ベッドの上に置いていた右手に、笠木さんが手を重ねた。恐る恐る様子を伺うと、少し前の笠木さんに戻っている。
さっきまでの怒られているような状況があったからか、不覚にもときめいてしまった。
「俺と結婚したいって思うくらい、俺のことが好きなんだ?」
「え……」
視線が泳ぐ。
そういう方向性のことを考えていなかったから、どう答えればいいのかわからない。
図星といえば図星だが、素直に言うのは照れくさくてできなかった。
「そう思っていなきゃ、そんな結論は出てこないだろ」
笠木さんはそう言いながら、体を起こした。だけど、目が合わない。
笠木さんは儚げな目をして窓の外を見ている。
「……俺はさ。生きる気なんてなかったから、高校のとき円香さんを突き放したし、自分の気持ちを押し殺した」
笠木さんは視線を落とした。膝の上に置いた手を組み、それを見つめている。
「一生会えないと思っていた人に再会できたのは奇跡に近いし、今隣にいて話しているのは、夢なんじゃないかって思う瞬間がある」
「笠木さん……?」
笠木さんが泣きそうな目をしているから、つい声をかけた。私が呼んだことで、笠木さんは視線を上げる。
やっと、目が合った。たったそれだけなのに、私は胸をなでおろした。
あのままでは、笠木さんがどこか遠くに行ってしまうのではないかと思った。
私の顔を見た笠木さんは、苦笑している。
「そんな泣きそうな顔するなよ」
そう言われても、笠木さんがつらそうにしていれば、私だってつらいし、泣きたくなる。
それが伝わったのか、笠木さんは私の頭を撫でて安心させようとしてくれた。
「ちゃんと最後まで聞け?」
小さく頷く。それからまた手を重ね、お互いに目を合わせた。
不思議と、時間の流れが遅いように感じる。
「円香さんが隣にいてくれるから、俺は生きたいと思った。もっと長い時間がほしいと思った」
笠木さんは私の手を握った。心臓の音がうるさくなっていく。
「これからもずっと、円香さんには俺の隣で笑っていてほしいって思う」
目頭が熱くなる。
「だから……結婚しようか、円香」
笠木さんは真っ直ぐと私を見て強く手を握っているが、耳まで赤くしている。
「はい……!」
私は泣きながら笠木さんに抱きついた。笠木さんはそっと優しく私の頭を撫でていた。
さっきまでの怒られているような状況があったからか、不覚にもときめいてしまった。
「俺と結婚したいって思うくらい、俺のことが好きなんだ?」
「え……」
視線が泳ぐ。
そういう方向性のことを考えていなかったから、どう答えればいいのかわからない。
図星といえば図星だが、素直に言うのは照れくさくてできなかった。
「そう思っていなきゃ、そんな結論は出てこないだろ」
笠木さんはそう言いながら、体を起こした。だけど、目が合わない。
笠木さんは儚げな目をして窓の外を見ている。
「……俺はさ。生きる気なんてなかったから、高校のとき円香さんを突き放したし、自分の気持ちを押し殺した」
笠木さんは視線を落とした。膝の上に置いた手を組み、それを見つめている。
「一生会えないと思っていた人に再会できたのは奇跡に近いし、今隣にいて話しているのは、夢なんじゃないかって思う瞬間がある」
「笠木さん……?」
笠木さんが泣きそうな目をしているから、つい声をかけた。私が呼んだことで、笠木さんは視線を上げる。
やっと、目が合った。たったそれだけなのに、私は胸をなでおろした。
あのままでは、笠木さんがどこか遠くに行ってしまうのではないかと思った。
私の顔を見た笠木さんは、苦笑している。
「そんな泣きそうな顔するなよ」
そう言われても、笠木さんがつらそうにしていれば、私だってつらいし、泣きたくなる。
それが伝わったのか、笠木さんは私の頭を撫でて安心させようとしてくれた。
「ちゃんと最後まで聞け?」
小さく頷く。それからまた手を重ね、お互いに目を合わせた。
不思議と、時間の流れが遅いように感じる。
「円香さんが隣にいてくれるから、俺は生きたいと思った。もっと長い時間がほしいと思った」
笠木さんは私の手を握った。心臓の音がうるさくなっていく。
「これからもずっと、円香さんには俺の隣で笑っていてほしいって思う」
目頭が熱くなる。
「だから……結婚しようか、円香」
笠木さんは真っ直ぐと私を見て強く手を握っているが、耳まで赤くしている。
「はい……!」
私は泣きながら笠木さんに抱きついた。笠木さんはそっと優しく私の頭を撫でていた。