「笠木さんも、関わりたくないと思いますか……?」
恐る恐る聞くと、笠木さんは私の不安を笑い飛ばした。
「お嬢様がどんな人か知ってるのに、今さら見た目で判断したりするかよ」
すると、涙が静かに頬を伝った。
「お、お嬢様?」
私が急に泣いてしまったせいで、笠木さんは動揺を見せる。
私は急いで涙を拭う。
「……ごめんなさい、なんでもないです。今日はありがとうございました。失礼します」
笠木さんに深堀される前に、その場から逃げ出した。
◇
家に帰ると、早速出迎えてくれた奈子さんに驚かれた。
「お嬢様、その髪はどうされたんですか!?」
奈子さんの大声で、柳まで玄関に来た。驚きすぎの柳は壁によろけた。
「似合わない、かな」
顔が上げられない。俯くことで、赤色の毛先が目に入る。
「似合う似合わないの問題ではありません!」
柳に怒鳴られ、肩をすくめる。
しかし柳の言う通り、似合う似合わないの問題ではない。
そんなことは初めからわかっていた。わかっていた上で、私は髪を染めたのだ。
「小野寺家のお嬢様が、そんな、不良みたいなことをなさるなど、言語道断!どうしてそんなことを!」
ここまで否定されると、反抗したくなってくる。
だが、今反抗していいわけがない。
「旦那様にご報告させていただきます」
「それは……!」
やめてほしい、なんて言えなかった。
「もし今の学校に通っていることが原因なのであれば、転校も考えていただきます!」
柳はそう言い捨てると、奥に行ってしまった。
不思議と力なく笑ってしまう。
「……やっぱりダメかあ……」
ため息をつくと同時に、座り込む。
赤くなった毛先をつまみ、電気にかざす。
色素がなくなった毛先は綺麗な赤色になっている。
奈子さんは私の横に膝をついて座った。
「お嬢様、どうして髪を染められたのですか?」
柳とは違って、奈子さんは優しい声で聞いてくる。
「……染めてみたいなって思ったの。毛先だけなら切れば済むし、この土日だけならいいかなって」
笑って誤魔化そうとするけど、奈子さんの不安そうな顔は変わらない。
居心地悪くなって、部屋に逃げる。
枕に顔をうずめて思いっきり叫ぶ。
似合ってると言ってほしかったわけではない。ただあそこまで否定されたくなかった。
そのとき、メッセージが届いた。送り主は瑞希ちゃんだ。
『髪はどんな感じになった?』
言葉で説明するより写真を撮ったほうが早いと思い、内カメラにして写真を撮る。
『いい色だね』
その写真を送ると、そんなメッセージが返ってきた。やっと褒め言葉が聞けて、なぜか安心した。
『日曜、楽しみにしてる』
私も楽しみだと返事をしようとしたとき、誰かがドアを叩いた。
恐る恐る聞くと、笠木さんは私の不安を笑い飛ばした。
「お嬢様がどんな人か知ってるのに、今さら見た目で判断したりするかよ」
すると、涙が静かに頬を伝った。
「お、お嬢様?」
私が急に泣いてしまったせいで、笠木さんは動揺を見せる。
私は急いで涙を拭う。
「……ごめんなさい、なんでもないです。今日はありがとうございました。失礼します」
笠木さんに深堀される前に、その場から逃げ出した。
◇
家に帰ると、早速出迎えてくれた奈子さんに驚かれた。
「お嬢様、その髪はどうされたんですか!?」
奈子さんの大声で、柳まで玄関に来た。驚きすぎの柳は壁によろけた。
「似合わない、かな」
顔が上げられない。俯くことで、赤色の毛先が目に入る。
「似合う似合わないの問題ではありません!」
柳に怒鳴られ、肩をすくめる。
しかし柳の言う通り、似合う似合わないの問題ではない。
そんなことは初めからわかっていた。わかっていた上で、私は髪を染めたのだ。
「小野寺家のお嬢様が、そんな、不良みたいなことをなさるなど、言語道断!どうしてそんなことを!」
ここまで否定されると、反抗したくなってくる。
だが、今反抗していいわけがない。
「旦那様にご報告させていただきます」
「それは……!」
やめてほしい、なんて言えなかった。
「もし今の学校に通っていることが原因なのであれば、転校も考えていただきます!」
柳はそう言い捨てると、奥に行ってしまった。
不思議と力なく笑ってしまう。
「……やっぱりダメかあ……」
ため息をつくと同時に、座り込む。
赤くなった毛先をつまみ、電気にかざす。
色素がなくなった毛先は綺麗な赤色になっている。
奈子さんは私の横に膝をついて座った。
「お嬢様、どうして髪を染められたのですか?」
柳とは違って、奈子さんは優しい声で聞いてくる。
「……染めてみたいなって思ったの。毛先だけなら切れば済むし、この土日だけならいいかなって」
笑って誤魔化そうとするけど、奈子さんの不安そうな顔は変わらない。
居心地悪くなって、部屋に逃げる。
枕に顔をうずめて思いっきり叫ぶ。
似合ってると言ってほしかったわけではない。ただあそこまで否定されたくなかった。
そのとき、メッセージが届いた。送り主は瑞希ちゃんだ。
『髪はどんな感じになった?』
言葉で説明するより写真を撮ったほうが早いと思い、内カメラにして写真を撮る。
『いい色だね』
その写真を送ると、そんなメッセージが返ってきた。やっと褒め言葉が聞けて、なぜか安心した。
『日曜、楽しみにしてる』
私も楽しみだと返事をしようとしたとき、誰かがドアを叩いた。