普段どんな生活をしているのだろう。

 あまり小神個人のプロフィールに興味はわかないけれど、食生活のこととなるとわずかながらではあるが知りたくなる。

 すました表情でカップを静かにソーサーに置くと、おもむろに小神が口を開いた。


「こうして学食以外の場所で対面しているとまるでデートの――」

「ようではありませんよ、小神さん。言っておきますけど」


「おや、意識過剰ですね」

 小神の小声は無視した。というか、あまりにも小さい声だったので、園児たちの猿の如き嬌声によってほとんど掻き消されていた。

 こんなシチュエーションでよくも「デート」という単語が出てくるものだ。本当はデートなんてしたこともないのだろう。もちろん、興味ないけれど。



「星野さん、一応言っておきますが、私はこれでもファミリー・レストラン以外の場所で女性とデートしたことくらいありますからね」