絶叫のあまりカウンターから何事かと案じた職員二名が慌てて飛びだし、軽いお叱りを喰らったのは、不思議な夢を見た翌日土曜日午前十一時のことだった。

「あんたのせいでわたしが怒られちゃったじゃないの!」

「どうしてそれが私のせいになるのでしょう?」

 小声で抗議するわたし。一方、小神、全く悪びれていない。

「人が集中しているところを妨害した罪の意識というものはないんですか」

 あれだけ脇でごちゃごちゃと喋られて気が散らない人なんていないでしょうよ。

「私はいついかなる環境でも自分の取り組むべき課題に取り組むことができるものですから。星野さんもトレーニングを積めばきっとできるようになります」

 わたしが聞きたいのはそういう言い訳混じりの言葉じゃないということをわかっているのかわかっていないのか、小神は無表情でそう答えた。この人に「常識」あるいは「素直」という二文字を通用させるほどの能力は、わたしにはない。