日曜日を迎えるまでに、必要なくなった、もう使わなくなったものを整理した。

柳は私が部屋の整理を始めたのではないかと思ったのか、「私がやりますから、お嬢様はお休みください」と言われたけど、断った。

なんとなく、自分でやってみたかった。

身支度を整えていたら、ノックの音がした。
髪に櫛を通しながら返事をすると、ドアが開く。

「円香お嬢様、市川様がお嬢様にお会いしたいといらっしゃっています」

奈子さんが部屋に入って一礼し、そう教えてくれた。

「ありがとう、奈子さん。すぐに行く」
「そうお伝えしてきます」

奈子さんはまた一礼し、部屋を出た。

いらなくなったものを入れた箱を持って、部屋を出る。玄関に行く途中に、お父様と出会ってしまった。

「おはよう、円香」
「……おはようございます」

久々に話すせいか、妙に緊張した声が出た。

「その荷物はどうした?」
「……もう必要がなくなったので、処分しようかと」
「そうか。だが、円香が運ばなくてもいいだろう?柳にでも頼みなさい」

自分が運ぶと言わないあたり、お父様らしい。

私はそれ以上何も言わず、お父様の横を通る。お父様の足音が遠くなっていくのを聴きながら、息を吐き出した。

玄関に着くと、一度箱を床に置き、靴を履いた。改めて持ち上げ、背中でドアを開けながら家を出る。

門のそばには白い車が止まっていて、先生が立っていた。私に気付いた先生は、駆け寄って来た。

「おはよう、小野寺さん」
「おはようございます、汐里先生」

挨拶を返していたら、先生は私の荷物を持ってくれた。

「あの、自分で持ちます」
「だって小野寺さん、こけそうなんだもん」

たしかに足元がふらついていたかもしれない。自分で持ちたいという気持ちに、私の握力が伴わなかったからだ。

私はお言葉に甘えることにした。

「今日はよろしくお願いします」

金曜日に今日の予定を立て、先生が迎えに来てくれることになっていた。私もいらなくなったものを提供すると言ったからだ。

「それにしても、小野寺さんのお家、すごいね。豪邸だ」

先生は背後にある私の家に気を取られながら、門に向かって歩く。

それにどう返していいかわからず、私は黙って先生の隣を歩いた。

先生は箱を後部席に運び入れると、そのまま運転席に、私は助手席に乗った。

先生が車を発進させるけど、車内は音楽が流れているだけで、私たちの間で会話はなかった。

ほんの数分で着いた公園は、多くの人で賑わっている。