週末、お兄ちゃんは用事があって私を一人にしてしまうからと、奏良を呼んでくれた。


「それじゃ、まずは材料を切ってみようか」


奏良に手を添えてもらいながら、みそ汁の具を切った。
太さや大きさはバラバラで、ものすごく不格好になってしまった。


「初めてにしては上出来だよ。あとは簡単だから」


そのあとは奏良は口で作り方を教えてくれただけだった。
奏良の言った通りにみそ汁を完成させた。


「まっずい……」


玉ねぎやニンジンには火が通っていなくて、辛かったり固かった。
味は薄く、水を飲んでいるような感じだった。


「みーちゃん、まだ手直しできるよ」


奏良はそう言って火をつけた。
沸騰するのを見たら、味噌を加えた。


「はい、どうぞ」


奏良に出されたみそ汁は、とてもおいしかった。


「……なんで」
「料理は待つことも大切だよ。それから、味見をするようにしようね」


なるほど、と思いながら奏良が完成させたみそ汁を食べきる。


「おまけとして、誰かに作るときはその人の喜ぶ顔を思い浮かべるといいよ。最高の隠し味になるから。……なんてね!」


変なことを言っていると思った。


「じゃあ、今日はこのみそ汁を晩ご飯にしようね」
「ダメ!お兄ちゃんにはまだ……」
「大地は今日、晩ご飯はいらないって言ってたよ」


その言葉に安心してため息をついた。


初めて自分で作ったものを食べたけど、何かが足りないような気がしていた。