……たしかにあの時食べた日替わりランチは、小神の警告した通り、信じられないくらいまずかったのだけれど、そのことは小神には打ち明けていない。

 認めたら負け、のような気がするからだ。

 わたしからすれば、「たったそれだけ」の短い会話なのに、小神としてはそれだけで「充分」だったらしい。




 その日を境に、小神にとってわたしはどうやら「面倒を見てやらねばならない可愛い後輩」となってしまったのだそうだ。

(後から本人が直接わたしにそう言ったのだ。「可愛い」なんて言うな!)

 それからというもの、校内にいると何かと小神はわたしに絡んでくるようになった。

 無理矢理用件を作り上げて、しつこいくらいに。

――というのが、わたしと小神の出会いである。