
その背中を見つめていたら、二人が同時に振り返った。
「どうしたの、円香ちゃん」
「おいていくよ、えん」
私も仲間に入ってもいいと言われたような気がして、足が軽くなる。
電車に乗り、由依ちゃんが行きたいという喫茶店の最寄り駅で降りた。タイミングよく瑞希ちゃんのお腹が鳴った。
十二時前で、私もお腹が空いた。
「ラーメン行こう」
「円香ちゃん、何が食べたい?」
瑞希ちゃんのラーメンが聞こえなかったのか、聞こえないふりをしたのかわからないけど、由依ちゃんは私に確認した。
「ラーメン」
瑞希ちゃんは諦めずにもう一度言った。
由依ちゃんは呆れた目を瑞希ちゃんに向ける。
「あのね、瑞希。今日は円香ちゃんの日だから、瑞希は我慢して」
瑞希ちゃんは納得いかないのか、不服そうにしている。
普段はお姉さんのような瑞希ちゃんの、子供らしい一面に微笑ましくなる。
「私はラーメンでいいですよ?食べてみたいです」
私がそう言うと、瑞希ちゃんは顔を晴らした。
「本当?円香ちゃん。瑞希に合わせようと無理してない?」
由依ちゃんは私がラーメンを食べたいと言ったことが信じられないのか、そんなことを聞いてきた。
「はい、していませんよ」
家では絶対に出てこないメニューで、興味があるのは事実だ。
「えん。この辺でおいしそうなラーメン店があるんだよ。行こう」
瑞希ちゃんに手を引かれて転びそうになりながら歩く。