なかなかの気まずい雰囲気に居た堪れなくなったわたしたちはそれからどちらからということもなく公園を立ち去った。

 謝ったほうがいいのか、とはいえわたしの何がそこまで松本くんの機嫌を損ねることになったのかよく理解できていないのに安易に謝罪するわけにもいかず、わたしは黙って帰路についた。

 そこから就寝までの記憶が定かではない。

 しかし、そこでわたしが「これは夢だな」と思ったのだから、きっといつの間にかお風呂に入ってパジャマに着替えて寝床についていたのだろう。

 変な夢だった。

 わたしは夢の中で、どういうわけか、松本くんになっていた。姿かたちがまず松本くんなのだ。高い背に、焼けた肌、がっしりとした体躯。

 夢の中で松本くんになったわたしは、階段を上っていた。長い長い螺旋階段で、何段か上ると段の色が赤や黄色や青に変わった。

 上り切った先には、テストが待っていた。A4サイズの紙が何枚も重なり、机の上に置かれている。机はひとつしかなく、どういうことか受験者はわたししかいないようだった。

 チャイムが鳴る。テスト開始の合図だ。